世界福音同盟(WEA)は、トーマス・シルマッハー総主事が3月31日付で辞任することが国際理事会で受理されたと、4月1日発表した。同氏は数か月前から新型コロナのため健康上の懸念を抱えていたという。シルマッハー博士はWEAの神学委員長、神学担当事務次長など、30年にわたりWEAに貢献してきた。
シルマッハー国際総主事の辞任に伴い、国際理事会は6か月以内を暫定期間に、グッドウィル・シャナWEA議長が執行委員長として2人の事務次長を監督する。この間に次期総主事の選考プロセスを進める。WEAは議長が全体を代表するが、国際総主事は実質的な最高経営責任者(CEO)として運営責任を負う重要ポスト。世界各国・地域の福音同盟を訪問するなどして福音派の国際連携を推進するほか、信教の自由や人権、環境などの問題で国連、世界教会協議会(WCC)、バチカン、ローザンヌ運動などとも対外協力・協議に当たる。
シルマッハー氏は昨年9月、岐阜県で開催された第7回日本伝道会議(JCE7)に来日し、日本福音同盟(JEA)や韓国福音主義協議会(KEF)の指導者らと懇談。WEAがワールドオリベットアッセンブリー教団創設者のダビデ張氏と、2023年5月に関係を断ったことを明言した(https://クリスチャン新聞.com/?p=43210)。WEAは、2代前のジェフ・タニクリフ国際総主事の時代にダビデ張氏からオリベット大学構内に事務所を提供され、ワールドオリベットアッセンブリー教団関係者がWEAのスタッフや役職に就くなど十数年来、密接な関係にあった。
オリベット大学を含むダビデ張氏の組織が、巨額詐欺(マネーロンダリング)事件でニューヨーク・マンハッタン検察に告発され、2020年に有罪判決が確定。その後も留学生ビザ詐欺、労働者人身取引などの容疑で連邦捜査局の捜査が続いており、オリベット大学はニューヨーク州ドーバーキャンパスが州教育局から認可を取り消されたのをはじめ各州のキャンパスが閉鎖に追い込まれている。WEAはこの動きを受け、昨年5月に事務所をオリベット大学外に移転した。
ダビデ張(張在亨=ジャン・ジェヒョン)氏は元統一協会幹部だったことが韓国で2004年に発覚し、現在は自身を「来臨のキリスト」と密かに信じさせているとの証言が米国、韓国、中国、日本で報告されている。JEAは長年にわたり、これらの情報をWEAに伝え注意を促してきた。張氏は疑惑を否定している。
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