カリフォルニア州のロブ・ボンタ司法長官は、ダビデ張氏が創立したオリベット大学を閉鎖する可能性のある法的な措置をとったと328日、ニューズウィーク(オンライン版)が報じた。ボンタ司法長官は317日、デボラ・コクレーン私立学校教育局長の訴えを代表して同州の消費者庁に訴状を提出し、オリベット大学が14の教育規制違反をしていることを告発した。訴状は、「ここに申し立てられた事項について審理を行い、審理後、消費者庁長官がオリベット大学の運営認可を取り消すか停止する決定を下すことを要求する」としている。

オリベット大学のカリフォルニア州の拠点キャンパスが閉鎖されれば、ダビデ張(張在亨)氏の教団ワールドオリベットアッセンブリー(WOA)に壊滅的な打撃を与える可能性がある、とニューズウィークは報じた。写真は動画で語るWOAのマーク・スピサック総主事。

330日付マーキュリーニュースによると、この法的措置は「告発(accusation)」と呼ばれるもの。その内容は、昨年1115日にカリフォルニア州アンザにあるオリベット大学の拠点であるメインキャンパス、131日にサンフランシスコ近郊のミルバレーにあるサテライトキャンパスを抜き打ちで査察し、州の教育規則に違反する14項目を指摘したものだ。

オリベット大学は、規制当局に報告された学業成績や大学自身の財務データとも一致しない生徒に対して、資格のない教師が標準以下のコースを教えていたと非難されている。同様の疑惑により、すでに8つの州と地域の規制当局がオリベット大学のキャンパスを閉鎖したり、調査を開始したりしている。

2018年には、ニューヨーク州のマンハッタン検察庁がオリベット大学を、張氏の関連企業であるIBTCMCI等メディアグループと共に詐欺などの容疑で起訴し、2020年ニューヨーク州最高裁判所において3500万ドルに及ぶ巨額詐欺、資金洗浄(マネーロンダリング)他の罪で有罪判決が確定、罰金刑を言い渡した。今回の「告発」にはオリベット大学に関する犯罪捜査の内容は含まれていない。

 

ニューズウィークによると、カリフォルニア州はオリベット大学にとって最も重要な州規制機関であり、ダビデ張氏が2000年に設立した同大学に学位を授与する権限のある米国で唯一の州規制機関。オリベット大学の残りの10キャンパスは7つの州とコロンビア特別区にあり、カリフォルニア州アンザにある大学のサテライトとして機能している。テネシー州は、カリフォルニア州の動きを見て、オリベット大学に対して行動を起こすかどうかを検討しているという。張氏の組織は過去10年間で一連の法的問題に直面しているが、アンザキャンパスが閉鎖されれば、米国連邦捜査の中心となっている世界的広がりを持つ張氏の教団ワールドオリベットアッセンブリー(WOA)に壊滅的な打撃を与える可能性がある、とニューズウィークは見ている。

ニューズウィークは、オリベット大学がワールドオリベットアッセンブリー教団(WOA)の活動の中核にあると見ている。日本オリベットアッセンブリー教団のホームページには同教団がWOAに所属することが書かれている。クリスチャントゥデイの元スタッフらは日本のクリスチャントゥデイがCMCIの傘下にあることを知っている。クリスチャントゥデイの歴代スタッフらは、日本オリベットアッセンブリー教団の教会に属していることを認めており(一時の外部採用者を除く)、オリベット大学に「留学」した者も少なくない。

日本オリベットアッセンブリー教団のホームページ。同教団(Olivet Assembly Japan)は「ワールドオリベットアッセンブリー(World Olivet Assembly 略称WOA)に所属することが書かれている(現在)。

ワールドオリベットアッセンブリー教団のホームページには「OA JAPAN」の20周年記念集会の記事について、張在亨氏が講壇で話している写真とともに掲載されている(2017年9月27日)。

オリベット大学に対する国土安全保障省の別件調査に協力しているある証人は、アンザキャンパスから押収したコンピューター上のメッセージは、マネーロンダリング活動の証拠となり得ると述べた、とニューズウィークは伝えている。押収されたコンピューターには、オリベット大学の2人がマネーロンダリングに関与していることを示すチャットログが含まれていたという。国土安全保障省は、オリベット大学について資金洗浄とは別に、中国からの留学生が多い同校のキャンパスで労働者人身取引や入国管理ビザ法の違反がなかったかを調べている。

ニューヨーク州最高裁での有罪判決後も、連邦捜査当局は詐欺、マネーロンダリングに加えて留学生ビザ詐欺、労働者人身取引などの容疑で捜査を続けてきた。それに伴い教育規制当局の審査も厳しくなり、ニューヨーク州は昨年7月、マネーロンダリング犯罪の体質は変わっていないとしてオリベット大学のニューヨーク・ドーバーキャンパスを閉鎖(認可取り消し)した。

今回の「法的な措置」に至ったカリフォルニア州教育規制違反の具体的な内容について、ニューズウィークは次のように報じている。

訴状によると、捜査時の学生記録は、オリベット大学が規制当局に報告した卒業データおよび雇用データと一致しなかった。聖書コースのシラバスは入手できなかった。学校は、学内の在籍学生数をサポートするのに十分な数のコースを提供していなかった。学士課程の学生のためのコースが、修士課程の同じコースと一緒になっていた。初級の教科書が中級の教科書と同じであった。学生の登録者数を裏付ける資料がなく、学生の退学者数を裏付ける資料もなかった。退学した学生への払い戻しに関する記録もない。奨学金や学資援助に関する基準がない。教育局スタッフにメールで送られた学生データが、同じ時期の年次報告書のデータと一致しない。実際、年次報告書には矛盾する学生データが2セット含まれていたと、訴状は主張している。

また訴状は、オリベット大学の教員についても懸念を示している。教員の名前は大学カタログの名簿と一致しなかった。いずれにせよ、開講されているコースを教えるには教員の数が足りなかった。そのうちの12人がオリベット大学の学位を持っていたが、そのほとんどがD. Min.(牧会学博士)であり、教えるコースとはほとんど関係のない資格だった。また、教員の多くは契約期間が終了しており、適切に雇用されていなかった。何人かの教授は、キャンパスでの授業には出席せず、Zoomで講義を行った。例えば、ミクロ経済学の教授は、「ハイブリッドクラス」で学内にいる学生に対してバーチャルな講義をしていたが、それ自体が規則を破っていた。ゲブハルト学長は、ニューズウィーク誌のコメント要請に応じなかった。

31ページに及ぶ訴状に記された疑惑は、ニューズウィーク誌の過去の取材で明らかになったものと類似しているという。

カリフォルニア州は、他の州の規制当局がオリベット大学を取り締まり、無認可のキャンパス運営、不完全な情報開示、財務管理の誤り、「犯罪行為」との関係遮断の失敗などを非難しても、長年にわたりオリベット大学と向き合うことはほとんどなかった、とニューズウィークは指摘している。ニューヨークとカリフォルニアの両州は、オリベット大学が2020年にマンハッタン地方検察から提起されたマネーロンダリング容疑に対して有罪を認めた直後、さまざまな規則を破っていたことを明らかにした。ニューヨークは昨年、同州のキャンパスを閉鎖したが、カリフォルニア州は5000ドルの罰金を課したにとどまり、今後どのように遵守するかを示す方針書の提出を求めていた。

マーキュリーニュースによると、告発があった場合、教育機関の運営認可を取り消すべきか、停止すべきか、制限すべきか、条件を付けるべきかを判断するための審理が開始される。オリベット大学がこれらの欠格事項を解決できなかった場合、警告の延長から認可取り消しまでの措置がとられる可能性があるという。

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