カリフォルニア州裁判所は、オリベット大学に対して教育規則違反を理由に閉鎖を命じ、同大学を運営するワールド・オリベット・アッセンブリー(WOA)教団と、物議を醸している創設者ダビデ張(張在亨=ジャン・ジェヒョン)氏に大きな打撃を与えたと、1215日(日本時間同16日)ニューズウィークが伝えた。

カリフォルニア州アンザにあるオリベット大学リバーサイド・キャンパス(ホームページより)

オリベット大学と張氏の信者らは、これまでにマネーロンダリング、留学生ビザ詐欺、(留学生らを不当に働かせた)労働者人身取引に関する連邦犯罪捜査の焦点となってきた。ニューヨーク州マンハッタン検察庁は2018年、当時ニューズウィークを傘下に収めていた張氏の組織IBT(インターナショナル・ビジネス・タイムズ)CMCI(クリスチャン・メディア・コーポレーション・インターナショナル=現在は名称変更)、オリベット大学を3500万ドル(当時39億円相当)の巨額詐欺・マネーロンダリング容疑で起訴。20204月、同州最高裁が罰金125万ドルの有罪判決を言い渡した。

同容疑では張氏の信者である幹部らが逮捕されたが、判決の直前、有罪を認めることを条件に禁錮刑から罰金刑に減刑された経緯がある。マンハッタン検察庁は第1級詐欺事件と位置付けていたが、日本のクリスチャントゥデイ(CT)関係者は当時、軽微な事件であったかのように粉飾した。CTCMCI傘下メディアの一つ。IBTの日本版「財経新聞社」は、元CTスタッフや現日本オリベット・アッセンブリー教団の牧師が幹部を務めていたことがある。

20227月にニューヨーク州が、マネーロンダリングの体質は変わっていないとして同州ドーバーキャンパスの閉鎖を命じて以来、全米各地のオリベット大学キャンパスが閉鎖に追い込まれたが、その本拠地であるカリフォルニア州の閉鎖命令は、実質上大学の体をなさない法律軽視の体制が張氏の組織全体に及ぶものであることを明らかにしたと言える。

ニューズウィークの報道によると、デブラ・D・ナイ=パーキンス行政法判事は、カリフォルニア州司法長官ロブ・ボンタ氏が州の教育監督機関である私立高等教育局(BPPE)を代表して行った14の申し立てすべてについて、オリベット大学に不利な判決を下した。

この訴状は、2022年に教育検査官がオリベット大学のキャンパスを調査した後に提出されたもので、同大学は学生の記録を保存しておらず、不適切な資格の教授陣が不十分な課程を教え、財務規則を破ったと非難している。

ナイ=パーキンス判事は、オリベット大学は規則に対して「軽率な態度」を示したと述べた。「公共の保護を確実にする唯一の懲罰は、被申立人の運営許可の取り消しである」と、私立高等教育局のウェブサイトに掲載された記録の中で述べている。同判事は、オリベット大学に対し、110日までに残りの学生がコースを修了するための計画を提出するよう命じた。

 

オリベット大学はこの決定を認め、カリフォルニア州でどのように宗教教育を行うことが許されるかは明らかでないが、今後も宗教教育を続けていくと声明で述べた。声明によると、ジョナサン・パク学長は「カリフォルニア州での宗教的免除の下での学校運営に戻りつつある現在、我々はカリフォルニアのキャンパスで、優れた神学的プログラムを学生に提供し続けている」と述べた。

カリフォルニア州はオリベット大学にとって最も重要な拠点であり、韓国系アメリカ人の聖職者である張氏が2000年に設立したオリベット大学に学位を授与する権限を与えていた唯一の州である。オリベット大学の残りの10キャンパスは、7つの州とコロンビア特別区にあり、大学のサテライトとして機能している。

オリベット大学は、2021年に国土安全保障省の捜査官が労働者人身取引、マネーロンダリング、ビザ詐欺の証拠を探してカリフォルニア州アンザ・キャンパスを捜索し、公になった犯罪捜査の中心にもなっている。

カリフォルニア州中部地区の連邦検事局がオリベット大学に対する事件を調査しており、いかなる告発も時効が成立する前に「すぐに」行われる必要があると、4月にオリベットに対する民事訴訟で提出された文書は示している。

ロサンゼルス・タイムズ紙は920日、ニューズウィーク誌のオリベットに関する報道の大部分と同じ内容の記事を掲載した。同紙の記事には、2011年に中国から米国に渡った2人の元オリベット大学生、曹廷波(41)と周麒麟(35)のこれまで報道されなかった証言が含まれていた。2人の学生は労働を強いられ、勉強する時間はほとんどなく、約束された奨学金を受け取ることもなく、オリベット大学から経済的に搾取されていたと同紙は報じている。

ニューズウィークによると、テキサスに拠点を置く8fig2023年に起こした訴訟では、ダビデ張氏が設立した教会であるワールド・オリベット・アセンブリー(WOA)教団が、オンライン・ショップのネットワークやその他の企業を使って650万ドル以上を詐取したと非難している。オリベット大学のパク学長はこの訴訟の被告の一人。現在、同訴訟は和解協議中という。

オリベット大学がカリフォルニアで閉鎖された場合、張氏は同派の他の大学を通じて宗教教育の足場を維持する可能性がある、とニューズウィークは見ている。そのうちの1校、キリスト教音楽大学と銘打ったジュビリー大学は、ミズーリ州に本拠を置くテレビ局Fox4が先月発表した調査報道の対象となった。

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