創設者・文鮮明(ムン・ソンミョン)の死後、法人名を「世界基督教統一神霊協会」から「世界平和統一家庭連合」に変更した統一協会で、「メシア」としての立場を強めてきた文鮮明の妻・韓鶴子(ハン・ハクチャ)氏が、同教団が創立以来の教義としてきた統一原理の経典『原理講論』を過去のものと語り、自らを独生女(トクセンニョ)とする「真の父母論」の時代を迎えたと語る動画が、ネット上で話題を呼んでいる。

これは718日午前、韓国の統一協会の聖地・天正宮で開かれた「天地人真の父母様天正宮入宮・戴冠式18周年記念および実体聖霊独生女真の御母様勝利帰国歓迎集会」で韓鶴子氏自身が特別指示事項として語ったもの。独生女とは「ひとり娘」の意味で、イエス・キリストが「神のひとり子」とされていることになぞらえた権威づけと見られている。

その発表を伝えた教団の動画チャンネルPeace TVで、韓鶴子氏はこう語る(35秒)。

今まで統一教会の歴史の

「原理講論」は荒野時代で終わります

天一国時代は「真(まこと)の父母論」です

 創造主の願い 人類の願いは

 真の父母に出会うということです

 ですので天一国時代は

真の父母論(独生女論)を

勉強しなければいけません

わかりましたか?

この画像はPeace TVの公式ホームページでは同日現在アップされていない。

Peace TV公式ホームページはこちら

当初、天正宮での「天地人真の父母様天正宮入宮・戴冠式18周年記念および実体聖霊独生女真の御母様勝利帰国歓迎集会」のもようはPeace TVで生放送されていたが、途中で突然、非公開となったという。

韓国の信者による解説動画とされる「2分でわかる独生女論=真の父母論」の日本語訳によると、独生女様の韓鶴子が原理講論を捨てねばならない理由を、次のように説明している。

独生女様がお父様の統一原理を捨てた理由は?

独生女論と真の父母論の内容は同じです。
独生女論と言うと食口(シック=統一原理信者)に抵抗感があるため
「真の父母論」という名前にしたのです。

これらの本はすべて2023年に鮮文大学神学科の教授たちとU P大学院の教授たちが書きました。2013年からの韓鶴子・独生女様による説教をそれなりに体系化したのがこれらの本です。
独生女論を最初に提起したのがキム・ジンチョン教授です。

結論として独生女論の最も重要な内容は

  1. お父様は有原罪、堕落した血統でイエスの代身者、再臨主の使命者、独生子ではない
  2. キリスト教の2千年は独生女のための歴史
  3. 韓鶴子は無原罪、純血、6千年ぶりに生まれた初臨の独生女
  4. 唯一の独生子はイエス、唯一の独生女は韓鶴子
  5. 韓国で生まれた多くの再臨主候補の中からお父様を選び、結婚してあげることで血統を復帰させ、真の父にした
  6. 韓鶴子・独生女の霊的な夫はイエス様、真のお父様はイエス様のからだである
  7. お父様が韓鶴子に会う前に、聖進(ソンジン)の母と結婚したことが尻尾(しっぽ)である=真のお父様の尻尾論

これがほぼ10年間、韓鶴子・独生女が新しい原理、歴史の秘密だと言ってきた真の父母論、すなわち独生女論の核心です。

これだけ話せば、お母様が「原理講論を捨てろ」と言われた理由がわかりますよね。

  1. 原理講論は神様を二性性相の中和的主体であり、被造世界に対して女性格主体ではなく男性格主体だと教えます。
  2. お父様を主体、お母様を対象として規定します。
  3. お父様が神様の血統を継いでメシアとして来られ、お母様の血統を復帰して家庭を作り、世界を救うと説明されています。
  4. 復帰摂理の中心もお母様ではなくお父様です。
  5. キリスト教の2千年は独生女ではなく再臨主であるお父様のための歴史だと教えています。

創造原理の主体対象・授受作用・四位基台などはお母様が主体だと教える「独生女論」とは合いません。
独生女論はお母様が主体となった摂理です。
ですから、お母様はお父様中心である原理講論を受け入れることができません。
原理講論では独生女論は非原理となるので、お母様は原理講論を捨てるしかないのです。
原理講論を講義すると、食口たちは独生女論を信じません。

独生女論神学研究所の共著者の一人であるファン・インス氏は正直に告白しました。
お父様のみ言葉で独生女論を証明できないので、お父様のみ言葉と統一原理を捨てなければならないのです。
独生女がお父様の原理講論を捨てなければならない、その理由を正しく理解できたのではないでしょうか。

(以上「韓国の信者による解説」)

文鮮明が201293日に死去した後、妻の韓鶴子氏が実権を握り、名称を「世界平和統一家庭連合」に変更した直後、さらに「天の父母様聖会」を名乗るなど、メシアとしての自らの権力の強化策を打ち出してきた。

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これに対し、文鮮明・韓鶴子夫妻の子どもたちの中で7男の文亨進(ムン・ヒョンジン)氏、3男の文顕進(ムン・ヒョンジン)氏は、韓鶴子氏に反発して自らが「再臨のメシア」であると主張。それぞれ分派を作って活動し、韓鶴子氏との間で紛争になっている。

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今回の特別指示は、統一協会がこれまで根幹としてきた教理を正式に変更することになる。今後、教団内に反発や離反が起き、さらなる分派の動きが強まるのかが注目される。