真の家庭と平和を説きながら実は崩壊 いったい何が起きているのか?

旧・統一協会(天の父母様聖会・世界平和統一家庭連合)の創設者で自称再臨のメシアとして崇められた故・文鮮明(ムン・ソンミョン)氏の三男・文 顕進(ムン・ヒョンジン)氏が自らを「再臨したイエスの実体である」と宣言し、「第4のアダム」と名乗った上で宗教活動を行なっていることがわかった。韓国の異端問題を扱うメディア各紙が報じた内容を以下にまとめた。

2021年2月12日、家庭平和協会の文 顕進氏は妻・文全淑(チョンスク)氏と共にメシア宣言をした(画像:家庭平和協会)

顕進氏は今年2月12日の協会行事の中で自分の名によって祈り神格性を露わにした。顕進氏は「家庭平和協会(Family Peace Association)」という平和運動団体を設立、現在も団体を率いている。協会側の主張では「宗教ではなく、家庭平和を掲げる団体である」と説明しているが、実際は統一協会から離脱した「分派」であり、文 顕進氏に追従する信者たちによって構成される宗教団体だ。

顕進氏は父親である故・文鮮明氏から統一協会の後継者として指名され、正統な「王位」を継承したと強く主張を続けている。しかし、統一協会はこれを認めず、文鮮明氏が死去すると母親の韓鶴子(ハン・ハクジャ)氏が全権を掌握。自分がメシアだと宣言し、夫の「メシア性」を否定する発言を繰り返した。また、組織に背いたという理由から自分の息子である三男と七男を追放した。息子たちはそれぞれ宗教団体を立ち上げ、自分が正統な後継者だと主張。三男は家庭平和協会を設立し、七男はサンクチュアリ協会(世界平和統一聖殿)を立ち上げた。特に七男の文亨進(ムン・ヒョンジン=発音は同じ)氏は自分こそ父親の王位を継承した「王の王」と主張。米国を拠点に銃で武装し来たる「終末時代」の戦いに備えるなど過激な言動が目立つ。アメリカのニュースサイト「news12」によると4月22日にアメリカでサンクチュアリ協会の信者ニコラス・スカラステッド容疑者(33)が自身で運転する車を意図的に複数の車に衝突させるという事件を起こした。駆けつけた警察官に「私はイエス・キリストだ。あなたがたは今日死ぬだろう」と叫んだという。容疑者の車から殺害を計画したと思われる資料と複数の公務員の実名リストが発見された。

一方、三男の家庭平和協会では次のように語っている。「キリスト教の本来の目的は再び来ると約束された再臨のイエスを待ち、それを迎えることにある。真(まこと)のお父様の前には、キリスト教神霊集団イスラエル修道院の金白文(キム・ベンムン)という人物がいた。顕進様は真の父母様の三男だが長男として真のお父様の遺業を継ぎ、第4のアダムとしてこの時代に堕落の跡形もない天主平和統一国時代を切り開いていく中心人物として天が立て祝福された」。

協会の説明によれば、創世記のアダムが1代目、2代目が金白文、3代目が文鮮明、4代目が文顕進氏ということになる。つまり、自称「再臨のイエス」という主張だ。今までこのような教えは語られていなかった。

家庭平和協会は2017年に統一協会から分離して設立された。宗教団体ではないと主張しているが事実上の「統一分派」の一つだ。そのためか、顕進氏は自身を「アダム」「再臨したイエスの実体」とは教えていなかった。しかし、今年2月12日、メンバー(実際は信者)を祝福した祈りの中で「真のお父様と4代目アダムを通じて真理の光を私たちに与えてくださる。今年は子女の時代を代表する第4アダム時代の初年度だ。真のお父様は第4アダムを中心とした新しい時代への摂理転換を行なわれた。この場に集まった皆さんを通じてこの福音メッセージが世界各地に伝わるように期待する。参加者全員で第4アダム文顕進様の御名によって切に祈ります」と述べた。彼は自分の名で祈りを捧げたのだ。

統一協会の創始者で彼らの父親である文鮮明氏は自分を再臨したメシアだと教え、信者を率いてきた。彼の死後、妻の韓鶴子氏がメシア宣言を果たす。追い出された息子たちも七男に続いて三男まで自分は「メシア」だと主張。これで統一ファミリーは自称メシアが4人乱立していることになる。真の家庭、平和を説きながら実は教祖の家庭が崩壊していることを信者はどう見ているのだろうか。