「私は再臨のメシア」韓鶴子氏の口から法廷で証言へ 三男との法廷闘争で1審勝訴へ

裁判官 「証人は宣誓をお願いします。右手を挙げてください」

韓鶴子 (ゆっくり右手をあげる)

裁判官 「偽証罪に問われますから・・・(中略)真実のみを語ることを誓いますか?」

韓鶴子 (右手を挙げたままうなずき)「はい」

2018年7月13日から14日の二日間にわたって旧・統一協会(正式名称=天の父母様聖会・世界平和統一家庭連合)の総裁で自身を「独生女再臨主(トクセンニョ・チェリムジュ」だと主張する韓鶴子(ハン・ハクジャ)氏がアメリカの法廷で原告側の証人として出廷した。この様子を録画した映像の一部が米メディアによって公開され話題を呼んでいる。鶴子氏は三男・文 顕進(ムン・ヒョンジン)氏との親子紛争で勝訴するため出廷に応じた。

2018年7月13日から14日にかけて米コロンビア特区民事裁判部で証言した韓鶴子総裁

被告側の弁護団や判事から「あなたはなぜ独生女だと宣言できるのか?」、「いつから真(まこと)のお母様になったのか?」など統一協会の二代目再臨主としての証拠を示すように求められた。独生女(トクセンニョ)とはイエス・キリストが神の独り子であることから「独(ひとり)」「生(うまれた)」女性メシア(イエス)という意味だ。鶴子氏は女メシアだと信仰されている。統一協会の創始者故・文鮮明氏が死去してから鶴子氏が主張しはじめた新しい摂理(教え)だという。

映像では鶴子氏が自分の口でこれら尋問に答えている。鶴子氏が語った言葉から宇宙全体の母を超え、女の神になりたいという彼女の欲望を垣間見ることができた。

この裁判は実の息子で三男・文 顕進氏との直接対決だ。三男が「自分こそ統一協会の後継者だ」と主張し、教団の資産管理団体「UCI」(統一教会世界財団)の経営陣を自分に有利な人選で固め「乗っ取った」というのが統一協会側の主張だ。

当時、父である文鮮明氏は三男を批判せず、「一時的に宗教活動を休みなさい」と伝えたと言われている。2011年から始まった裁判は9年の歳月を経て2020年12月4日に1審判決が言い渡された。

UCIは1977年、米国を拠点とする信者支援を名目に設立された事実上の資産管理団体である。2006年4月17日、UCI会長就任とともに米国在住の教団傘下教会、信者を管理していた三男が2009年1月頃、突然、文鮮明氏の許可なしにUCI理事を総入れ替えした。三男が独断的な動きを見せ始めたことに統一協会側は警戒した。2010年4月14日、UCI定款にある設立者・文鮮明氏の承認なしに教団名を削除し、全世界の教団財産のうち約80%を手中に収めた「背任・横領」が今回の裁判で認められた部分だ。三男は、統一協会を激しく批判した上で父・文鮮明氏を宗教的基板とする「家庭平和協会」を設立。「統一協会(母親である鶴子氏ら)が文鮮明氏と異なる宗教に作り変えてしまった」と反発してきた。

その後、三男は統一協会の後継者から排除され、これまで兼任してきた教団関連事業においても法的措置が取られた。統一協会の後継者だった三男は故・文鮮明の息子7人のうち3番目にあたるが長男は2008年に死亡し、次男は84年に死亡しており三男が実質的な長男の役割を果たしてきた。統一協会の後継者として指名されたはずの彼が教団から追放された理由は、父親の文鮮明氏を再臨主(メシア)と信じなかったからだと教団側は主張する。

UCIを鶴子氏の支配下に取り戻すための「返還訴訟」で判決が言い渡される前、米コロンビア特区民事裁判部アンダーソン判事は4週間にわたり統一協会側の証人を呼んで尋問を行なった。4週間の日程の内、2018年7月13日、14日の2日間にわたり鶴子氏は法廷に立った。自称「独生女再臨主(トクセンニョ・チェリムジュ)」が証言したのだ。

統一協会の教祖に米法廷が証言を求めるのは極めて異例のことだ。統一協会の教理では鶴子氏は「人類の真の母であり、独生女メシア」と崇められている神である。そんな鶴子氏も法の前ではひとりの人間にすぎず誰もが平等で差別なく公正な裁判を受ける権利と義務があるという現実を目の当たりにしたようだ。

しかし自称再臨主であり真の母である鶴子氏は「神」として信仰されているが、なぜ「神」が弁護団を結成し、実の息子相手に数千億ウォン(数百億円)もの損害賠償を求める必要があるのだろうか。そんな矛盾に満ちた姿を信者たちはどう見たのだろう?

2日にわたって行なわれた鶴子氏の証言をまとめた。これは本人の口から語られたものである。この発言は本来の統一協会を根底から破壊し、信者たちの努力が水の泡となった現実をはっきり見て取れる貴重な二代目再臨のメシアの言葉だ。

(韓鶴子氏:証言)

「統一協会創始者である文鮮明氏は原罪(生まれながらの罪)をもって生まれた。しかしながら16歳で独生者(メシアと自認)の使命を得た。私(韓鶴子)と出会い、聖婚したことにより文鮮明氏は真の父となり原罪がすべて清算された。これにより独生者(メシア)となった。私は6千年ぶりに原罪なくこの世に生まれた存在であり独生女である。私は統一協会創始者であり夫である文鮮明氏から原理講論を学んだことは一度もなく、私は生まれながら既に天の摂理(神の計画)をすべて知っていた。

2010年6月5日に文鮮明氏が三男に書いたという宣布文(後継者を指名する)は無効である。なぜなら三男を追い出したくて七男・文亨進(ムン・ヒョンジン)氏が父である文鮮明氏にせがんで無理やり書かせたものであり私は一切同意していない。内容も認めない。

私という存在については、全宇宙の母であり、真の母であり、独生女メシアである。そして聖神でもある。人々は聖神に逆らえば容赦なく罰せられるだろう。三男は能力が乏しく、後継者としての資格もなく認めたこともない。統一協会がこれら息子たちを追放したのは私のメシア性と神の摂理価値を認めなかったからである。全宇宙には神である父と母が存在する。文鮮明氏は神の摂理で見ればその「父」としての責任を全うできずに死んだことになる」

 

驚くような発言を法廷で連発してみせた。鶴子氏は統一協会の宗教的存在意義を根底から覆す「文鮮明」批判をした上で自分がメシアだと公言したことになる。統一協会がかつての文鮮明=メシアではなく、鶴子=メシアと信じる新しい宗教団体になったことを世に示したのだ。表情一つ変えずに淡々と証言に応じた。

特に注目すべき発言がある。鶴子氏は「千日国憲法(統一協会が主張する教団内部の法律)は私が完成させた。文鮮明という人間は私に会わなければ神の摂理を完成させることはできなかった。私以外の女性と結婚していれば彼は真の父になれなかった」と述べたのだ。さらに「私がいなければ合同結婚式(祝福)は意味を成さない。私こそ再臨のメシアだ。原罪なく生まれたのだ」。鶴子氏は何も躊躇することなく堂々と語ってみせた。

UCI訴訟は結局のところ財産争いである。UCIの最終決定権がどちら側にあるのかが最大の争点となった。裁判所は双方の主張を慎重に聴き、関連事業体で誰がどのように役員を任命したのか9年掛けて判断することになった。昨年12月4日、ワシントンDC最高裁民事部は以下の判決を言い渡した。

「UCIを奪取した文 顕進ら4人は理事から退任し1980年の定款に戻せ。またこれまでスイスのペーパーカンパニー「KIF」とGPF社に提供した資金5億3千2百万ドル(約600億円)を全額賠償せよ」。

この判決のとおり統一協会側の主張が認められUCIから三男らを追い出し、さらに600億円近い賠償金の支払いを命じる事実上の勝訴となった。ところが裁判はこれで終わりではない。UCI側が反撃に出たのだ。1審判決を不服とし2月19日に控訴した。激しい法廷闘争は当分終わりそうにない。