前WEA理事植木氏 JEAから注意喚起を続け、WEAが軌道修正

2020年6月号のJEA機関誌「JEAニュース」巻頭言は“異端の企てに用心を”と題してダビデ張グループをはじめとする諸々の異端による接近に注意を喚起した。(JEAニュースNo.55より)

JEA(日本福音同盟=廣瀬薫理事長・岩上敬人総主事)が年に2回発行する加盟団体向けの機関誌「JEAニュース」(2020年6月号No.55)は新型コロナウイルスによる緊急事態宣言発令の影響などで通常業務が部分的に自粛されたことで約3ヶ月遅れの発行となったが4日、加盟団体等宛に発送された。最新号には「巻頭言」で“異端の企てに用心を”と題して前WEA(世界福音同盟)国際理事、前JEA国際渉外室長、現AEA(アジア福音同盟)議長を務める植木英次氏(イムマヌエル綜合伝道団牧師)のレポートが掲載された。

植木氏は2008年から2020年4月までJEA国際渉外室長を務め、2016年からアジア福音同盟議長、2018年から2019年までWEA国際理事として務めを果たした。JEAは2004年理事会決議を経て「クリスチャントゥデイの取材を受けない」とする報告を加盟団体宛に通知して以降、継続して張在亨(ジャン・ジェヒョン)氏に関連する団体(クリスチャントゥデイ)の動向を注視してきた。歴代の総主事・理事会は警戒を怠ることなく、WEA側にも情報提供を続けてきたという。

JEAは張在亨グループを注視してきた根拠として「クリスチャントゥデイと張在亨氏の異端疑惑、実在する被害者(脱会者)、元スタッフの問題、アメリカで起きた巨額詐欺事件について深刻に受け止めているという意味です。特に実際に関係者が起訴されています。この犯罪性という部分は大きいです」(2019年12月27日号「日本福音同盟(JEA)総主事、クリスチャントゥデイに対する報告書について語る」より)と回答している。

今回、WEA理事を務めた植木氏からクリスチャントゥデイ(米国ではクリスチャンポスト)創設者でワールドオリベットアッセンブリーを率いるダビデ張(張在亨)氏とWEAの深い繋がりについてレポートされた。福音派を中心とするキリスト教界で、再臨主疑惑のある張氏とその教会メンバーがWEAの運営に深く関与してきたことはあまり知られていない。この実態を把握したJEAは歴代の総主事が中心となってWEA側に警鐘を鳴らしてきた。それでもWEAのジェフ・タニクリフ前総主事が理事会による協議を通さず独断に近いかたちで張氏側の要求を受け入れていたため、「体制浄化」は進まなかった。

その表れとしてタイのパタヤで2008年に開催されたWEA総会は「アジア系の青年たちが異様に感じられるほど活動していた」と植木氏は報告している。彼らはオリベット大学を卒業したIT委員会のメンバーと「クリスチャントゥデイ(米国ではクリスチャンポスト)などダビデ張組織のメンバーでした」としている。タニクリフ氏退任後、WEA総主事に就任したエフライム・テンデロ氏が率いる理事会は、組織の軌道修正にむけ「体制浄化」に取り組んだ。

前WEA総主事ジェフ・タニクリフ氏。現在はWEAの活動には関わっていない。

植木氏によると、「前WEA総主事ジェフ・タニクリフ氏が張氏と密接な関係をもってしまい、WEAの実態を変えてしまった」という。張氏は前総主事に自分の要求を受け入れてもらう見返りに資金、人材や場所の提供をし、結果、WEAに張氏の教団信者らで構成されるIT委員会が発足。「他にもさまざまな要求を受け入れた」という。以後、WEAのオフィスは転々として、クリスチャンポストのオフィスでスタッフが働きを肩代わりして活動して後、最近ではニューヨーク州ドーバーのオリベット大学内に移転。現在はイリノイ州ディアーフィールドに移転しダビデ張氏とは一線を画して活動している。

日本においても、今日までクリスチャントゥデイを運営するオリベット大卒の関係者らとワールドオリベット日本支部あいのひかり教団(現オリベットアッセンブリー=静岡県駿東郡小山町用沢)の教職者らは、張氏の“正統性”を示す根拠として「WEAで北米理事を務めている」「CCK(韓国基督教総連合会)で認められている」という2点を繰り返し強調してきた。しかし、この主張は事実ではない。

植木氏は語る。「WEAの北米理事会(North American Council)は2018年以降、国際理事以外の人は務めを辞して、北米理事会は国際理事会に統合され、会計士でNational Association of Evangelicalsメンバーのケネス・アルツ氏などが財務及び開発担当になった。WEAにおいてダビデ張氏は何のポジションも有していない。」

今回のレポートでWEAが「体制浄化」されたことが明らかとなり、彼らの主張は通用しなくなった。なぜ、危機感を募らせることになったのか、これには次のような背景がある。WEAと密接な関係にあった張氏の関連団体代表らとオリベット大学の上級幹部が共謀して被害総額約40億円近いとされる巨額不正融資・詐欺事件等の容疑でマンハッタン地検に起訴(2018年)されたからだ。2018年に起訴された関連団体の元代表(被告)らは今年2月、刑事裁判で有罪が確定したばかりだ。

2011年、韓国キリスト教放送局CBSが報じたニュースで張氏の教団及び関連団体「韓国福音主義大学生連合会」(YEF)とWEA東アジア事務所が一体化していることを問題視していた。(CBS「合同福音教団の歩みがおかしい」より)

韓国のキリスト教テレビ放送局CBSは2011年、再臨主疑惑がある張氏が設立した大韓イエス教長老会合同福音教団(現合福)の本部に「WEA東アジア事務所」の看板が掲げられている問題を報道。また「WEAディレクター」の表札も確認できたと報じていた。本紙が調べたところ、WEA東アジア事務所の上に表記される「한국복음주의대학생연합회」を日本語で訳すと「韓国福音主義大学生連合会」であり、張氏の学生伝道団体の一つとして認められている「ユース・エバンジェリカル・フェローシップ(YEF)」であることが確認できた。CBSは当時、WEA東アジア事務所と張氏の団体が「同一団体」として活動する点を疑問視し追及していた。これもWEA前総主事と張氏が密接な関わりをもったことの現れだといえる。

YEFは現在も韓国を中心に各国で活動しており「WEA」とのパートナー関係をサイト上でも明記している。日本は早稲田大学の近くで2018年夏頃まで活動していたが移転後は所在不明だ。東京大学、早稲田大学を中心に伝道に取り組んでいた記録があり職員らはあいのひかり教団の教職者らで構成されていた。

2011年当時、WEA東アジア事務所と一体化していた張氏の学生伝道団体「韓国福音主義大学生連合会」(韓福連=YEF)のサイト。現在はWEAをパートナーと紹介している。(2020年7月13日現在:YEFホームページより)

今回の植木氏の報告でWEA前総主事と張氏が密接な繋がりを持ったことと関係し、張氏の教団関係者が「看板」を利用して正統性を標榜した実態が明らかになったと言える。植木氏は日本や韓国において張氏関連団体がWEA公認をうかがわせる発言を懸念して次のように語った。「WEAにおいて公認というシステムは存在しない。WEAを浄化する一環として条例の整備がなされた。総会において投票権をもつWEA正規メンバーは、地域同盟(REA)に加盟している各国同盟(NEA)から成る。地域の同盟を飛び越えて、ある国の団体がWEA加盟を申請しても却下することになっている。グローバルパートナーは廃止した。しかし、複数の国や地域をまたいで活動している団体は加盟団体(Affiliate Member)、或いは教会ネットワーク・教団として加わることができる。」

今回のJEAニュース「異端の企てに注意を」(巻頭言)は、世界福音同盟をまたにかけた信奉者たちから「来臨のキリスト」と信じられている“張在亨”という人物が、世界の福音派を代表する世界福音同盟(WEA)の中枢にまで食い込んだ実態を明らかにする大きな一歩となった。

 

この記事はJEAニュースの内容をもとにJEA総主事、植木氏(アジア福音同盟議長)に実際に取材し確認した内容を紹介しています。