教団側は動画をすぐに削除、メディア各社に「削除申し立て」 地元住民「北の将軍様かと思った」 問題の映像に批判相次ぐ

12月3日、旧統一協会(正式名称=天の父母様聖会・世界平和統一家庭連合)の二代目再臨のメシア韓鶴子(ハン・ハクジャ)氏が米国で開かれる記念式に向け韓国を出発した。韓国は新型コロナ感染者が再び激増し、1日に1000人を超えている。そんな中、マスクをつけず極寒の聖地で直立不動のまま教祖を見送る学生信者約200人の姿がYouTubeチャンネルに配信された。まるで北朝鮮の軍事パレードを彷彿させる異様な光景に視聴者から批判の声があがると動画はすぐに削除された。

極寒の韓国で二代目再臨のメシア韓鶴子氏を見送る若き学生たち(画像:現代宗教)

問題の映像は統一協会の広報が「米国出発記念歓送式」のタイトルでYouTube上に配信したもの。教祖の偉大性を信者に示すためにアップされたものと考えられる。しかし、映像を見た視聴者から「関係者が誰もマスクを付けていない。教祖韓鶴子氏だけマスクを付けているように見える」などと批判的なコメントが殺到した。会場となった聖地「清平」(チョンピョン)は氷点下の極寒の地だ。20代の学生信者は薄着のまま長時間立たされたものと思われる。この姿に教団内部からも問題を指摘する声があがったと7日の韓国ストレートニュースが報じた。

天主平和士官学校学生と紹介された若者は約200人、他にも2世信者(両親が信者)や幹部たちの姿も多く確認できた。誰もマスクをつけていないように見えた。200メートル近い道の両サイドには学生たちが直立不動のまま韓鶴子氏が乗車する車両を見送った。学生信者たちは「お母様、愛しています。お元気で」と文字が書かれた制服を見せながら頭の上で大きなハートマークを作り出国を見送った。

情報提供者A氏はストレートニュースの取材に対し、「韓鶴子氏の車両に乗っていた秘書室の人間が撮影し、広報部が信者向けにYouTubeに投稿したようだ。故文鮮明(ムン・ソンミョン)氏は生前何度も外国を訪問しているが、ここまで信者を動員した大規模な歓送式は一度も行なったことはない」と述べた。

地元住民は「北朝鮮の将軍様が乗った車が移動しているのかと思った。いつの間に訪韓したのかと驚いた。民主主義の韓国でこんなことをやっているなんて恥ずかしい」と冷ややかだ。

白い車に乗る韓鶴子氏。歓送式に参加した学生は突然頭の上で大きなハートマークを作り再臨のメシアを見送った。写真中央奥には鶴子氏の石像が見える(画像:現代宗教)

この映像がコロナ対策を無視したものだと批判が強まる中、統一協会関係者は「歓送式に参加したのはコロナ検査を終え、普段から寮で生活している学生たちだ。元気で行ってきてほしいという思いで挨拶したにすぎず、室内であれば感染が心配だが屋外なので安全だ」と答えた。

14日付けの韓国異端問題専門紙「月刊現代宗教」によると、去る9月28日には、統一協会の「聖地」である清平に巨大な韓鶴子氏の石像を建て神格化に一層の拍車をかけた。専門家は「韓鶴子による神格化はエスカレートする一方だろう。自己満足のために巨大建造物に財を投じ、亡き夫で再臨のメシアだった文鮮明氏の影響力をなくすことが目的だ。息子たちとの後継争いと内部の権力闘争で自分が優位に立つためのパフォーマンスだろう」と指摘した、と報じている。

統一協会側は動画を削除したが、メディア各社が関連映像を報じると著作権侵害の申し立てを行ないそれら動画も削除された。「都合が悪いものは削除」という韓国異端・カルト特有の手法だ。現在どこにも配信されていない。新天地によるコロナ拡散事件を皮切りに韓国内の宗教施設で起きるクラスターに政府は神経を尖らせている。今回の映像によって教祖のために学生が感染という危険に晒されている実態が明らかになったといえる。

 

統一教会の申し立てを受け削除された問題の動画(韓国ストレートニュースの公式動画より)

 

統一協会 文鮮明は象徴か。妻の鶴子氏の神格化はますます進む