ひとり10冊を売らなければ・・・。韓国人は1,600円程、日本人は1,650円で販売

統一協会。40代くらいの世代層は誰もが一度は耳にしたことがある韓国発の宗教団体だ。世界規模で信者を抱える「超巨大教団」である。韓国人の文鮮明が設立。再臨のメシアとして信仰され、世界中に信者がいる。文鮮明が死去すると妻の韓鶴子(ハン・ハクジャ)が最高権力の座に就き、夫の文鮮明のメシア性を否定。自分こそ再臨のメシアだと宣言し統一協会を率いている。

今年5月16日付け教団公式発表で名称を「世界平和統一家庭連合」(旧統一協会)から新たに「天の父母様聖会」(英名:Heavenly Parent’s Holy Community)と変更したばかり。教団の公式サイト上では新名称を使わず、従来の家庭連合を使用しているが、関係者によると「内部では天の父母様聖会で教団名は通っている」という。いわゆる「世界の終わり」(終末)を意味する地上天国の完成についてもビッグイベントを開催するごとに「日付変更」が韓鶴子氏から宣言。信者はめまぐるしく変化する自称再臨のメシアの言葉と組織の変化についていくのがやっとだという。

統一協会の活動は一般人にはほとんどわからない。「もう日本から撤退した」と思い込むキリスト教牧師も少なくない。「目に見える活動が激減したため」と専門家は語る。それでも有名大学には旧原理研究会がいくつも入り込み、影響を受けた学生は「社会から離脱して」この教団の人間に成長していく。また探しても「これか」などと見つかるようなものではない。名称を変え、教会も表立って看板を出さないケースも目立つ。本紙が取材したところ某県某所の支部教会はビルの一角を借り上げて活動していた。看板はなく周囲すらその存在を知らなかった。近くに学校がある。賑やかな商店街に紛れ込んでいた。某日様子を見にいくと主婦層の女性たちが複数出入りしていた。自転車には周辺校のPTAが配るプレートがついていた。どこかで布教し、こうした比較的若い主婦層を獲得していることがうかがえた。周囲には一般のキリスト教会も多い。某教会の牧師に「近くに統一協会があることを知っているか」と訪ねたところ「知らない。初めて聞いた」と驚いていた。最近、聖書の言葉が書かれたプリントが周辺の集合住宅に配布されていたことがわかった。教会名もなく連絡先もない。某牧師は「統一協会が信者に配らせているのでは」と不安そうに語った。

本紙宛てにAさんという統一協会関係者から2枚の写真が提供された。Aさんは統一協会が日本人を特に蔑んで献金や販売ノルマを課すことに強い違和感を抱くという。少しでも実態を知ってほしいと情報を寄せてくれた。

統一協会関係者Aさんの情報

Aさんは次のように語った。「統一協会では再臨のメシアとして崇められている韓鶴子(ハン・ハクジャ)総裁の自叙伝をすでに10万部以上発行しています。教団が命じる献金ノルマ、物販ノルマの現状を知ってほしいと思い写真を送りました。」

「韓鶴子総裁の自叙伝「平和の母」は韓国人の食口(シック=信者)は1冊1,600円程、日本人は1,650円で販売しなければいけません。日本人は10倍のノルマを課せられることもあります。文鮮明の自叙伝(2011年頃)はひとり430冊も事前購入し、それを無料配布したケースもありました。43万円です。全額、教団に納められます。」

2009年発行の故文鮮明の自叙伝。2011年日本各地で配布された。43万円を払って430冊購入させられたケースも(写真:Aさん提供)

「韓国人食口は幹部になるとノルマが課せられますがそこまで厳しくないようです。特に何冊売るかではなく、何冊配り、何人に伝道できるかが問われます。その結果で表彰されることありました。」

日本人はすべてにおいて格下

「統一協会は組織的に韓国より日本はすべてにおいて格下です。教理の中でアベル国家(韓国)、カイン国家(日本)と教えます。聖書の中で兄アベルは弟のカインに妬まれて殺されるという話が出てきます。人類最初の殺人事件だと教えています。統一協会の文鮮明は、日本人は植民地時代に韓国を苦しめ酷いことをした国民だから殺人を犯したカイン(日本)は兄であるアベル(韓国)より下だと教えるのです。自叙伝の販売もこうした理由から特に厳しいノルマが日本人に課せられます。こんな酷いことを教わっても日本人信者は韓国人メシアの言葉に酔いしれ喜び、もっともっとと捧げてしまうのです。統一協会は文鮮明や韓鶴子の根底にある日本への憎しみと憧れからくる嫉妬の塊が宗教化しただけのものです。ずっとメシアと信じて捧げてきた文鮮明は死にました。イエスの代わりに再臨したキリストがなぜ死ぬのでしょうか?さらに矛盾したことに、彼の妻である韓鶴子は死んだ夫の文鮮明はメシアじゃないと宣言しました。自分がメシアだと。統一協会は一体何人のメシアがいるのでしょうか。日本人を許せないメシアがなぜ神なのでしょうか?世界統一、宗教をひとつにして韓国に神の国を作ると教えています。」

最後にAさんは「日本人は100%自腹で買わされ、言われた数を売らなければいけません。霊感商法は表立ってできなくなりました。でも、未だに見えない締め付けは続いているのです。どんどん厳しくなる一方です。この現実を知ってほしいと思います。」と語った。

 

  • 統一協会の「カイン・アベル」についての参考資料はこちら

特集「素人でもできる異端の教えの見分け方」《聖書解釈の原則5》

 

統一協会では二世問題が社会的に注目され始めている。教団は日本の政界にも深く関与しており、アメリカでは南部バプテストの著名な牧師が統一協会の式典に出席し韓鶴子氏を賞賛するメッセージを寄せた。合同結婚式や独特な雰囲気ばかりに目が行きがちだが、実態はそんな甘いものではない。深刻な金銭搾取、労働搾取は今も続いている。専門家には多くの被害相談が寄せられている。見えにくい人権侵害に世間は気づけていないだけかもしれない。Aさんの情報提供を受け、組織的なノルマの存在を確認することができた。今後も統一協会を追い続ける。

本紙は全国統一協会被害者家族の会や救出、カウンセリングに携わる専門家の牧師、弁護士、関係者と協力しながら有益な情報を発信していきたい。