新天地も検察も判決を不服とし控訴、再び法廷で争うことに

13日、新天地(正式名称=新天地イエス教証拠〈あかしの〉幕屋聖殿)の教祖・李萬煕イマニ=89)氏は一部の罪で有罪が言い渡され、懲役3年執行猶予4年の判決を言い渡された。検察は、新型コロナウイルスを拡散させた上、防疫当局の協力を妨害し、信者リストなど必要書類を正確に提出しなかったことが教祖の指示で行なわれた「隠蔽」にあたると判断、感染症予防法違反で懲役3年を求刑していた。

教祖は判決の翌日、14日には健康そうな姿で新天地の公式的な講義動画に登場した(画像:CBS)

CBS(韓国キリスト教放送)によると13日、車椅子で出廷したイ・マニ氏は髪の毛が真っ白で具合が悪そうな表情で終始うつむいたままだったという。しかし、1審の裁判が終わると、その翌日には正式な場に姿を現し、逮捕後の拘留生活をまるで武勇伝のように語り、看守たちが自分を称賛したなど自画自賛する発言を繰り返したという。髪の毛を真っ黒に染め、1時間以上の講義を立ったまま行なうなど健康状態の良さも確認できた。イ氏は去年8月1日に逮捕され水原拘置所に収監されたが公判中に高齢であること、不慣れな拘置所生活があまりに苦痛だと訴え、「(ここを出られなければ)自殺したい」と泣いて保釈を求めるシーンも見られた。「もう歩けない」「いつ命が尽きてもおかしくない」など弱音を吐いたという。

イ氏は新天地の中でイエス・キリストを代弁する救い主と信仰されており、肉体も魂も永遠に死なないで生き続ける不死身だと神格化されている。自分が世界中でたった一人、約束された牧者で14万4千人の民(信者)の王となって韓国の果川(クァチョン)本部を地上の楽園にすると聖書講義を通じて説いている。死なない救い主が「死にたい」と泣き言を法廷で語り始めたことで、幹部級信者は一般の傍聴者を法廷に入れず、全席を信者だけで埋め尽くそうと毎回詰めかけた。末端の信者に弱音を吐く教祖の姿を見せないための情報統制だと考えられている。しかし、裁判によって教祖の裏の素顔が明らかになった。不倫、不貞行為、こうした事実は元新天地ナンバーツーのキム・ナミ氏が証言台で暴露した。また、「不死身」であるはずが、毎月のように統一協会が運営する病院に通い治療を受けていたことも明かした。

出廷する際は車椅子に座り、体調不良を訴えていた(画像:CBS)

14日、新天地の講義の場に現れたイ氏は大きな声でハキハキと話し、健康そのものに見えた。前日の判決の場では「体調が悪いので判決は車椅子に座ったまま聞かせてください」と代理人が裁判官に求める場面も。教団関係者のナレーションでは「すべての新天地12支派(教区)は約束された牧者の声を再び聞くことを待ち焦がれていた」と教祖を称賛。イ氏はすたすたと歩いて登場した。イ氏は拘置所生活が自分にとって霊的に快適だったと言及。そこで読み書きしたものは世界中に「手紙」となって広がるでしょうと自慢した。また「(収監中)良い働きを続け、新しく世界に教えを広めたいと思わされた」と語った。

この発言は驚くべき内容だ。裁判で保釈を申請した際は「裁判が終わるまで自分の寿命は尽きるだろう」とまで述べていたからだ。「自殺してこの苦しみから逃れたいのですが」とも語っていた。やはりイ氏は司法も韓国社会も欺いたのだろか。

また、これら報道に対し、一般読者(視聴者)は裁判を担当した判事に対しても批判的なコメントをネット上で投稿している。今回の裁判は、新型コロナ拡散という最大の争点にほとんど言及せず、防疫当局の初動調査が「情報提供を求めたもの」だったのか、強制力を伴う疫学上、必要な調査だったのか、この2点に審議が集中した。最終的に裁判所は情報提供を求めた防疫当局に対して新天地はすぐに全ての資料を提出できなかっただけで、それは隠蔽など組織的なものではない、とし「感染症予防法違反」にはあたらないと判断し無罪を言い渡した。

本紙は独自に、コロナ拡散事件が起きる渦中に韓国で新天地信者として活動していた元信者某氏から話しを聞くことができた。某氏は「教団から他の教会に入り込んでコロナを感染させたことを隠すように指示を受けていた」と証言した。

今回の判決を受け、イ氏は代理人を通じて有罪が認められた「横領」などの事実について判決を不服とし即日控訴した。同時に検察も「感染症予防法違反」が無罪となったことを不服とし控訴した。再び、検察と新天地の激しい争いが法廷で繰り広げられることになりそうだ。

一方で日本国内の活動も活発化している。大阪新天地で代表的立場にあると自称する「兵頭」(ひょうどう)と名乗る人物がブログを立ち上げ、新天地を公式に広報しながら教祖に有利な情報を広めていることが分かった。国内では最近になって活動拠点こそ不明な部分が多いものの、出会い系サイトやSNSを使い相手を騙して新天地に引き込む布教に力を入れ、対外的に新天地が作り上げた陰謀論やフェイクニュースを発信するホームページを立ち上げ始めている。少なくとも4つ、5つのサイトが確認できる。主に東京シオン教会(新天地)の日本人信者I氏が管理しているようだ。社会を敵視するような内容が目立つ。教祖みずからパフォーマンスに長けているこの宗教団体は、偽装布教、偽装センターという騙しの手口がより巧妙化し若者を引き込んでいくのだろう。今後の動きを注目したい。