教祖の神格化がよりエスカレート、日本国内で100人超えのオンライン講義
検察は政府の防疫活動妨害容疑で逮捕起訴された新天地イエス教の主要幹部らに対し実刑を求刑した。
水原(スウォン)地裁刑事第15部のイ・へリン判事は12月11日、新型コロナ感染症予防法違反、偽計による公務執行妨害、証拠隠滅指示などの疑いで起訴された幹部信者コ某被告ら9人に対する結審公判の弁論を終結した。
検察は今年2月、全国で31番目に新型コロナ感染者と確認された新天地信者から大邱市を中心に急速に感染拡大した事件について、発端は新天地から始まっており、コ被告ら9人は新天地の総会長李萬煕(イ・マニ=89)被告から指示を受け、政府の立ち入り調査を妨害したとみて追及してきた。これに対し起訴された主要幹部コ某被告とクォン某被告にそれぞれ懲役2年6ヶ月、チョン某被告には懲役2年を求刑した。
また在宅起訴されたイム被告には懲役2年、キム被告は懲役1年6ヶ月を、残りの4人の被告(いずれも在宅起訴)は全員懲役10ヶ月を求刑した。
検察は「この事件は政府の防疫活動を組織的に妨害したもので、新型コロナ発生初期に総会長であるイ・マニ被告を中心に新天地は数多くの違法行為により国民を生命の危険にさらすなど事態は非常に深刻で重大だ」とし、「宗教団体としての組織的な妨害であってその背後にはイ被告に対する絶対服従があり、彼らは自分たちの利益を優先するなど反省することなく不法行為に加担した」と述べた。
続いて、「新天地は防疫当局の調査に協力するふりをしながら実際はそうではなかった」とし、「イ被告の目的達成のためなら嘘を辞さず、様々な方法で証拠隠滅を図った事実が確認された」と付け加えた。
また「社会全体が前例のない危機に陥る中、彼らは積極的に防疫活動に協力するべきだった。もし協力していたらこのような悲劇は起きなかっただろう。本当に残念だ」と締めくくった。
被告らは選任された弁護人を通じて最終弁論を行ない、全員が無罪を主張した。「新型コロナの拡散の原因は新天地であるという根拠はどこにもない。私たちは加害者ではなく被害者である」、「この事件は国民の偏見的な見方により誤った情報が世論になびいてしまった。その影響がこのような事態を招いた」と述べ、国民を批判した。
また、「被告人らは初犯である点、扶養家族がいる点、立ち入り調査は疫学調査ではなく、実際は行政による調査だったということ、証拠隠滅を行なった事実はないことを考慮してほしい」と求め、「被告9人はコロナの終息を誰よりも強く望んでいる」と付け加えた。最後には「被告に有利な情状酌量を強く求める。世論が影響して見解が異なろうと事情を考慮してほしい。寛容な判決を求める次第だ」と述べた。
9人の被告は「事実関係は認める。ただし、我々は当時、信者の個人情報を保護する責任があった。その結果、こうした結果が出たことは残念に思う」とし、「騒動に発展したことは申し訳なく思っている」と述べ、最終陳述を終えた。
高等裁判所は「採用した証拠記録と捜査報告書を検討した上で双方が主張する立場、趣旨を精査した上で判決理由を言い渡す」と述べた。9人の被告らは2021年1月29日に判決が言い渡される予定だ。これにより新天地イエス教の教祖をトップとする主要幹部、執行部ら18人の裁判は判決を待つのみとなった。
異端・カルト110番編集後記
「新天地は信者にも外部に対しても人権侵害を続けている」
韓国の宗教団体が関係した事件でこれほど多くの幹部らが逮捕起訴されたのは近年例がないと言われている。新天地は教祖イ・マニ被告が「保釈」されたことを「釈放=無罪」と日本人のオンライン受講生に教えていることがわかった。また、裁判の過程は教祖が「約束の牧者」として新約聖書の黙示録(啓示録)の預言を成就し勝利しているとも教えている。事件が起きてもその事実から目を背けさせ、聖書の一文脈を利用して「根拠」とする典型的な異端、カルトの手法だ。
コロナは「サタンによる謀略」であり「韓国政府による陰謀」だと主張。教祖の判決が言い渡される2021年1月13日までに新規の信者を獲得するため精力的に活動していることがわかった。日本の新天地は拡大を目指している。集会型のイベントやセミナーを控え、アプリや出会い系サイトで勧誘した日本人を集めオンライン教育が進められている。本紙が調査したところ東京、大阪だけで100人から150人を超える日本人が現在も教育課程にあることを確認した。日本人は韓国の報道を言語の問題などから正確に知ることが困難だ。これを良いことに誤った情報を伝え、社会を敵、生みの親を悪魔、既成教会を腐敗した偽牧師、救出にたずさわる専門家を「強制改宗者」と名指しで批判している。自由恋愛を禁じ、決められた相手と信者同士の結婚が準備されている。来年、韓国でその計画が進んでいることもわかった。本紙は偽装布教を続け、相手を騙して組織に引きこみ、社会を敵視する新天地の活動を今後も追跡する。本紙開設から今日まで民放テレビ局や週刊誌からも取材を受けてきた。この宗教団体の実態を明らかにすることができたと自負する。
新天地の講義を受け疑問を抱く人たちは本紙にまず相談してほしい。「入り口は甘く、実際は悲惨」これは韓国の新天地被害から見えてくる実情だ。「まさか私が」、脱会者は口を揃えて言う。最初から「新天地の教会です。いらしてください」と誘われた人はいない。騙され誘い込まれたはずだ。韓国では専門のカウンセラーが常駐する異端相談所には毎年何百人もの被害者が相談に訪れる。親身になって体をはって脱会者を守るカウンセラーは何度も信者らに襲撃され、命を落としかけた人たちもいる。これが現実だ。
入信後、所在不明になった若者が大勢いることも忘れてはいけない。子どもの帰りを待ち、抗議活動を続ける被害者家族の切実な思いに耳を傾けてほしい。信者は入信するとき、家族の名前から職場、あらゆる個人情報を提出する義務がある。それを「神様(イ・マニ)」に見てもらうのだという。しかし脱会後、家族や職場に脅しをかけられた被害報告も後を絶たない。個人情報が利用されたのだ。
教祖には妻がいる。それなのに20年も愛人と寝食を共にした。金のトラブルで都合が悪くなると2017年に彼女を追放した。信者はこの女性をイ・マニ同様に崇拝していたのに。イエス・キリストの代理人がすることだろうか。今回の裁判でこの女性は教祖の不正行為を証言した。
約束の牧者で永遠に死なないと信じられているイ・マニ被告はまもなく命尽きるだろう。彼は90歳を迎える。その時、新天地は受講生や信者にどのように説明するのだろか?「霊だけではない、肉体も死なない」というのに。本紙は深刻な人権侵害が内外で続いていることを注視している。