統一協会(世界平和統一家庭連合)の霊感商法的手口による資金収奪や、合同結婚式で生まれた祝福家庭の二世などから寄せられる深刻な消費者被害や人権侵害に対して、法的に対処すべき案件について早急に被害救済の実現を図ろうと、昨年11月、全国の200人を超える弁護士らが「全国統一教会(世界平和統一家庭連合)被害対策弁護団」(弁護団長・村越進弁護士)を結成した。同弁護団が取り組んできた総額35億円を超える被害に対する損害賠償請求交渉の経緯について、817日ホームページに弁護団長談話をアップ、裁判所に民事調停を申し立てたことを発表した。

全国統一教会(世界平和等いる家庭連合)被害対策弁護団のホームページ

「民事調停申し立てについての弁護団長談話」によると、弁護団はこれまで統一教会に対し、今年222日以降四次にわたり、合計109人の被害者(通知人)について総額35億円を超える損害賠償請求を行い、集団交渉を求めてきた。これに対し統一教会は721日までに、第二次までの通知人70人について、各地の「信徒会」が調査したとして、信徒会代表等を名乗る信者個人名義での多数の個別の回答書を弁護団に送ってきた。

回答書の内容は要約すると、①古いことであって確認できない、②損害の証拠は弁護団が出すべきであり、献金記録の開示請求には応じない、③20年以上前のことであり、民法の除斥期間が経過し請求権は消滅している、④本人が信仰心に基づいて自主的に行なった献金であり、違法性はなく不法行為ではない、⑤物品を販売したのは統一教会ではなく、販売会社である、⑥清平(韓国)における献金等に統一協会は関与しておらず、韓国の法人を相手とすべきである、とするものが大半であり、ほとんどの事案で統一教会の責任を認めようとしない回答となっているという。

これに対し弁護団長談話は、「信徒会」なるものは過去の複数の判決でその存在が否定されており、少なくとも④⑤⑥については、統一教会のそのような主張を排斥し統一教会の責任を認めた判決がいくつも存在することを指摘。「信徒会」に対応を任せるとし、「他の民事訴訟の結果は本件と全く無関係」などと強弁し続け、「各地の信徒会関係者が進めている調査では、当法人による『違法行為』や『組織的不法行為』などどこにも見当たりません」などと、あたかも被害そのものが存在しないかのような態度さえ見せている、と批判した。

その上で、一部の被害者(通知人)については、「信徒会において献金等として受領したことが確認できた金額を基礎に交渉したい」との意向を示していることについて、談話は、自らの責任を認めざるを得ない事案についてだけ収集を図ろうとするものでしかなく、大半の被害者は置き去りにされたままになってしまうとして、統一教会の提案は、決して被害全体を早期に解決するという方向性に合致するものではない、との判断を示している。

第一次請求からすでに半年近くが経過し、第三次、第四次請求については回答がなく、弁護団からの再三の面談申し入れも拒否している状況の下で、文書での交渉を継続しても解決への道筋が見えてこない。他方で、被害者の中には高齢者や生活に困窮している人たちも少なくない中で、早期解決が求められているとして、731日に東京地方裁判所に民事調停の申し立てをしたことを報告した。弁護団は、交渉の舞台を裁判所に移し、裁判所の適切な関与の下に交渉を加速し、裁判官・調停委員の知見も得て、これまでの司法判断も踏まえた早期公正な解決を図るという。

談話は「早期解決が図れるのかは、すべて統一教会にかかっている。いたずらに事実を争い、解決を引き延ばし被害者の苦しみを長引かせることは決して許されない」として、統一教会に対して、自らの不法行為の結果である深刻な被害に真摯に向き合い、被害救済のために誠実に対応することを強く求めた。

全国被害対策弁護団の活動は寄付金によって運営されている。

*本紙では世界平和統一家庭連合の名称を通常「統一協会」と表記していますが、本記事については「全国統一教会被害対策弁護団」の発表文書に関する部分はその表記に合わせて「統一教会」とします。