韓国主要教団が年次総会で決議する異端·カルト等の規定は、昨年11月までに2022年度のものが出そろった。異端·カルト110番は、そのうち日本でも活動や関係が認められる教団·団体·人物などにつき、提携機関である「現代宗教」の発表に基づいて「異端·カルト情報リスト」に掲載しているが、このほど同欄の「韓国主要教団による異端決議の一覧表」を2022年度版に更新した。
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一覧表中の団体·人物では、崔(チェ)パウロ氏とその宣教団体「インターコープ」に関して、大韓イエス教長老会統合·合同·合神3教団の107回総会で決議がなされた。このうち合神教団(キム·マンヒョン総会長)で初めて、インターコープを「異端」と規定することを決議した。インターコープについては、過激な宣教活動によってイスラム圏などの宣教地で他の宣教団体と摩擦を起こしたり、新型コロナワクチン陰謀論を唱えたりして、韓国内でも他教会と紛争が発生するなど、近年韓国キリスト教界で問題視されている。これまで多くの教団が「参加禁止」「交流断絶·自制」「注視」「警戒対象」「不健全団体」などに規定してきたが、「異端」に規定されたのは初めて。
2022年11月7日付「現代宗教」によると、合神教団異端似非(カルト)対策委員会(ユ·ヨングォン委員長)はインターコープについて、他の教団の研究および決議内容、決議に対するインターコープの立場などを次のように報告した。「宣教現場と地域教会ではインターコープ(チェ·パウロ)によって絶えず問題が発生している。 それなりの処方と反省と努力にもかかわらず状況が解決されないのは、構造的に本質的な問題が除去されなかったためだ」とし、「韓国教会がインターコープ(チェ·パウロ)に機会をもっと与えようという考えと判断で待ち続けるのは教会と聖徒を考えるとき危険な判断であり、教会を保護できない」と強調した。 そして「次のような理由で『異端』に規定し、韓国教会と聖徒を保護することが要求される」として異端決議の理由を明らかにした。
1.ベレヤとの関連を認めたことがなく、関連性を否定する。
2.新使徒運動との関連を認めず、関連性を否定する。
3.様態論の深刻な問題点を抱えていながらも、認めたことがない。
4.地域で教会との衝突を起こし、地域教会に深刻な困難を引き起こす。 教会の属性である普遍的、使徒的、神聖性、統一性を持っていない。
5.宣教地で他の宣教機関の宣教師たちと衝突を起こし、宣教地での普遍的教会政治に従わず、宣教現場で排他的宣教行為により深刻な問題を起こす。
合神教団では2013年98回総会で、インターコープ(チェ・パウロ)について「二元論的思想、非聖書的バック・トゥ・エルサレム福音の西進運動、歪曲した終末論と反キリスト論」を理由に「参加禁止及び交流禁止」規定を決議していた。
韓国最大教派の合同教団(クォン·スンウン総会長)はインターコープ(チェ·パウロ)について、2013年98回総会で、「フリーメイソン陰謀論、極端なディスペンセーション主義的終末論、二元論的二分法」を理由に「交流断絶」規定を決議。2019年に「交流断絶維持」、2020年に「参加禁止及び交流断絶維持」規定を決議していたが、2022年107回総会でも同様の規定を再確認した。
統合教団(イ·スンチャン総会長)はインターコープ(チェ·パウロ)について、2011年96回総会で「教理的に非妥当、危険」として「注視、参加自制」規定を決議。2013年総会で「解明と反省の真正性を見守る時間が必要」として「注視、参加自制」規定の維持を決議し、2015年総会でも同様の判断を再確認していた。同決議を踏襲した2022年総会で同教団異端対策委は、▶︎教義上では異端性がない▶︎問題は地域教会及び宣教地での現地教会との葛藤にある、との見解を示し、「インターコープ宣教会が本教団に向かって真正性のある立場を発表し、それを実践するため了解覚書を作成し、本教団から教理と神学の指導を受け、共働する宣教団体に生まれ変わることを希望する」とし、問題の事案が改善され、誠実に履行する場合は1〜2年内に再考することができる、との余地を残した。
インターコープが作成し送ってきた了解覚書には、神学大学院レベルの教育課程を設置し、「教理と異端」「カルバンのキリスト教綱要」及び統合教団所属の教会指導者特講の過程を誠実に受講し、主要幹部と宣教師は必ず単位を履修し、▶︎単位履修者のみを長期宣教師として派遣する▶︎地域の教会と統合教団所属の宣教師たちの活動に危害が及ばないように留意する、などと記されているという。
なお、日本で活動や関係が確認されている団体の中には、2022年総会で「異端解除」が決議されたケースはなかった。