女性信徒への性的暴行容疑で再び拘束された摂理(別名:JMS、正式名:キリスト教福音宣教会=CGM)の教祖・鄭明析(チョン・ミョンソク)の教えは、聖書にある概念を使いながらそれを歪めて非聖書的な教理を作っている。その特徴をよく表す「天使・サタン」について、摂理の元副総裁で脱会後に“JMSを離れイエス様のもとへ”を標榜する「Naverカナン」カフェマネージャーを務めているキム・ギョンチョン氏(大韓イエス教長老会回復教会担任牧師)の解説記事「JMS天使サタン論」が8月23日、「現代宗教」に掲載された。
以下に、同記事を翻訳転載する。
チョン·ミョンソクは天使とサタンについて聖書にないことをたくさん話す。その理由は、自分は霊的知識が多く、霊界の巨星だと自慢し、人々を惑わし引っ張っていくためだ。
《チョン·ミョンソクの主張》
1. 天使はどんな存在なのか?
①「人と同じ形だが、霊体で存在し、身長は2メートル程度だ。」②「天使にも性別がある。」つまり男の天使もいれば女の天使もいる。③「天使は翼があるのではなく、翼のように見える衣装に過ぎない。」使命によって衣装が多様で、翼が大きいほど高い階級だ。羽のない衣装もある(ヘブル1:14;ルカ24:4;マタイ28:2-3;マルコ16:5;黙4:8)。
2. 天使の職位
天使も使命、真理、個性の級によって職位が違う。①天使長:ガブリエル。②天軍長:ミカエル。③天軍:天国軍隊としてサタンを相手に戦う。彼らは霊的武器を持ち歩いている。④警護天使長:ルシエル(神の創造目的に反対してサタン・ルシファーに変質する)。
3. 天使への接し方
大切にし、関心を持って真心を込めて接しなければならない。見えなくても祈り、対話もし、素晴らしい存在だと褒めなければならない。自分の守護天使が目には見えなくても、常に側にいることを信じる者が福のある者だ。
4. サタンの起源
ルシエルは神様が愛の対象体である人間を創造することを嫌い、反対した。地上世界の創造に反対した。これによって神様は天使長ルシエルを追い出した。それでルシファーになった(Ⅱペテロ2:4; 黙12:7-9; イザヤ14:12)。
5. サタンの特性と主観世界
サタンは人間が神を愛し、そのことばに従順で花嫁になって生きることに最優先で反対し、できないよう誘惑する。完璧な真理を受けたなら、他人の主観を受けてはならない。他人の主観を受ければ、自分自身の主観を奪われるのだ。サタンが人の霊人体に行って直接心をつかむことをいう。自分の中でサタンが主人の役割をする。パン切れを受けた後すぐサタンがその中に入った(ヨハネ13:26-27) 。
6. サタンの属性と軌跡
嘘をついてこじれ、天使に見せかけて偽りの啓示を与え、祈りをさせないで……使命者が道を歩けないように濡れ衣を着せ罪人のようにしたりもする……サタンは神と聖者との愛に最も反対する。地上の使命者を愛し、従うことに反対し、阻止し、不信させる。人を使って邪魔する。
7.サタンに勝つ方法
①サタンは聖者の主と一体になってこそ勝てる。絶対時代を送った者を信じて聖者・主を愛してこそ勝つ。②悔い改めないと勝てない。罪があれば絶対にサタンを治めることはできない。③御言葉、祈り、聖霊の火、自分の肉声と戦って勝たなければならない。賛美と感謝で勝つ。
8. 鬼神(悪霊)
救われざる者の霊であり、各種の病気を与え、争いを起こし、サタンの鐘を鳴らす。
結論
この時代も新約子供権世界で聖約神父級の歴史を展開すると、より死亡権が旧時代の子供権がまた反対し、サタンの仕業をする(訳注:聖約時代にもサタンは働いている)。神様は自分より他の者をもっと良く思うと、嫉妬してルシファー・サタンの仕業をするのだ。主とその送った者を絶対信じて従う時、サタンを縛ることができるのだ。また、自分が神様とキリストと一体になった霊にならなければならず、話を聞くだけでなく自分を直していかなければサタンが隙を与えてない。
《反証》
1. 天使はどんな存在なのか?
天使は男女の性別がない。天使の身長が2メートルだということも聖書にはない。復活の時には結婚もなく、天の御使いたちと同じだから(マタイ22:30)、天使に性性があるかどうかという問題は非常に重要だ。チョン·ミョンソクの堕落論によると、キョンホ天使が男の天使であり、それで成長中のエバのところに行って性的な誘惑をしたと主張するためだ。天使が2メートルということばが聖書のどこにあるのか? そして天使の翼が服を意味するとは断定できない。実際、翼があるとは信じがたいが、チョン・ミョンソクのようにないと信じることはさらに難しい。 聖書には、ケルビムは翼が4つあり(エゼキエル1:6)、セラフィムは6つと数字まで出ているからだ(イザヤ6:2)。聖書にないことを言う場合、彼が新しい真理を言っているのではなく、ただ嘘をついている可能性が高い。「神のことばに付け足しをしてはならない。神があなたを責めて、あなたが偽り者とされないために(Do not add to his words, or he will rebuke you and prove you a liar)」(箴30:6)
2. 天使の職位
①神の補佐官。ケルビム(Cherubim)とセラフィム(Seraphim):ケルビムは楽園の入口を守り、贖いの座(新改訳2017では「宥めの蓋」)を覆って(出25:20)、神様の降臨に同行する(Ⅱサムエル22:11)。神様の権能と威厳と栄光を啓示する。ケルビムの上に座しておられる神様(Ⅱ列王19:15;詩99:1;イザヤ37:16)。贖いの座を覆う(ヘブル9:5)。セラフィムは、神の周りで補佐し神に仕える。また称賛を捧げる。待機状態で命令を待つ天使だ(イザヤ6:2、6:6)。②天使長:ミカエルは神の勇敢な天軍将である(ダニエル10:13、21、12:1;ユダ1:9;黙12:7)。ガブリエルは啓示伝達と解釈をした(ダニエル8:16-17、9:21; ルカ1:19、26) 。③サタンの正確な名前は分からないが、よくルシファー(Lucifer)という。イザヤ14章12節でバビロン王をルシファー(夜明けの星)にたとえたが、そのバビロン王がまさにサタンを意味していると解釈するのだ。KJV聖書ではLuciferと書き、他の翻訳本では morning starと書いてある。
3. 天使への接し方
天使と直接的に通じようとしてはならない。天使と直接疎通しようとすると、天使崇拝に陥り悪霊に惑わされる。私たちは神様に祈り、神様が天使を通じてでも、自然を通じてでも応答するのだ。「自己卑下や御使い礼拝を喜んでいる者が、あなたがたを断罪することがあってはなりません。彼らは自分が見た幻に拠り頼み、肉の思いによっていたずらに思い上が」る(コロサイ2:18)。
4. サタンの起源
①聖書に、神様が天地を創造して人間たちを創造する時、ルシエルが反対したり嫌がったという話はない。その時、夜明けの星たちが喜び、歌いながら神様の息子たちがみんな喜んで叫んだ(ヨブ38:7)。②サタンは人間を創造する前にすでに天国から追放されていた。天に戦いが起こったが敗北して天から追い出されたのだ (黙示録12:7−8; Ⅱペテロ2:4; ユダ1:6)。③選ばれなかった天使たちが堕落した。「神とキリスト・イエスと選ばれた御使いたちの前で…」(Iテモテ5:21)。
5. サタンの属性と特性
天使が傲慢で神様になることができずサタンになった。 ①エバを誘惑する時も「それを食べるそのとき、目が開かれて、あなたがたが神のようになって…·」 (創3:5)。 ②バビロン王とツロ王も神様のようになろうとしたが滅亡した。「密雲の頂に上り、いと高き肩のようになろう…·」(イザヤ14:14)。「あなたの心は高ぶり『私は神だ。海の真ん中で神の座に着いている』と言った」(エゼキエル28:2)。③サタンは礼拝を受けたいと思っている。サタンがイエス様に現れ、天下万国の栄華を見せながら、自分をひれ伏して拝むなら、これをすべてあげようと誘惑した(マタイ4:8-9)。今も、自分を信じれば天下万国を与えると惑わすのがサタンだ。今日、サタンが教祖を通じて現れ、教祖を拝するように言っている。 したがって、異端の教祖を信じることはサタンを礼拝することだ。④異端の教祖たちは自分を神格化し、反キリストになった(マタイ24:5; Ⅱテサロニケ2:4)。
6. サタンに勝つ方法は?
イエス・キリストへの信仰でサタンに勝つことだ。「…しかし、勇気を出しなさい。わたしはすでに世に勝ちました」(ヨハネ16:33)、「神から生まれた者はみな、世に勝つからです。私たちの信仰、これこそ、世に打ち勝った勝利です。世に勝つ者とは誰でしょう。イエスを神の子と信じる者ではありませんか」(Iヨハネ5:4-5)、したがってサタンに勝つ方法はイエス·キリストを信じることだ(ヨハネ3:14-15; 創世記3:15; 民数記21:8;コロサイ2:15)。イエス·キリストが十字架でサタンに勝ったからだ。「様々な支配と権威の武装を解除して、それらをキリストの凱旋の行列に捕虜として加えて、さらしものにされました(コロサイ2:15)。
7. 鬼神(悪霊)は?
鬼神(悪霊)は救われずに死んだ魂ではなく、サタンの手下だ。
結論
チョン・ミョンソクは過去には、サタンの起源について警護天使長がエバを惑わしてサタンになったと教えた。しかし、今は神様の人間創造に反対していたが、サタンになったと修正した。修正したこと自体が異端であることを自認したものだが、修正した内容も聖書的根拠がない。天使に性別があると主張し、身長は2メートルだと主張する。このような聖書にもない主張は、新しい真理でもなく高い真理でもない。チョン・ミョンソクは啓示されたと主張するが、聖書にもないことを加えて言えば嘘つきになるだけだ(箴30:6)。聖徒たちは十字架の道以外は自慢したり知ったりする必要がない。誤った教理は誤った信仰生活を送らせる。異端者たちは神の意思を行うのだと信じているが、実はサタンの意に追従しているのだ。
《異端・カルト110番のコメント》
韓国系の新興異端の教えはその多くが善悪二元論で成り立っており、自分たちは神の側、反対者・批判者はサタンだという図式で、家族やキリスト教会の忠告に耳を貸さないよう信者たちをマインドコントロールする。上記のチョン・ミョンソクのサタンに関する主張には、その特色が如実に表れている。
例えば「5.サタンの特性と主観世界」では、「サタンは人間が神を愛し、そのことばに従順で花嫁になって生きることに最優先で反対し、できないよう誘惑する。完璧な真理を受けたなら、他人の主観を受けてはならない。他人の主観を受ければ、自分自身の主観を奪われるのだ。サタンが人の霊人体に行って直接心をつかむ…」と、神に従順に従っている自分たちを批判する「他人」の考えを受け入れれば、サタンに支配されてしまうと恐怖心を煽っている。
「6. サタンの属性と軌跡」では「使命者が道を歩けないように濡れ衣を着せ罪人のようにしたりもする……サタンは神と聖者との愛に最も反対する。地上の使命者を愛し、従うことに反対し、阻止し、不信させる。人を使って邪魔する」と言う。この論法は、メシアとして特別の使命を持ったチョン・ミョンソク教主が「罪人」扱いされるのは濡れ衣だという、組織の主張を彷彿とさせる。
チョン・ミョンソクが強姦罪で有罪となり10年の刑を受けても、同じ罪で再び逮捕され拘束されても、それは冤罪でチョン・ミョンソクは無実だと摂理の信者たちは信じさせられている。キム・ギョンチョン氏の教理解説から、そのマインドコントロールの仕掛けが透けて見えてくる。
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