汝矣島純福音教会に続いて、また別の教会で宣伝活動 人々の不安につけこむ偽者に要注意

 

ニュースアンドジョイ

携帯するだけで新型コロナウイルスに感染しないという「アンチ・コロナウイルス・カード」を汝矣島純福音教会(日本支部教会はフルゴスペル系列)の主任牧師イ・ヨンフン氏が信者に提供し大きな論争を引き起こした問題で、カードを発明したキム・ヒョンウォン教授(延世大学原州医科大学所属)が今度は光州アンテオケ教会(朴ヨンウ牧師)で同じカードを配布し、牧師まで巻き込んで問題発言を繰り返したことがわかった。

偽情報を言い広めているキム・ヒョンウォン教授、光州アンテオケ教会の壇上で語った(画像:ニュースアンドジョイ)

キム教授は7月3日の金曜礼拝に登場。「私が発明したカードはコロナを寄せ付けません。すでに多くの効果を確認しています」と述べると、自前の「ファンダイム科学」が完全に立証されたと自慢した。

キム教授は過去に「自由に意思をもって作用する水を開発した」と宣伝し5000人以上に販売。総額17億ウォン(約1億7千万円)を売り上げ、警察に摘発され有罪判決を受けた人物だ。医学的にも科学的にもまったく根拠がなく効果も期待できない水道水を「生命の水」と称して売りつけた。この水を飲めばガンや難病がすぐに治ると宣伝したが、購入者から「騙された」と苦情が殺到し事件が発覚した。その後もローカル番組に登場しては発明品を宣伝し、物議をかもしていた。巷ではキム教授は「教会に潜む詐欺師」と呼ばれ、医学界からも批判を受けていた。

このキム教授が韓国最大級の規模を誇るとされる汝矣島純福音教会のイ・ヨンフン牧師を惑わし、コロナ感染から守るというアンチ・コロナカードを教会側に提供した。今度は光州アンテオケ教会にキム教授は現れた。「私は科学者として公の場でこの商品が神の意志によって開発され、神の国を後押しするものだとは決して言いません。言えば、物質的なものだけを信じる世の中は私を批判します。なぜなら彼らはサタンに支配されているからです。教会員の皆さんは少数派かもしれません。しかし、本物を見ているのです」。こう言いながら自分の技術は神の意志によるものだと強調した。「正しい発言は教会の中で語るべきだ」とも述べた。

汝矣島純福音教会で一部の信者に配布したアンチ・コロナカード。その後、教会側は回収したという。効果はまったくない(画像:ニュースアンドジョイ)

キム教授は「過去に開発したメモリー・ウォーターを普及させるため新しい研究に取り組み、ついにアンチ・コロナカードを完成させたのです。カードを持つだけでコロナに感染しません。またステッカーも作りました。これからすべての家電にメモリ-・ウォーターを含ませたいと考えています。携帯の悪い電磁波も撃退し、暮らしは劇的に良いものになるでしょう」と語った。

過去に摘発されたことについて「一体このカードに何の意味があるのかと思う人たちがいます。皆さんは頭で考えてはいけません。あなたがたに考えてわかるレベルではありません。私という人間が世界に先駆けて開発し、皆さんに提供しているという事実だけを理解してください」と悪びれる様子もなく語った。

アンチ・コロナカードを持ちながら信者に宣伝する汝矣島純福音教会イ・ヨンフン牧師(画像:CBSノーカットニュース)

純福音教会では主任牧師がカードを一部の信者に配布してしまった。このことについて「あの教会に十数万枚のカードを配布したのはカードの有効性を検証するためだった」と述べ、信者らを臨床実験の対象にしたことを認めた上で、「イ・ヨンフン牧師が公に紹介してしまったせいでマスコミから批判を受ける結果となりました。それでも純福音教会の信者の中にはカードのおかげでコロナに感染しなかった人がいます。多くの実例があります」と正当性を主張した。当時、カードを配布した純福音教会側は「検証されていないものを安易に勧めてしまった」と謝罪している。

なぜ、このような人物を教会が招待するのだろか。今回の光州アンテオケ教会も多くの問題を抱えることで有名だ。地元で「お騒がせ教会」として批判されている。朴ヨンウ牧師はWCC(世界教会協議会)について、「共産主義、同性愛を支持している」と主張し、2013年には釜山で反対集会を開いた。また、深刻なコロナ感染拡大の中で条例により対面式礼拝が禁止されると、周囲の反対を無視して礼拝を強行した。「非常識だ」と地元からも批判を浴びたが、朴牧師は「クリスチャンは死んでから天国に行くのだから、コロナに罹ろうが罹るまいが関係ない」と反論した。「なぜそんなに批判するのか」と頭を抱え、この世の感覚は理解できないと発言した。

光州アンテオケ教会主任牧師朴ヨンウ氏(画像:オーマイニュース)

朴牧師の教会は今年の初めにIM宣教会の関係者と交流し140人以上がコロナに集団感染した。朴牧師も感染したという。しかし、その後の取材で「何が悪いのか全く理解できない」と朴牧師は答えている。自身の感染が社会的に問題とされたことが悔しいと涙をにじませて反論した。自分たち(教会)だけがよければそれでよいと考えている、とも述べた。

朴牧師は信者に対し、「アンチ・コロナカードは優れている。キム教授と食事しながら話したがとても立派な方だ。このカードを身に付ければ私たち教会員だけは助かるというわけだ。外国では飛ぶように売れているが、神様が私たち教会に特別に与えてくださった恵みを感謝しようではないか」と述べた。