除名処分を受け届出を提出 大規模集会、組織的隠蔽、陰謀論、過激な活動・・・社会と教会から信用を失った団体と指摘

韓国最大のキリスト教系日刊紙「国民日報」によると「韓国世界宣教協議会(KWMA)の政策委員会は今年2月の会義で崔パウロ氏が代表を務めるインターコープ宣教会を除名とすることを決定した」とし、「法人理事会は6月28日、29日の会義でインターコープ宣教会に対し2年間の会員資格停止と、再加入手続き後、3年間要指導とする内容で懲戒案が決議された」と報じた。

KWMAに加入していたインターコープ宣教会代表の崔パウロ氏。自ら脱退を決意した(画像:現代宗教)

この決定を受け、KWMAの会員だったインターコープは6月29日、自ら団体側に「脱退届」を提出した。インターコープは脱退する理由として、「KWMAにこれ以上負担をかけないため自主的に脱退を決意した。KWMAの指導を受けながら努力してきたが期待に添えることができず騒動に発展してしまい申し訳ない」と述べた。大きな団体に所属することで健全性を担保していたインターコープになにがあったのか。

KWMA対外協力室長の鄭シングン氏は、「2021年2月5日の政策委員会でインターコープ除名について話し合いがなされた」と述べ、除名理由について次のように説明した。

・インターコープ宣教会は韓国社会とキリスト教界から非難に値する活動を続けてきた。独善的で諸教会を批判する姿勢が多くみられた。そして信用を失った。

・調和性に欠けた宣教師たちによる問題行動は継続的に確認されており韓国教会、団体から強い抗議を受けている。

・このような理由からインターコープの存在がKWMAの信頼と評価を下げている。

崔パウロ氏が率いるインターコープ宣教会は主要教団から「関係禁止」などと規定され警戒されてきた。2020年2月、韓国教会の反対を押し切ってKWMA側は「インターコープは改善の兆しがみられる」という理由から会員資格を承認した。しかし、国の法令に違反して大規模集会を数回にわたり行なっていた問題が明らかになり、新型コロナのクラスターが発生。社会的批判を浴びた。

その後、幹部信者2名が感染症予防法違反の容疑で逮捕された。インターコープ側は当初、集会の事実を隠し、参加者に口止めしていた。事実を報じたニュースアンドジョイに対し内容証明を通知して法的圧力をかけた。しかし、崔パウロ氏は態度を一転、謝罪し、この問題もトーンダウンしたかに見えた。

ところが、崔パウロ氏はコロナウイルスのワクチン接種について「ビル・ゲイツ氏による人類統制が目的」などと陰謀論を説教で語り、感染防止策を批判するような発言やワクチン接種も受けさせないように関係者を煽っていたことが判明。大きな問題に発展した。インターコープは問題発言を訂正したものの、「聖書的時代で考えると事実である」と述べるなど不安要素は多い。世界宣教に取り組むインターコープ宣教会だが、活動先の国でトラブルが後を絶たない。このような報告も主要教団の調査委員会に入っているという。

異端・カルト110番編集部より

提携する韓国基督教異端相談所協会の見解によると、崔パウロ氏が語る説教の多くに異端性が認められるとし、主要教団はルールに基づいてより厳しい規定に格上げするべきだと主張。主要教団の中には今年の秋に行なわれる総会で「異端」規定を目指す動きもある。すでに合神、高神派は報告書をまとめた模様だ。基督教聖潔(韓国ホーリネス)教会も「警戒対象」に切り替える方針。KWMA脱退により、インターコープは健全性を示す唯一の存在を失ったことになる。

現在も会員である「韓国基督教総連合会」(韓基総=CCK)は、加入するほとんどの団体が主要教団から不正や神学的問題を理由に除名された牧師らにより構成される小規模教団ばかりで「大韓イエス教長老教会」の正規グループと呼ぶことはできないという。また多くの異端、カルト宗教指導者が会員として活動していることから、韓基総会員資格が団体の健全性を証明するカードにはならない。2012年頃からCCK代表会長らは相次いで異端団体の規制を解除し、韓基総に迎え入れた。インターコープも加入と同時に共同代表を務めるなど、不可解な動きが確認されていた。

今回の自主脱退も崔パウロ氏による新しい「もくろみ」があるのではないかと指摘する声もある。報復措置として裁判を起こすか、または暴走し、独自路線で生き残りを賭けるか、いずれかだと考えられる。日本には推定100人近いインターコープ所属の韓国人宣教師がいるとされる。崔パウロ氏の教えに強く影響を受けており、今後の動きに注目したい。

 

この記事は「月刊現代宗教」7月2日号と大韓イエス教長老会合同総会が母体である「基督新聞」から日本向けに翻訳しました。一部編集しています。