自称二代目再臨のメシア韓鶴子(ハン・ハクジャ)氏、壇上から全世界に向け「国民たち」と呼びかけ。日本から自民党元衆議院議員伊達忠一氏が祝辞。米トランプ大統領特別顧問のポーラー・ホワイト牧師が偽メシアを賛美。韓国系カルトのアメリカ進出と著名人を取り込む戦略が活発

9日、旧統一協会が世界70カ国とネットワーク中継する「RALLY OF HOPE神統一世界安着のための100万希望前進大会」を開催した。韓国も新型コロナ感染拡大を警戒し政府が宗教団体の活動に神経を尖らせている最中「オンライン生放送」を実施した。統一協会専用アプリから誰でもアクセスできる状態で世界配信。韓国語、日本語、英語、スペイン語、フランス語、中国語、タイ語、ポルトガル語の同時通訳が行なわれた。式典のテーマは「共生・共栄・共義による神統一世界安着」。この安着は統一協会が掲げる地上天国を指すと考えられるが信者同士でも正確な意味が理解できていないという。今回、全国統一協会被害者家族の会関係者が映像を分析してくれた。

統一協会は自国民(韓国)やアジア人を映像に取り入れることを好まないという。欧米人の参会者ばかり目立った。自称再臨メシアを演出した照明に照らされ登場した韓鶴子(ハン・ハクジャ)氏。(ALLY OF HOPE神統一世界安着のための100万希望前進大会より)

このネット中継を視聴すると自動的に参加者にカウントされる仕組みになっていた。「9,000万~1億人がオンライン中継に参加している」と司会者が紹介した。「実は統一協会員はそんなに多くありません」こう述べるのは家族会の某メンバー。

今回の式典は信者からも「何を言いたいのかよく意図がわからない」「著名人と韓鶴子(ハン・ハクジャ)総裁の親密ぶりを示したかっただけか」と疑問視する声もあがった(全国統一協会被害者家族の会関係者筋)。現地では本部から信者宛に一斉メールが送信され中継を「礼拝」として参加するよう通知された。全体の様子からして鶴子氏の新著『平和の母』を推薦するメッセージが目立ったことから式典で著書の偉大さを煽り、食口たちに配布させることが目的ではないかと指摘する。

式典に登場した鶴子氏は、目がくらむほどの明るい照明に照らされて登場。自称再臨のメシアを演出した。いざ登場するとまったく笑みを浮かべず短くスピーチし退席した。式典では、各国の著名人や要人から鶴子氏を賞賛する祝辞が次々と紹介された。グアテマラ前大統領、カナダ元首相、ニジェール首相、セネガル大統領、元国連事務総長も中継で登場した。

「神アメリカ、神日本、神カンボジア」など国名が紹介される。「神」をつけて呼ぶのが統一協会流だ。今回驚いたのは、自称二代目再臨のメシア韓鶴子氏が壇上から世界各国にむけて「国民たち」と呼びかけたことだ。これを見た元信者は「世界を統治した韓国人の王になったつもりなのか」と批判した。

元衆議院議員(自民党)伊達忠一氏も祝辞を述べた。

これら祝辞は予め撮影されたものが放送されたものと思われる。日本人も登場した。元衆議院議員(自民党)伊達忠一氏が故文鮮明と韓鶴子氏の「共生、共栄、共義」の精神を賞賛した。その後、鶴子氏の著書『平和の母』を引用し祝辞を述べた。「祝辞は自分で書いたものではない可能性がある。漢字の読み間違いがあった。」中継を観ていた関係者が指摘した。

伊達氏といえば2018年に政界を引退。株式会社札幌臨床検査センター代表取締役会長を務める人物だ。日韓議員連盟に所属し、パチンコチェーンストアー協会で政治部門アドバイザーとしても関わっている。統一協会は自民党と密接な繋がりがあり、自民党運営の財源は韓国カルト教団の恩恵を受けていることは以前から指摘されてきた。こうした金も霊感商法として問題になった違法宗教ビジネスやノルマ式の信者たちの献金から来るものだ。その裏には大勢の被害者がいることを忘れてはならない。

全国霊感商法対策弁護士連絡会(略称「全国弁連」)は公式サイト上で統一協会と議員の関係性を問題視する声明を公開している。(最近の要望書)全国弁連によると2017年の被害総額はおよそ9億円に達しているという。この現実を私たちは無視してはならない。

今回も米トランプ大統領の特別顧問を務めるポーラー・ホワイト牧師が平和の祈りを捧げた。ポーラー氏は米国で人気のテレビ伝道説教者。「2019年からトランプ大統領の特別顧問に就任し、霊的カウンセラーとしてホワイトハウスにも影響力を持ちはじめている」と故文鮮明氏が創設したワシントンタイムズ(2019年12月30日号)が報じている。ただ、南部バプテストの牧師らから極端な繁栄の神学に傾倒した説教者だと批判されており、「異端」と警戒されている人物でもある。実際に三位一体の否定とキリストの十字架による赦しを否定する発言が確認されている。

ポーラー氏は聖書信仰とは似ても似つかない偽キリスト(自称再臨のメシア)を「真のお母様」と賞賛している。なぜこのようなことが起きるのか。最近の韓国系異端・カルトの特徴はアメリカを拠点に活動することだ。多くの韓国人指導者たちはアメリカに強い憧れを抱く。特にニューヨークを活動拠点に構えることは彼らのステイタスだ。救援派のひとつグッドニュース宣教会(CLF、IYF等)の代表朴玉洙(パク・オクス)氏は主にアフリカ系福音主義の牧師と関係を深め積極的にPRしている。彼らの宣伝には「アメリカで、世界で」とよく出てくる。

たとえネームバリューがある正統教会の牧師がこれら人物と肩を並べたからと言って正しいキリスト教の働きとは言えないことがわかる。異端やカルトとされる指導者はこうした宣伝活動がとても上手い。今求められているのはその内面、本質なのだ。彼らの二面性を的確に追及していくしかない。そのためには「誰々先生が応援しているから」はほとんど根拠にならない。正確な情報から冷静な判断を下さなければならない。

9日放送の式典の様子。著名人がライブ中継で出演した。現職のカンボジア首相もいる。(統一協会専門アプリチャンネルより)

今回の式典は9日10時に始まり12時半に終了した。中継が終わるとネット放送にアクセスできなくなった。「統一協会ではよくあることです。生放送の場合、都合が悪い部分は再構成してあとでまた流すんです。」(元信者Bさん談)

統一協会は今年5月に正式名称を改めたばかり。韓国本部の公式サイトを確認したところ正式名称は「天の父母様聖会・世界平和統一家庭連合」で活動していることがわかった。有名人を取り込んで戦略的に拡大をはかる統一協会。この宗教団体において依然として信者が人権侵害にさらされている実情を本紙は追及していきたいと思う。

韓国の統一協会本部公式サイトには教団名が「天の父母様聖会 世界平和統一家庭連合」と紹介されていた。(同教団サイトより)