教祖・李萬煕氏をこの時代の救い主、永遠に死なない存在と崇める異端、カルト集団が正体を隠して既成教会に急接近
2月11日以降、国内の諸教会宛に「東京から神様のしもべ 徐印收」という発信人名で手紙が郵送されていることがわかった。また一部の教会はメールで同様の手紙が添付されている。神のしもべと名乗る人物は「ソ・インス」と読む。この人物、実は韓国異端・カルト集団として警戒される「新天地(正式名称=新天地イエス教証拠〈あかしの〉幕屋聖殿)の首都圏エリアのトップである。教祖は韓国在住の李萬煕(イ・マニ=89)氏。ソ・インス氏は内部で地域長と呼ばれ2017年以降から現在に至るまで信者教育を担当している。50代男性だ。日本語は話せない。
「日本の福音宣教のためにご苦労される牧会者様」と題した手紙を受け取った既成教会の牧師や本紙アドバイザー、賛同団体関係者によると「内容が明らかに既成教会のものと異なる。相手を蔑むような表現だし、とてもあやしく感じた」と違和感を抱いたという。11日以降、本紙には問い合わせが相次いだ。新天地は、信者に対し「世の中はサタン」、「生みの親はサタン」などと教え、既成教会を「腐敗している」、牧師を「金銭主義」とけなす発言が目立つ。教祖イ・マニ氏を唯一の大牧者と崇拝し、サタンに打ち勝ち、救われた信者と共に韓国果川(カチョン)の本部一帯で地上天国を完成させること目標とする宗教だ。既成教会を批判する彼らが今回のような手紙を送る理由には、「擁護する既成教会の牧師」を必要としているからだろう。内部では神のために嘘をつくことを推奨している。相手を騙して信者を取り込む新天地式の偽装布教は今も健在で、ネット上に正体を隠した布教目的のイベントやセミナーが溢れている。
何も知らずに関わりをもつことがないよう十分な注意が必要だ。新天地は昨年2月に韓国で新型コロナウイルス感染拡大の発端となった事件を起こした宗教団体。詳しくはこちらを読んでほしい。韓国では危険な宗教団体として広く知られるようになった。現地では多くの脱会者が組織の危険性を証言している。騙し、嘘、暴力、虐待、強制離婚、偽装、監視などスパイ映画さながらの組織的な活動が明らかになりつつある。すべて教祖を守るためだと脱会者たちは証言している。
韓国では信者の暴力的な抗議活動や工作活動が社会問題となり、入信して所在が分からなくなった自分たちの子どもを探す「新天地被害者家族の会(連帯)」が連日のように抗議活動を続けている。教祖はまもなく90歳を迎えるが、イエス・キリストの代弁者として肉体も永遠に生き霊も永遠だという「肉体永生」として神格化されている。信者は「絶対に総会長様は死なない」などと主張している。
出会い系サイトや異文化交流アプリに信者が登録し、コンタクトできた相手と実際に会って親しくなってから「心理テストを受けないか」「レベルの高いカウンセリングを受けられる」などと騙して活動拠点に誘い込み聖書講義を学ばせる手口。これは新天地の礼拝が終わると各部で伝道の一貫として取り組むという。今はコロナが影響してZOOMを使ったオンライン講義に切り替えている。ソ氏が中心となってイ・マニ氏が救い主だと教える講義を語り続けている。
発送元の住所「東京都北区田端新町(以下省略)」のアパートは同じく韓国籍の李某氏(女性)が住んでおり、彼女は新天地の伝道師として活動しながら首都圏エリアの総務責任者として信者の行動管理や移動記録の作成にたずさわっていることがわかった。今回のソ・インス氏はここにはいない。また教会として利用できるスペースもないことから返信用に女性信者の住まいを載せたのだろう。
新天地は国内で主に東京、大阪、福岡を拠点に活動している。訓練を受けた韓国人伝道師が一般のクリスチャンを装い既成教会に入り込んで教会を乗っ取る問題も国内で確認されており、既成教会乗っ取りは茨城県水戸市周辺の教会をはじめ、名古屋などでも確認されている。その被害は極めて深刻だ。
東京の新天地は2017年以前、新宿区、目黒区の雑居ビルを転々と移動しながら偽装センターを運営。街頭やキリスト教書店で声をかけて主にクリスチャンをターゲットにしていた。2017年以降になると東京都新宿区早稲田の某ビルに本格的な拠点を構えた。このタイミングで韓国からソ・インス氏ら幹部信者が来日し、韓国語教室、異文化交流会、人文学セミナーなどと偽って勧誘後にセンターに招き入れ、聖書講義に参加させていた。このとき、信者教育を担当した「講師」と呼ばれた人物が今回のソ氏だ。
ソ氏に勧誘された元脱会者は少なくない。またソ氏を通じて新天地の教祖イ・マニ氏を救い主と信じた脱会者の証言も多数得ている。現在、早稲田鶴巻の某ビルから完全に撤退し、彼らは東京都のとある地域に集結しはじめている。公共料金を滞納し督促状がポストに入りきらず床に散乱する始末。
異動した新天地信者らは偽装センターの運営だけにとどまらず、地域住民をターゲットにした新しい布教スタイルで何かをはじめようとする動きが確認できる。現在はオンライン上の活動に切り替え、偽装セミナーで集めた若者に「聖書を通じた心理学」「パーソナル診断」などとうたって聖書講義を行なっている。日本人の若者がかなりの数、新天地の講義に参加していると思われる。
十分な警戒が必要だ。