SNS、出会い系アプリ、無料掲示板が謀略伝道の温床に。キリスト教書店で堂々と勧誘も。「名前も学歴も・・・。みんな嘘だった」元メンバー絶句

早稲田の新天地が「文化交流会」と称して学生、主婦らを勧誘する様子(削除されたインスタグラム、内部撮影画像引用)

新天地の創始者イ・マニは様々なカルト教団を渡り歩いた人物

韓国で新型コロナ感染拡大の発端となった新興宗教「新天地」(正式名称:新天地イエス教証拠(あかしの)幕屋聖殿 以下、新天地)。韓国では主要キリスト教団総会決議においてキリスト教を標榜する異端、カルトに規定されている。新天地は創設者イ・マニ氏(総会長)が1984年3月14日に韓国で立ち上げた宗教団体だ。イ・マニ氏は様々な異端、カルト教団を渡り歩いた末、独自の聖書講義を通じて自身を「この時代の助け主(韓国語で保恵師(ポヘサ))「再臨のイエス」と教える、終末論を強調する教団へ変貌した。総本部は、京畿道果川市(キョンギドカァチョンシ)にある。

彼らは実態を隠し活動する偽装教団として長年、キリスト教界から問題視されてきた。正確な信者数も不明なままだったが新型コロナ感染拡大でメディア、国民からも激しいバッシングを受けたことで、新天地本部は国内信者数を「25万人」と公表した。ただし、この数字も正確ではないとされ、隠れ信者や既成教会に潜伏する工作員を含めるとその数は30万人を上回るとの情報もある。全国に教区があり、これを聖書の十二使徒の名前と数から「12支派」に分け、支派ごとにヨハネ、ペテロ、アンデレ、タダイ、ピリポ、シモン、バルトロマイ、マタイ、マッテヤと名乗る。ヤコブだけは釜山とソウルの2カ所に支派を構える。都市部を中心に全国に教会があり、世界各国に支部教会があるとされる。

ただし、公式的には海外教会の本部、数について一切公表していない。韓国の異端専門誌「教会と信仰」によれば「新天地は布教活動が困難なイスラム圏で確実に勢力を拡大している」という。邪教として警戒する中国(中華人民共和国)でも活動が確認されている。そして、日本でも10年程前から新天地による活動が確認されるようになった。ここ数年、特に早稲田大学の学生を勧誘する目的で新天地は実態を隠した偽装センター(通称「アカデミー」)を構えている。元受講生は、「信者たちは多くの日本人信者を獲得する目標を掲げ、韓国人、中国人信者が様々な手法で若者と主婦をターゲットに勧誘に取り組んでいる」と証言した。

 

日本の本部所在地は不明。早稲田を拠点に活発に活動。恐れていた神学校卒業式まで。200人超の卒業生は既成教会へ派遣され「ミッション」遂行か

早稲田新天地で行なわれた自称「アカデミー」(聖書講義)卒業式の様子。写真中央には韓国人講師ソ・インス牧師(50代男性)、韓国人リーダーの一人E伝道師、K伝道師の姿も。(写真右)卒業した日本人信者(中国版情報サイトの記事を引用。本紙の記事も出典元として紹介されている。https://zhuanlan.zhihu.com/p/110406521)

新天地は自分たちが「新天地の信者」だと口が裂けても言わない。内部で秘密裏に再臨のイエス(教祖イ・マニ)が韓国にいることを信じても、上層部は「新天地」「イ・マニ氏」の名前を簡単には口にしない。徹底して隠し、聞かれても嘘をつく、これが新天地式の防衛手段である。ここで勧誘されると数ヶ月後に新天地の自称アカデミー内に招かれる。「異文化交流会」「韓国語講座」「心理学勉強会」「従軍慰安婦問題を語る会」……数えたらきりがないほど多くのイベントが用意されている。信者は親しくなった相手とのタイミングを見計らい「信用できる」と感じたら「イベント」に誘うのだ。彼らはとても警戒心が強い。

以前、ネット上に掲載されていた新天地の偽装イベント「韓国語交流会」。会場が早稲田アカデミーと書かれているが実在する「早稲田アカデミー」とは一切関係ない。団体名、会場名もその都度偽装している。

最初は楽しく和気あいあいとしたイベントも次第に自己啓発的な内容に話しが様変わりする。この段階で「講師先生」と呼ばれる韓国人男性(実際は牧師50代)が登場。通訳付きで聖書勉強会が始まる仕組みだ。「世界で最も優れた教え」「宗教を学ぶことが人生には必要」と言って受講生を納得させる。講義は通常半年以上のコース。参加費は1回500円程度。2、3時間にも及ぶことがある。原則欠席はしないよう注意されるという。

中国の情報サイトに掲載された早稲田新天地内の講義の様子。ホワイトボードに書かれた内容は間違いなく新天地の教えだと分かる。(https://zhuanlan.zhihu.com/p/110406521)

講師がホワイトボードに聖書の秘密(比喩=たとえで独自の教えをこじつけたもの)を書いて、その答えを説き明かすという内容だ。受講生のほとんどはキリスト教初心者。「これがキリスト教というものか」と、元受講生は多少の違和感を抱きつつも毎日通い詰めたという。授業が終わると受講生同士「感想」を聞きあい学んだ内容を確認する。

講師の横で歯切れ良く指導する通訳者から「ここでの話しは家族にはしてはいけません。誤解されるだけです」と説明を受ける。ある主婦に対しては、「ご主人には言っていませんね? すべて秘密にしましょう」と指示した。「この教えだけが正しく。他の教会の教えは腐敗している。誰にも言わないことが正しいこと」。元受講生は繰り返し、このように指導されたという。講義の内容も次第に「外(社会)」が悪であり、他教会(既成教会)は腐敗に満ちたサタンだと批判的な言葉が目立つようになったという。さらに授業の返事は「アーメン」と答えるよう指示を受ける。授業の様子を確認したところ「外は雨が降っていますね」と講師が語ると参加する受講生は「アーメン!アーメン」と答えていた。

今のところ受講生への献金強要や組織のためのローン強要は聞かれない。しかし、講師からセクハラやパワハラ行為を受けたという報告があった。それでも自称アカデミーは連日「満員御礼」状態だ。人数にして40〜50人が1度に参加することはざらだ。学生風の若者からベビーカーをひいた子連れの主婦まで連日賑わっていた。早朝から人の出入りは活発で夜中も窓際に大勢の人影が確認できる。早稲田新天地がどのレベルまで活動しているのか実態は不明だったが、先日、中国語情報サイト上に内部を調査した某氏(匿名)が報じた神学校卒業式の写真が掲載された。場所は紛れもなく早稲田新天地だ。記事には、「5年かけて新天地が東京で確かな基盤確立」「200人超えの信者が卒業」と紹介。新天地を邪教(中国では破壊的カルト同様の表現)と批判する内容だ。元受講生らの証言や本紙の取材で得た情報によれば、日本信者のほとんどは早稲田大学に通う女学生で在校生(韓国、中国人留学生)を通じて勧誘され、入信後は彼らとグループになって勧誘活動を行なっていることがわかった。

新天地は信者を韓国、中国人から“日本人”に交代させ、警戒されないよう各地に派遣する狙いがあると思われる。事実、クリスチャンで何も知らずに新天地の勧誘を受けた某氏の証言によれば、途中で新天地だと気付き通うのを辞めたものの20代の日本人女性が突然、教会に訪ねて来たという。面識がない女性だったが新天地側の講師から「この手紙を渡すように言われた」と告げている。このような事例は韓国では数多く報告されている。いずれも精神的圧力をかけることが狙いのようだ。入信した日本人がこうした監視や圧力の道具に利用されている証拠といえよう。

また、都内キリスト教書店で新天地の勧誘が活発化している。突然、声をかけ「伝道したい相手がいるが言葉の問題でうまくいかない。助けてほしい」と言ってLINE交換する手口だ。以前から問題視されていた。

新天地信者は主に韓国人と中国人で構成。勧誘後は早稲田大学の学食で聖書勉強。周辺カフェは自称カウンセリングの活動拠点に。留学生信者も多数

早稲田新天地には十数人の韓国、中国人信者リーダーが常駐している。路上で話し込む信者たち。早稲田大留学生もいる(写真左)。喫茶店内で勧誘する中国人信者(撮影:異端カルト110番)

現在、早稲田新天地はメンバーが新型コロナ感染したことを理由に表向きには閉鎖している。しかし、信者の多くはビル内、また周辺で集団生活しており活動は続けている。閉鎖後、都内の教会(福音派、日曜礼拝)に新天地信者が突然出席したという報告も受けた。元受講生らの協力を経て顔と名前を確認し、新天地信者と判明した。このように彼らはミッションを遂行するために動いていることは確かだ。早稲田大学の学食で聖書勉強、周辺のカフェを利用して自称カウンセリングを行ない、ターゲットと人間関係を築いている。特に在校生(留学生)信者の問題は深刻だ。彼らは最終的に「真理を伝えるために活動している」と受講生に打ち明けるからだ。学生ビザの立場で宗教活動を行なうことは違法行為に該当する可能性がある。信教の自由が保障される日本だが、組織的に実態を隠す行為や社会、既成教会、家族を「悪」に仕立てる教えはさまざまな問題に発展する危険性がある。警戒する必要があるだろう。

最近はSNSを通じた勧誘が一般的に。異文化交流コミュニケーションアプリ、出会い系サイト、無料掲示板・・・。バーチャルな出会いから組織に引き込む戦略

異文化交流コミュニケーション無料アプリ、出会い系サイト、無料掲示板などSNSを通じて勧誘を行なう。(モザイク処理をしています。勧誘目的での利用率が高いことを示すものであり特定のアプリ、媒体を危険視するものではありません。)

最近の新天地は街中で声をかけて勧誘するやり方からSNS、無料アプリを通じた勧誘にシフトした模様だ。異文化コミュニケーションアプリといった「交流型」や異性との交流できる「マッチング」「出会い系」アプリに信者が登録して自分に興味を持つ相手からの連絡を待つスタイルだ。ほかにも無料掲示板にイベント情報を投稿して参加者を募っていることも分かっている。元受講生は次のように語る。「韓国語を勉強したくて交流型アプリで相手を探しました。実際に都内で会いました」。とても親切ですぐに打ち解け、カラオケや食事、ショッピングに出掛けたという。ところが1対1で会うはずが次から次と韓国人、中国人を相手が連れてきて「友人だ」「せっかくだから一緒に遊ぼう」と。偶然を装って一人のターゲットを複数で囲む戦略だったのだ。元受講生は確かに「異文化」を満喫したという。好きな韓国や中国語を学び彼らと楽しい時間を過ごした。

3ヶ月ほど経った頃「心理学に興味ないか?」「心理テスト受けてみない?」「良いところがある」。こう言って元受講生を早稲田新天地のビルの中に誘った。そこは自称「アカデミー」と呼ばれ、大勢の学生風の若者、主婦が参加する聖書勉強会だった。「私と親しくしてくれた友人たちは全員ここのメンバーでした」。自分の悩みを相談し、気が付くと彼らに依存していたという。そして、この関係性から抜けられなくなった。「アルバイトをやめた方がいい」「アカデミーの近くで働くべきだ」……段々と彼らは組織に従うよう態度が変わってきた。豹変する信者に元受講生は「ここは危険だ」そう感じ、自分の意思で抜けることが出来た。「本当に逃げました。ただ行くのを辞めたのではなく、怖くなり走って逃げたんです」。心に深い傷を負い人間不信に陥ったという。「新天地は”偽装“という表現がぴったりだ」と嘆いた。

ビル1階のエレベーター脇に掲げられたプレート。3階、4階が新天地の拠点だ。

最後に

既成教会において新天地対策は緊急の課題と言えよう。牧師や団体リーダーが中心となって信徒に「アプリを通じたバーチャルな出会い、交流には十分注意すること」「キリスト教関連の集まり、書店内、イベントでも安易に相手を信用して個人情報を渡さないこと」の2点は最低でも注意喚起する必要がある。新天地のような「演技」「偽装型」の異端、カルトは今後クリスチャン同士の婚活交流、学生宣教団体、音楽イベント、厳密な入会審査(所属教会や背景を含む)のないビジネスマンの交流会に浸透してくると思われる。教会外で聖書勉強や教会系と称するイベントに誘う手口にも要注意だ。何か変だと思ったら本紙の相談窓口か周辺の教会、家族、知人にすぐ相談してほしい。組織の実態を聖書の真理、教えと称して嘘をつかせて守ろうとしたり、自分たちだけが正しいと言って相手を欺いたりする行為は聖書の教えに反する異端、カルトの常套手段であることを知り、冷静な判断と正確な情報に触れることが「安全」の第一歩だといえる。

素人でもできる/異端の見分け方

本紙代表の張清益(チャン・チョンイク)からコメント

(大韓イエス教長老会合同派所属・とねりキリスト教会牧師・日本キリスト教異端相談所所長)

肉体永生を主張してきた新天地の教祖李萬熙(イ·マ二)、結局コロナに土下座

新天地教祖の李萬熙(イ·マ二)がマスコミと国民の前に土下座した。韓国内で感染者の50パーセントほどを占める新天地がコロナウイルス拡散の主犯だったという批判的国民感情に対して、これ以上沈黙や逃避ができなかったということで準備された記者会見だった。

感染が広がった初期には、決してそのような態度を見せなかった。 スポークスマンを通じて自分たちも被害者だと悔しさを訴え、信者に向けては新天地の発展を破壊しようとする悪魔の仕業だと主張した彼だった。わずか数日で態度が急変したのは、これ以上隠れることも、持ちこたえることもできない新天地創立以後最大の危機を迎えていると悟ったからだろう。

新天地は1984年に創立されて以来、今のコロナウイルスよりはるかに恐ろしい異端教理というウイルスで、多くの国民はもちろん全世界に勢力を広め、特に夢を抱いた青年たちを感染させてきた。日本にも新天地の異端教理を広める拠点が早稲田大学の近くで巧みに活動している。

コロナウイルスは”時間との勝負”である。疑いがあれば診断を受け、診断結果によって隔離を通じた適切な治療が行われなければならない。異端、カルト教理に感染した多くの信者の治療と回復もこれ以上遅らせることができない緊急課題だ。本人が新天地教理に感染したと疑われる信者たちは、躊躇せずに、本紙相談窓口に相談してほしい。または近くの教会、家族に相談してほしい。親身になって問題解決してくれる専門家がいるからだ。最後に新天地教祖イ·マニ氏に伝えたい。

*感染の疑いのある信者が、自由に信頼できる医療機関を通じて診断を受けられるようにしなければならない。
*信じれば治るという荒唐無稽な教理によって適切な治療を受けることもできず、苦痛の中にいる信者を一日でも早く社会に復帰させなければならない。
*感染拡散の責任を痛感し、感染信者との接触が行われた信者の動向を公開することで、これ以上の感染被害を食い止めるべきだ(今後も継続すべきである)。
*全国に点在している新天地のすべての建物(海外の新天地施設も含む)の情報を公開し、地域住民の感染予防に取り組むべきだ。
*これまで韓国教会をあざ笑い、韓国教会の純真な信者を惑わして 新天地の霊的奴隷と化した点を被害者とその家族に、そして韓国教会と国民の前に深く謝罪しなければならない。
*これまで自分の主張していた核心教理が間違っていたことを認め、速やかに新天地解体を宣言しなければならない。
(今は施設の閉鎖と活動の暫定中断措置をとることによって危機を免れようとしているが、今こそ”新天地解体”を宣言する絶好の機会だろう。)

肉体永生を主張した教祖のイ・マニ氏の記者会見の姿を見ると、耳もよく聞こえない、歩き方もぎこちなく、普通の90歳の高齢者となんら差がないように見えた。 国民と新天地信者、その被害家族に謝罪する最後の機会を逃さないことを望む。