イ・マニ被告。拘束再審査を求めたが13日裁判所は棄却 教祖は刑事裁判へ

 

韓国で新型コロナ拡散の原因となった新天地(正式名称:新天地イエス教証拠〈あかしの〉幕屋聖殿)の教祖である李萬熙(イ・マニ)被告が14日、起訴された。

水原(スウォン)地検刑事部第6部(朴スンデ検事部長)は14日、感染症予防法違反、偽計による公務執行妨害、特定経済犯罪加重処罰法違反(横領)、業務妨害など4つの罪でイ・マニ被告を起訴した。イ被告は身柄を拘束されたまま取調べを受けることは不当だとし、12日に拘束再審査を裁判所に請求したものの、翌日13日に「身柄拘束が妥当」との結果を受け棄却された。拘束再審査とは、逮捕理由が不当だとし裁判所に再審を求める制度。認められれば身柄は釈放され在宅で捜査を受けることになる。

イ・マニ被告を乗せた車両が水原拘置所に入る様子(写真:聯合ニュース)

裁判所は棄却理由について「89歳と高齢ではあるが健康上問題は認められない。コロナ問題が発覚する今年2月までイ・マニ被告は海外巡回など精力的に活動していた。証拠隠滅の恐れがあり、釈放されれば再び組織を動員して反社会的な問題を引き起こす恐れがある」と明らかにした。

新天地本部は声明を発表。イ・マニ被告の逮捕拘束は「不当である」との立場をあくまで崩さず、「新天地を差別する人たちから心ない暴力行為を受けている。自制してほしい」と呼びかけた。韓国検察の発表によれば今年2月以降、新天地関係者の逮捕はイ・マニ被告を含め19人目であることを明らかにした。詳細はわかっていない。

イ・マニ被告(写真:聯合ニュース)

本紙異端・カルト110番解説

韓国基督教異端相談所協会のシン・ヒョンウク牧師は「新天地内部は2月以前と今では組織的な打撃は明らかだ」と指摘。それでも「教祖不在のまま聖書的根拠をいくらでも都合よく解釈し、総会長の神格化を強化するだろう」と述べた。ただ、「神同格であり救い主のはずだったイ・マニ被告が世界を統治する王の姿ではなく、汚職と不正にまみれた姿で新天地に戻れば、そのつけは信者たちに回ってくる。以前のような忠誠心が信者たちに巻き起こるとは思えない」とも指摘した。組織トップと信者間の温度差が新天地崩壊を現実のものにするという分析だ。

また新天地被害者家族会側は、連日小規模デモをイ・マニ被告の取調べが続く水原検察前で続けている。行方不明になった信者は相当数いるとされ、今後、新天地側が人権に絡んだ事件でさらに厳しい追及を受ける可能性がある。

 

この記事は「教会と信仰」「キリスト教ポータルニュース」の記事を中心に和訳したものです。写真は聯合ニュースから引用しました。日本の読者向けに編集してあります。