韓国主要教団の総会が10月に開かれ、異端規定関係の決議一覧が専門誌「現代宗教」に発表された。異端、異端性、カルト(似非)性、交流禁止、注意警戒、不健全団体、などの判断を教団総会で決議するのが韓国キリスト教会の慣例。主要教団では異端・カルト問題の専門家が調査・研究活動をしており、各教団では専門家の委員会が調査結果に基づいて提案した異端規定の内容を総会で審議し決議する。専門家のいない中小の教団は主要教団の総会決議を参考にするという。
異端・カルトに規定された団体の中には「過去に異端決議を受けたが近年は決議されていないので異端疑惑はすでに解消した」などと偽装しようとするケースがあるが、過去に決議された内容は「異端解除」など新たな決議がされない限り有効だ。過去の決議を「~維持」という決議で再確認する場合もある。
異端・カルト110番がこれまで報道してきた次の諸団体に関する決議はいずれも、2021年総会においても従来どおりで撤回や解除されたものはない。
朴玉洙(パク・オクス):喜びのニュース(グッドニュース)宣教会→異端
兪炳彦(ユ・ビョンオン):キリスト福音浸礼会→異端
李(イ)ヨハン:大韓キリスト教浸礼会→異端
金箕東(キム・ギドン):ベレヤアカデミー→異端
柳光洙(リュ・グァンス):タラッパン伝道運動→異端、似非(カルト)
文鮮明(ムン・ソンミョン):統一教、世界平和統一家庭連合→異端、似非
朴潤植(パク・ユンシク):平康第一教会(旧・大声教会)→異端
安商洪(アン・サンホン):神様の教会→異端
李萬煕(イ・マニ):新天地イエス教→異端
李載禄(イ・ジェロク):万民中央教会→異端、注視
崔(チェ)パウロ:インターコープ→注視、参加禁止、交流断絶、不健全団体
張在亨(ジャン・ジェヒョンまたはダビデ・ジャン)→注視警戒、交流禁止
全能神教会(ヤン・シャンビン、チョウ・ウェイシャン)→異端、似非
鄭明析(チョン・ミョンソク):JMS、キリスト福音宣教会→異端
申玉洙(シン・オクチュ):恩恵路教会→異端、参加禁止
クリスチャントゥデイ→異端(擁護)言論
注目されるのは、2020年新たに「韓国基督教総連合会(CCK)」が大韓イエス教長老会高神総会で「異端擁護団体」に規定されたことだ。CCKは1990年代末頃から韓国で最も多くの教団が加盟する連合体となり、世界福音同盟(WEA)に加盟。2009年には日本福音同盟(JEA)と宣教協力に関する覚書を交わした。当時CCKには主要教団が加盟していたので、そこから派遣された専門家らによる異端似非対策委員会の判断が信頼されていた。
しかし、主要教団が異端規定しているいくつかの教団・団体をCCKが異端解除したことをめぐり主要教団が離脱し、2012年に別に「韓国教会連合(CCIK)」が組織されて分裂。JEAはCCKが事実上、韓国教会を代表する連合体としての立場を失っていると判断し、2012年に宣教協力を解消した。CCKは他にも、主要教団が異端規定している諸団体を次々に異端解除するなどしたため、韓国キリスト教界では信用を失っていた。なお、その後CCIKも総主事が異端を擁護するようになり、主要教団は離脱している。
日本キリスト教異端相談所の張清益(チャン・チョンイク)所長によると、CCKやCCIKのような教団教派の連合体は、主導権争いの中で異端・カルト勢力から影響を受けやすい弱点がある。「しっかりした異端の専門家がいる主要教団ではそのようなことはあり得ないので、異端問題では主要教団の総会決議が最も信頼できる」という。
また、強引な宣教活動等がしばしば問題視されてきたインターコープ(崔パウロ代表)は2011年以来、複数の主要教団から「注視」「参加自制」「交流断絶」などの決議が出され警戒されてきたが、2021年に大韓イエス教長老会高神が「深刻な異端性を持った不健全団体」に規定したのをはじめ、基督教大韓聖潔教会が「警戒対象」、基督教韓国浸礼教会が「不健全団体」、基督教大韓神様の聖会(アッセンブリーズ・オブ・ゴッド)が「注視及び参加禁止」と規定するなど決議教団が相次いだ。