今年9月の第105回総会に請願書提出を決定。極端な神学と思想、諸国の悪霊を排除するための過激な行動に警戒。より厳しく

大韓イエス教長老会統合教団の異端似非(カルト)対策委員会(委員長:イ・スブ牧師)は7月30日、韓国教会100周年記念館で第7回目となる会議を開き、同教団研究分科委員会が報告した「インターコープ宣教会(代表:崔〈チェ〉パウロ氏)に対する再審に向けた研究」をテーマに集中審議を行なった。その結果、同対策委員会はインターコープ宣教会(以下、インターコープ)に対し、従来の総会規定「鋭意注視・参加自制」から一層厳しい規定となる「鋭意注視・参加禁止」に切り替える方向で固まった。

インターコープ宣教会代表 崔パウロ氏(写真:教会と信仰)

同対策委員会は、インターコープの神学的問題が依然として是正されていない部分から審議し、諸教会、海外宣教師らから具体的な被害、苦情が引き続き報告されている点を判断基準の一つとした。同対策委員会はインターコープに対する総会規定の引き上げを決定し、来月に開催予定の統合教団第105回総会決議をはかるという。

韓国主要教団総会決議によるインターコープ宣教会に対する規定

インターコープは韓国の5つの主要教団から神学的問題と危険性、排他的な宣教観を主な理由に総会決議され規定を下されている。なお、規定には強制力、罰則は伴わないが著しく規定違反した場合は処分の対象となることもある。

・大韓イエス教長老教会統合教団(教会数8,731 信徒数285万2,125人)

【規定】2011年・2013年・2105年「鋭意(えいい)注視・参加自制」

・大韓イエス教長老会合同教団(教会数1万1,593 信徒数285万7,065人)

【規定】2013年「交流断絶」

・大韓イエス教長老会合神教団(教会数896 信徒数15万2,316人)

【規定】2013年「参加禁止・交流禁止」

・大韓イエス教長老会高神教団 (教会数1,840 信徒数46万人)

【規定】2014年・2015年・2016年「招聘(しょうへい)禁止・参加禁止」

・基督教大韓聖潔教会(韓国ホーリネス)(教会数2,947 信徒数50万5,946人)

【規定】2018年「一年間鋭意注視」

インターコープといえば、宣教師の派遣先でその国の文化、宗教を過激に批判、排除する「排他的宣教活動」が大きな問題となった韓国発祥の宣教団体だ。崔パウロ氏の神学は「地清め」の行為を肯定するものが見受けられ、他宗教をサタンの神々などと批判する極端な言動が目立つ。

統合派はインターコープについて2011年第96回総会で「鋭意注視・参加自制」を決議した。その後、インターコープからの申し出や一部教団牧師から決議規定の改正を見直す意見が上がり、同委員会は2013年と2015年の2度にわたり再審を行なったが、従来の「鋭意注視・参加自制」規定を解除することはできなかった。今年9月の総会で決議されれば4度目の規定を下すことになる。

 

韓国のインターコープ宣教会本部のWEBサイト

崔パウロ氏の神学で特に問題視される部分は以下の点だ(高神派の対策委員会研究報告から抜粋)

二元論的な思想、神学を根強く支持

崔パウロ氏はこの世界は創造以前から絶対的な神の主権と絶対的なサタンの主権(これをそれぞれの国という)が戦争状態にあると繰り返し述べている。聖書の教えは神とサタンが同等な存在とは決して教えておらず、主権はただ神にのみあると教えている。

人間の創造の目的について正しい理解から逸脱している

崔パウロ氏は、「神に似せた存在である人間創造はサタンとの戦いにおいてその計画の意図を示す目的があった」と発言している。崔パウロ氏は主要教団への釈明の場でこの「計画」が具体的に何を示すか説明することができなかった。以前からこの「計画」を「神の事情」と表現し、主要教団側から誤った解釈に発展させる恐れがあるとして撤回を求められた経緯がある。特に「神の事情」という表現と崔パウロ氏が強調する「神とサタンの戦い」はベレヤ神学に限りなく近いものだとする主要教団側からの批判があった。崔パウロ氏は表現そのものを行なわないと約束したものの、結果的に二元論的な主張を取り下げることはなかった。聖書は、神が自身に似せて人を創造したのは神の栄光を現すためだと教えている。正しい聖書理解から逸脱している。

海外宣教先で事件、トラブルが絶えない

崔パウロ氏は他国の文化と土着宗教を極端に排除する強い信念を持っている。その信念がインターコープの宣教師教育に強く反映していることは確かだ。多くの宣教団体は宣教地で異文化を受け入れ、その国の習わしを重んじ、地域に根ざした宣教に勤しんでいる。このような努力を彼らの軽はずみな行動で無駄にすることは到底受け入れられない。

危険な思想 人間は神がサタンと戦うための道具

高神教団異端対策委員会による報告は、崔パウロ氏の思想を「神の主権の唯一性と絶対性に深刻な疑問を提起するものだ」と批判した上で「危険である」と結論付けている。また創造された人間は神に似せて造られたという聖書の教えについては「神は創造した人間に自身の肉体を纏わせた」と主張し、その意味は「神がサタンに勝利する目標の成就のためだ」と述べている。言い換えれば、人間創造の目的は神のサタンとの戦いの道具だということになる。これは正しい聖書理解ではない。

韓国の異端問題専門誌「月刊現代宗教」(2019年12月13日インターコープ宣教会の問題と対策)は光と塩教会担任牧師ユ・ヨンコン牧師(天安市キリスト教総連合会異端対策委員長)のコメントを掲載した。

(以下引用)「崔パウロ氏は神の事情という表現を繰り返した。主要教団は調査の過程で彼はキム・ギドン氏のベレヤ神学の影響を強く受けていると分析した。」(引用以上)

ベレヤ神学とはソウル聖楽教会を設立し、鬼神論を提唱したキム・ギドン氏の神学のことだ。主要教団から異端規定を受け警戒されている。

中国政府はインターコープの活動を条例で規制 国外退去命令を受ける 

2017年5月にはインターコープ宣教会から派遣されたとみられる中国人男性2人(自称宣教師)がイスラム教徒が多数派を占めるパキスタンで活動中に武装した過激派グループに拘束され拉致後に殺害される事件が発生している。この事件の背景には、派遣先の文化、宗教を理解しないで二元論的(神〈正しい〉とサタン〈悪〉)思想に影響された無謀な宣教活動が組織的に行なわれたからだと主要教団から強く批判を浴びた。ある宣教団体で働くC牧師は「インターコープの活動のせいで他の団体にまで悪影響が及び始めている」とコメントした。このような批判と苦情は現在も寄せられているという。

 2018年2月には中国当局が新たに施行した宗教活動の統制強化に向けた条例でインターコープ宣教会が規制対象に含まれたことがわかった。人民日報は中国の安全保障と政治を危険にさらす3団体を公表。その一つに含まれた。「パキスタンで誘拐され殺害された中国人2人はインターコープが組織的に送り込み、過激派武装組織と対面し、誘拐され殺害された」と非難。「2000年以降、インターコープは中国に違法な手段で潜入を続けてきた」と指摘した。

中国政府は「インターコープの宣教師66人を取調べ、46人を違法な目的で入国した疑いで強制的に国外退去を命じた」と公表している。このほとんどは韓国籍の自称宣教師だという。

このような海外の事件について崔パウロ氏は「憂慮すべき問題」とし改善を約束したが「一部の極端な宣教師が起こした問題」と釈明した。現代宗教の記事によると「諸国の偶像、サタンの力が及び」と責任転換する発言を崔パウロ氏が行なったと報じている。主教教団側は、「一部の極端な宣教師による問題ではなく、インターコープによる徹底した教育と使命があのような事件を引き起こした」と結論付けている。さらに同紙は「崔パウロ氏には何度も釈明の機会を設け説明責任を果たすように求めたが、彼はその都度、諸教団を欺いた。悔い改めの機会を与えてもまったく聞き入れなかった。諸教会はインターコープを放置すべきではない。時間が経過すればするほど被害は拡大するだろう」と指摘している。

Back To Jerusalem movement(バック・トゥー・エルサレム運動)の教理乱用

インターコープはバック・トゥー・エルサレム運動を強調する団体だ。バック・トゥー・エルサレム運動自体は、エルサレムに始まった福音が最終的にもう一度エルサレムにもたらされることを通して世界宣教の達成を目指す運動だが、崔パウロ氏はそれを二元論思想で解釈する。彼は「神とサタンの霊的戦いの中心と頂点はエルサレムになる」と主張している。「エルサレムに始まり、エルサレムに戻るバック・トゥー・エルサレム運動は神の宣言が成就することを証明するものだ。天国の福音はエルサレムに向かって西進運動を通じて行進中だ」と主張している。主要教団は「都合よく解釈して利用している」と批判している。

地域の偶像排除 地清め 排他的思想の問題

中国人宣教師がパキスタンで殺害された事件からわかるようにインターコープの宣教師は特定の地域(国)を支配するサタン(悪霊)を退けるために敵対祈祷を教育プログラムに導入している。この極端で排除的な教えも二元論思想と関連しているのだ。崔パウロ氏は「具体的にどう祈るべきだろうか。私たちは偶像とその地域を支配する悪霊に対抗する祈りを捧げるべきだ。地域を支配する闇の勢力はその歳月が長ければ長いほど歴史の中で強力な悪の陣営を形成してきた」と述べている。宣教地で「地清め」を行なうべきだとも教えている。「(悪霊が)じっとしていないからだ。その勢力は我々に抵抗して攻撃してくるだろう。これは戦争だ。」

日本でも神社油まき事件に関係

インターコープの「地清め」の教えの影響は、日本でも刑事事件を引き起こしている。2015年から2017年にかけて全国各地の寺社で、国宝や重要文化財を含む施設に油がまかれ汚損される事件が相次いだ。この事件の犯人として指名手配された米国在住の韓国系日本人男性はインターコープに属していたことがわかっている。神社や仏閣で油をまく同様の事件は、この男性が米国から帰国していない現在まで散発しており、同様の考え方に影響された模倣犯の可能性が疑われている。インターコープによる短期宣教の参加者募集は日本でも行われたことがある。クリスチャン新聞による報道

新使徒運動の影響下にある強い疑い

主要教団は、崔パウロ氏の神学に新使徒運動(NAR)が強く影響していることを指摘している。本人はそれを完全否定している。本人が否定してもこれまでの活動や問題、言動から崔パウロ氏がその影響下にある強い疑惑をもたれても仕方ない状態だといえる。

韓国異端カルト専門メディアによる総論「インターコープは問題発言が多く、弁明と行動が伴っていない」

崔パウロ氏は過去に自身を「聖肉神だ」とインターコープ宣教会内部で発言したことが確認されている。主要教団はこの発言は自分を神と名乗ったと厳しく批判した。しかし、崔パウロ氏は「私は徹底した三位一体の教理に従う者であって、聖肉神とのべたのは自分を聖なる者と紹介したのではなく聖職者という意味で話したまでだ」と弁解している。このように崔パウロ氏が率いるインターコープは、神学的に一層危険な過ちを犯す可能性を秘め、聖書の真理を歪曲させる恐れが強い。彼は正統な神学に立つ牧師だと主要教団に対して「弁明」を行なったが問題が解決されることはなかった。

 

インターコープ宣教会(日本)のWEBサイト

 

この記事は「教会と信仰」「現代宗教」の記事を中心に和訳したものです。日本の読者向けに編集してあります。