新型コロナ感染拡大を警戒する中、極秘の大規模集会 参加者に口止め指示か
過激な思想と教理が問題となっている韓国発祥の宣教団体「インターコープ宣教会」(以下、インターコープ)が新型コロナウイルス感染防止のための条例に違反した大規模研修会を極秘に開催したことが明らかになった。インターコープが実質的に運営する研修施設「BTJヨルバンセンター」で9日から1泊2日の日程で行なわれた。ニュースアンドジョイ(本紙提携メディア)と韓国聯合ニュースから詳細をまとめた。
第一報は韓国聯合ニュースが報じた。「慶尚北道尚州市にあるインターコープ宣教会研修センターで1泊2日の研修会を行なっていたことが明らかになった。防疫当局が状況把握に乗り出した。尚州市防疫当局が12日に明らかにしたところによると、キリスト教宣教団体のインターコープが今月9日から10日まで、インターコープ研修センターで3000人余りが参加した中、1泊2日間の宣教イベントを開催した」と報じている(2020年10月12日)。
イベントに参加した人物が内部の様子をメディア各紙に提供したことで発覚した。聯合ニュースは「韓国人だけではなく海外からも参加し5カ国語の同時通訳が行なわれた。参加者たちは初日の午後に2つのグループに分かれ深夜まで同宣教会の宣教師による活動報告を聞いたという。翌日は朝7時から午後5時まで研修を受けた模様だ。新型コロナウイルスの感染防止対策として多くの参加者はマスクを着用していたものの、研修中に歌を歌いながら動き回り、泣き叫びながら一斉に祈祷する時間が持たれた」と紹介している。
一方でニュースアンドジョイは情報提供者の話として「参会者は大声で泣き叫び歌いながら歩き回った。異様な雰囲気で危険な集団だと感じた」とも報じている。
報道を受け、尚州市は保健所の防疫担当者ら職員を現地に派遣しBTJヨルバンセンターへの立ち入り検査を行なった。市の関係者は14日、ニュースアンドジョイの電話取材にたいして「415人分の参加者名簿は確認できたが現時点で正確な人数はまだ把握できていない。我々は(捜査権がないため)これ以上の調査は困難な状態だ」と答えた。また「新型コロナの感染症予防法違反の疑いがある。市は昨日(13日)、インターコープ宣教会と代表の崔パウロ氏を刑事告発した」と述べた。
地元警察は施設を家宅捜索へ
地元警察は14日の午後5時からBTJヨルバンセンターの家宅捜索を開始した。インターコープが意図的に参会者名簿を隠蔽している可能性があるとみて現在も捜査を続けている。捜査員らは名簿の他、収録機材なども押収した模様だ。崔パウロ氏本人への聴取が行なわれているかについてはわかっていない。
過激な陰謀論を説く 集会で撮影を禁止、口止めの可能性
代表の崔パウロ氏は韓国主要教団に対してみずからの正統性を主張している。特に「過激な宣教方法」「過激な思想」については強く否定していた。ところが今回の研修会では韓国人の講師から「今は終末の時代だ。ビル・ゲイツなどの世界の富豪たち8人が新型コロナウイルスを意図的に拡散させた。こうした問題ある不要な人物を取り除くべきだ」と過激な陰謀論が語られたことも確認されている。また、情報提供者によれば「集会中は携帯電話の電源を切らせ、写真撮影を一切禁じられた。万が一撮影した場合は主催側が削除すると言われた」とニュースアンドジョイは報じている。当日の様子を外部に漏らさないよう口止めした可能性がある。
インターコープは今回のイベントを極秘に開催していた。しかし警察の捜査が及ぶと一部のマスコミの取材に答え「集会を開いたことは事実だが防疫規則を誤解していた。参加者は500名足らずでマスコミが報じた3000人は事実ではない。現時点でこれ以上のことは話せない」と弁解した。ニュースアンドジョイは本部と崔パウロ氏の携帯に電話をかけ集会の詳細と経緯ついて質問を試みた。しかし、電話はつながらなかった。
排他的宣教活動が有名 最近は極端な陰謀論で問題視
インターコープといえば、宣教師の派遣先でその国の文化、宗教を過激に批判、排除する「排他的宣教活動」が大きな問題となった韓国発祥の宣教団体だ。崔パウロ氏の神学は「地清め」の行為を肯定するものが見受けられ、他宗教をサタンの神々などと批判する極端な言動が目立つ。日本でも活動しており、オンヌリ教会派遣宣教師を名乗る韓国人宣教師や宣教師訓練センターの奥山実氏が理事に名を連ねている。本紙は同宣教会について「インターコープ宣教会 統合教団異端似非対策委員会『参加自制』から『参加禁止』へ規定引上げを決定」の記事(2020年8月16日)で詳しく報じた。教理の問題や指摘される実態についても紹介している。ところが、本紙が報じた数日後から日本の公式サイトが閉鎖されてしまった。何か隠さなければならない理由があるのだろうか。
国内でも影響を受けている韓国人宣教師は少なくない。ネットで韓国系教会を検索すると宣教師の経歴に「インターコープ所属」と書かれていることがある。福音派のある教団では韓国籍の協力宣教師がインターコープの活動に無断で参加。「自分は教団から推薦されて参加した」と虚偽の説明をして問題になったことがある。
インターコープの「地清め」の教えの影響は、日本でも刑事事件を引き起こしている。2015年から2017年にかけて全国各地の寺社で、国宝や重要文化財を含む施設に油がまかれ汚損される事件が相次いだ。この事件の犯人として指名手配された米国在住の韓国系日本人男性はインターコープに属していたことがわかっている。神社や仏閣で油をまく同様の事件は、この男性が米国から帰国していない現在まで散発しており、同様の考え方に影響された模倣犯の可能性が疑われている。インターコープによる短期宣教の参加者募集は日本でも行われたことがある。クリスチャン新聞
代表の崔(チェ)パウロ氏が率いるインターコープは韓国の5つの主要教団から神学的問題と危険性、排他的な宣教観を主な理由に総会決議され規定を下されている。内容は以下のとおり。
・大韓イエス教長老教会統合(教会数8,731 信徒数285万2,125人)
【規定】2011年・2013年・2105年「鋭意(えいい)注視・参加自制」
・大韓イエス教長老会合同(教会数1万1,593 信徒数285万7,065人)
【規定】2013年「交流断絶」
・大韓イエス教長老会合神(教会数896 信徒数15万2,316人)
【規定】2013年「参加禁止・交流禁止」
・大韓イエス教長老会高神(教会数1,840 信徒数46万人)
【規定】2014年・2015年・2016年「招聘(しょうへい)禁止・参加禁止」
・基督教大韓聖潔教会(韓国ホーリネス)(教会数2,947 信徒数50万5,946人)
【規定】2018年「1年間鋭意注視」