ソウル高裁、服役中の教祖・李載禄氏と一部信者に追加で慰謝料も
(教会と信仰 2021年01月27日)
2018年9月8日、女性信者らに性的暴行を加えた罪(準強姦罪)で懲役16年の有罪判決を言い渡され現在服役中の李載禄(イ・ジェロク)服役囚(万民中央教会・堂会長=78)と教会側に対し、27日、ソウル高裁は被害女性らの主張を全面的に受け入れ総額12億8千万ウォン(約1億2800万円)の損害賠償を命じる判決を言い渡した。
ソウル高裁民事34部(パク・ソンジュン裁判長)は27日、イ服役囚(以下、イ氏)から性的暴行を受けた被害者7人が起こした民事訴訟控訴審で1審と同様にイ氏と万民中央教会に対し総額12億8千万ウォンの賠償金を支払うよう命じる判決を言い渡した。
被害者らは万民中央教会の教祖イ氏から被害を受けたとし2018年に損害賠償を求める訴訟を起こした。ソウル地裁民事46部(イ・グァンヨン裁判長)は被害者の主張を一部受け入れ4人にそれぞれ2億ウォン(約2千万円)、3人にそれぞれ1億6千万ウォン(約1300万円)の支払いを命じる判決を言い渡した。1審では「イ・ジェロク牧師は自分の宗教的権威を絶対的に信じる被害女性らを正しい信仰の道に導き保護する責務があるにもかかわらず、それを悪用して長期間にわたり常習的に醜い性虐待を行ない、ときに姦淫した」と判断された。
2審のソウル高裁では1審と同様の判決が出た。被害者7人に総額12億8千万ウォン(約1億2800万円)の損害賠償の他、イ氏と一部の信者は被害者一人当たり1千万から2千万ウォンの慰謝料を支払うよう命じた。当時、加害者側が被害者の個人情報をネット上に晒し、嫌がらせを行なったためだ。
2019年8月9日、最高裁はイ氏に対し懲役16年の実刑判決を言い渡した。判決では80時間の性犯罪加害者更生プログラム(及び治療)と出所後、10年間「児童・青少年関連機関」への出入り、就労を禁じる制限も言い渡された。万民中央教会は「ミラクル集会」と称した身体障害者、精神障害、難病の癒やしを行なう宗教行事を現在も続けている。またカウンセリングによる治療も各教会で行なわれているが、教祖は服役しているため等身大のパネルに触れて奇跡を懇願しなければならないという。
現在78歳の教祖は仮に生きて出所できても92歳だ。それから10年間、万民中央教会式のミラクル集会は事実上できないことになる。教祖と1対1で宗教儀式を受けることは「児童・青少年関連機関」の活動に参加することと見なされるからだ。当時イ氏は「不当裁判だ」と1審の判決を批判していた。「相手(被害者)の陳述しか信用しない判決だった」と不満をもらしていた。また信者に対しては「大逆転が起きる」と預言するなど強気の姿勢を崩さなかった。被害者についても「金が目的」と批判。イ氏と一部の信者は被害者の実名をネット上に公開し、嫌がらせ目的で虚偽事実を拡散させた。