「統一協会から脱会して20年・・・内部は分裂」

 CBSノーカットニュース コ·ソクピョ記者 2021年1月21日号

20年前の2001年に31年間も信者として仕えた統一協会(現在の正式名称=天の父母様聖会・世界平和統一家庭連合)を家族揃って脱会したイ・ヨンソンさん。夫で元統一協会牧師のパク・ジュンチョルさんが亡くなり、イさんは2004年から韓国キリスト教統一教対策協議会で事務総長として活動を続けています。イさんは教祖・文鮮明(ムンソンミョン)氏死去後、統一協会は合同結婚式の日程までばらばらになるなど権力闘争が激化し分裂していると、私たちにインタビューを通じて明かしてくれました。また教団専門チャンネル「PeaceTV」(ピースティービー)から発信される情報を通じて今も洗脳教育に力を入れており、コロナ渦でも布教活動は活発だと注意を呼びかけました。

■放送: 1月19日(火)(18:10-18:25)再放送22日(金)(11:40-11:55)

■対談:イ・ヨンソン事務総長(韓国キリスト教統一教対策協議会)

■インタビュー:CBSコ·ソクピョ記者

■収録:2021年1月11日(月)ソウル鍾路区キリスト教会館10階

 

コ記者 イ・ヨンソン事務総長、こんにちは。よろしくお願いします。

イ事務総長 こんにちは。

コ記者 イさんは31年間統一協会の信者として仕え、2001年に脱会されましたね。今年で脱会から20年になります。脱会当時の状況と、なぜ脱会したのか理由を聞かせてください。

イ事務総長 はい。2001年1月9日に脱会しました。私たち夫婦は果川統一協会で牧師を務めていました。その途中で脱会しました。脱会理由は31年間、統一協会に仕えながら常に目標としていたことですが、私たちは教祖・文鮮明氏から合同結婚で結び合わされて祝福を受け、信じて暮らせば地上天国が完成すると教わりました。地上天国を実現し、死ねば天上天国に行けると学びました。しかし、31年間の信者生活ではっきり分かったことは、統一協会は地上天国ではなく地上の地獄を作ったという結論でした。文鮮明氏の言葉も生き方もすべてが間違いだとわかりました。彼は統一協会の中では救世主であり再臨主と信じられていますが、あれも嘘ですから。これが31年間の私たちの答えです。信者たちも、人類を救済しなければと言いながら実は自分の子どもすら守れない、救えない、そんな現実が統一協会にはありました。だからあそこは完全なカルト宗教だと私は思います。こういう現実に気付いて脱会したわけです。

文鮮明氏のことは献金搾取もそうですし、人間個人とその家庭をも破壊し奪う偽物の教祖だとわかった以上、夫が牧師を務めた教会の関連書類を全部印刷して持ち出して脱会することを決意しました。その後、私たちは正式に記者会見も開きました。当時、この会場(キリスト教会館)の2階で会見を開きました。家族全員が脱会に成功したのは私たちが初めてです。他に例がありません。

インタビューに応じた韓国キリスト教統一教対策協議会のイ・ヨンソン事務総長(画像:CBSイ・ジョンウ)

 

コ記者 31年間、統一協会にたずさわりながら内部で様々なものを見てこられたと思います。統一協会で行なわれている献金搾取や問題行為の中でイさんが最も危険だと感じる部分はどこでしょうか?そして教理上の問題も教えてください。

イ事務総長 統一協会は「原理講論」の教えがすべてです。その中で特に危険だと思うのはイエス・キリストは失敗した人間だという教えでしょう。イエスは失敗者であり、十字架による罪の赦し(贖い)も実はすべて嘘だと学ばせます。だから、文鮮明氏だけが救世主でメシアだと信じさせるのです。原理講論は「太陽」という存在、文鮮明の名前は「鮮やか、明らか」じゃないですか。ここに結びつけて文鮮明氏について昼は太陽で夜は月なのだと教えました。今言えることは、原理講論は全部偽物で人々惑わすものだということです。

新天地や他のカルト宗教も同じですが、彼らは教会外で文化センターのような場所を用意して人を集め教育しますよね。統一協会も同じようなことをしています。既成教会のクリスチャンも、何だかよくわからない教会外の聖書勉強に参加してカルト宗教に陥る危険性は十分にあると思います。クリスチャンが統一協会に入信してしまうことはよくあるからです。だから、自分が通う教会の礼拝や学びを大切にするべきであり、得体の知れないところに安易に足を踏み入れてほしくはありません。

コ記者 自分が通う教会外で聖書勉強をしてはいけないとおっしゃいましたが、韓国教会は統一協会に対して今後どのように対策していく必要があると思いますか?

イ事務総長 一番大事なことは被害を受ける前に未然に防ぐことです。

コ記者 未然に防ぐ?

イ事務総長 そうですね。未然に防ぐことです。既成教会は教団ごとに統一協会や異端・カルト対策をしっかりと行なう必要があります。青年会、婦人会、壮年会など世代ごとに対策が異なりますから徹底して学んでほしいです。しっかり勉強して統一協会に引き込まれないようにしてほしいと願います。何より異端に精通した専門家と連携して、これ以上の被害拡大を食い止めなければなりません。

コ記者 最新の統一協会内部情報を知りたいです。文鮮明氏が死去し内部では何が起きたのでしょうか?もしお話しいただけるようであれば聞きたいです。

イ事務総長 文鮮明氏は生前に七男の文亨進(ムンヒョンジン)に統一協会を後継する権限を与えたじゃないですか。当時は七男と三男が国際統一教会(Unification Church International=UCI)の理事を務めていました。ところが、文鮮明氏がいよいよ死ぬと分かると幹部らが団結して妻の韓鶴子(ハンハクジャ)氏を最高責任者に立ててしまいました。だから母親である韓氏と自分が後継者だと主張する七男は激しく争うことになったのです。

教祖が死ぬと統一協会は内部分裂して(分派となって)それぞれの路線で活動しています。韓鶴子氏が実権を握り息子ふたりをアメリカに放り出してしまいましたから。頂点に登り詰めた彼女は自分を神の独り子(女性版の)、独生女(トクセンニョ)だと言い出して、あろうことか夫で再臨のメシアであるはずの文鮮明氏を「原罪がある人間だった」と批判したのです。そして自分には原罪がないとまで言いました。文鮮明氏は死んだので彼は夜の神様で自分は昼の神様だと主張しています。

韓鶴子氏が教祖になってから統一協会はさらにおかしくなりました。合同結婚の設定もイベントの開催日程も教理的なものと関連していたのにそうではなくなりました。別々に行なうこともあるようです。あの合同結婚式も老人ホームを会場に借りたり、お年寄りを動員してイベントをやったりしています。最近新しく始めたことは信者が死ぬ時に着る服を作ることですね。男性は青い衣装、女性はピンク色。これを着ていないと天国に入れないという新しい決まりができました。

コ記者 その衣装も買わなければいけないのですか?

 イ事務総長 そうですね。全部買わされますよ。だから経済的に苦しい信者たちから今も脱会したいという相談が寄せられています。最近の洗脳教育は統一協会専門チャンネル「PeaceTV」が中心です。番組を通して信者を教育しています。そして、コロナ渦の中で防疫に細心の注意を払いながら活動しています。

コ記者 ああ、コロナの対策ですか?

イ事務総長 コロナ対策・・・。そうですね。統一協会という組織は行事などやることがとても多いのでコロナ対策をどうしているか注意深く見てほしいと思います。彼らは今、リスクを避けるため防疫活動に取り組んでいます。昔のように多額のお金を投じて派手な何かをするよりも少額で負担なくできることを沢山見つけて活動していますね。

コ記者 イさんは韓国キリスト教統一教対策協議会で事務総長を務めていらっしゃいますね。協議会として今年一年の目標を聞かせてください。

イ事務総長 脱会して20年ほど経ちました。今まで通り、統一協会の内部事情を世の中に明らかにして脱会した方の命を一番に考え、相談業務に勤しみ本当に役立つ活動を続けたいです。困っている方たちを一人ひとり助けたいです。韓国キリスト教統一教対策協議会がしっかり活動して被害を防いでいきたいと思います。

コ記者 韓国の教会が統一協会に惑わされないようにもっと注意して警戒すべきだと思わされました。イさん、本日は本当にありがとうございました。

イ事務総長 はい。ありがとうございました。