聖書的預言、過激な終末思想、陰謀説、YouTubeで多くの視聴者を獲得

韓国主要教団の一つ「高神派」から異端性が指摘されている「生涯の光」(SOSTV)創設者のカン・ビョングク氏。2016年11月に死去した。

故カン・ビョングク氏はセブンスデー・アドベンチスト(以下、SDA)を脱退後、1989年に「生涯の光」(SOSTV)というインターネット専門チャンネルを設立した。その後、YouTubeを通じた放送を各国の通訳付きで配信している。日本国内では2011年東日本大震災直後から日本中のキリスト教会宛に「生き残る人々」という冊子が無料で配布されるようになった。当時、SOSTVがどのような団体であるのかキリスト教界で話題になっていた。「異端ではないか?」「なにかあやしい」という声も多く聞かれたが正確な情報が少なく様々な憶測が飛び交っていた。このカン氏だが2016年11月に死去した。その後、「生涯の光」(SOSTV)の後継者として弟のカン・ヨンウン氏が代表に就任した。

「生涯の光」(SOSTV)に対し、韓国主要キリスト教の一つ「大韓イエス教長老会高神総会」は2009年第59回総会で「極めて危険な主張をしている」「SOSTVのカン・ビョングク氏は異端性がある」と公式に規定した。本紙は2月12日号の記事「SOSTV創設者、月刊誌『Survivors 生き残る人々』を通じて「原罪」の教理に別解釈…高神派は『極めて危険な主張、異端性がある』と規定」https://cult110.info/sostv/sostv-2020-0212-w/で詳しく報じた。その後、「生涯の光」(SOSTV)から離脱したかつてのブレーンたちが独自の専門チャンネルを開設。単立教会まで設立してネット配信を活発に行なっている。

韓国のキリスト教異端問題専門誌「教会と信仰」は十分に注意するべきだと警鐘を促している。次のように報じた。

SOSTVで説教を担当するソン・ゲムン氏。彼は新たに11HNという番組も開設した。

ソン・ゲムン氏、SOSTV創設者が死去すると新たなグループ「11HN」を設立

SOSTV創設者カン・ビョングク氏の愛弟子とされていたソン・ゲムン氏はカン氏死去後、「生涯の光」を離脱し独自に新しいグループを設立した。11HNというYouTubeチャンネルを開設。11HN聖書研究院のタイトルで配信されるオンライン説教は毎回数万人が視聴している。ソン氏はSDA三育大学で神学を学び、その後、カン・ビョングク氏から牧師按手を受けた人物だ。2017年7月1日には「11HN教会」を設立した。番組の内容は終末論を中心に「戦争」「病気」「家族」問題を取り上げているが、米9.11同時多発テロは米政府による自作自演(陰謀説)だと紹介するなど特異で過激なものが多い。聖書的預言と称するこれら持論が健全な教えと言えるのか主要教団は注意喚起を促している模様だ。現在SDAと直接的な関係はないとされている。

ソン・ゲムン氏のチャンネル「11HN」は聖書の終末論を中心に米9.11同時多発テロの米国による陰謀説や超自然現象などを紹介している。(写真:11HNより)

教会と信仰」の報道によれば、ソン・ゲムン氏に取材するため11HN教会に電話をかけたところ応対した教会職員の女性は「ソン牧師と直接電話で話すことは難しい」と答えたという。「牧師ではなく私たち教会職員に取材してほしい」と述べた。名前は明かせないというこの女性は「私たちの教会を異端だと批判する人は多い。SDAとよく似ているからだろう。私たちはSDAを異端だと思わない。教会としてSDA、長老教会など聖書が正しく示す部分を重んじるだけだ。SDAと似ているが同じ教団ではなく同じ教理に立ってもいない」と述べた。

 

カン・ビョングク氏の「生涯の光」から離脱して独自に「最後の使命YouTubeミニストリー」を設立したアンドリュー・カン氏

アンドリュー・カン氏が設立したオンラインチャーチ「最後の使命YouTubeミニストリー」

同じく、カン氏死去後にアンドリュー・カンという人物も「生涯の光」を離脱した。その後、独自に「最後の使命YouTubeミニストリー」を設立している。主にネットを通じて説教を配信しており特定の教会を持たない。それでも多くの視聴者を得ている。最近になってソウル江南(カンナム)駅周辺で非公式の集会を開いているという情報もある。このグループは11HNを批判するメッセージを発信している。

アンドリュー・カン氏と活動したことがある某牧師によれば、「彼はSDA所属のはずだ」とし「牧師按手は受けていない。それでも教会活動をしているので牧師と呼ばれているようだ」とコメントした。某牧師によるとアンドリュー・カン氏はSDA引退牧師らと共に「生涯の光」月刊誌の編集の仕事をしていたという。ただ、SDA所属についてははっきりわかっていない。分派的な動きをみせているようだ。

「生涯の光」(SOSTV)創設者、故カン・ビョングク氏は生前にSDAを強く批判していた。「SDA系列のネット放送にはくれぐれも注意すべきだ。彼らの説教を聞いて視聴者は何が正しくて何が間違いか判断することは容易ではない」と述べていた。しかし、その本人が異端性を問われたのだ。

「生涯の光」(SOSTV)分派グループ。これらは異端性を指摘される「生涯の光」から強く影響を受けているだけに十分に注意しなければならないだろう。韓国異端(カルト)は分派的に広がりを見せ独自のグループを次々に作る特徴がある。

 

次々と新しいグループが生まれている。SOSTVも内容が過激で聖書の教えではない独自の解釈が目立つ。時代はYouTube、ネット配信が主流だ。