拘置所前に信者100人集結、傘を広げ教祖を守る。裁判所「被告の横領の事実など明白」検察「保釈されてもなんら支障はない」と自信
カカオニュースは、新型コロナ拡散の首謀者として感染症予防法違反の疑いで逮捕起訴された李萬熙被告(イ・マニ=新天地イエス教証拠〈あかしの〉幕屋聖殿総会長)が12日5時20分頃、京畿道水原市の水原拘置所を出たと報じた。12日午前に裁判所は保釈を認めた。イ被告は電子監視装置を装着、1億ウォン(約1千万円)の保釈金を納めた。イ被告は自力では歩けない様子で終始うつむいたままだった。車椅子で移動し新天地関係者が準備した車に乗り込んだ。検察は「証拠はすべて掴んでいる。保釈されてもなんら支障はない」と自信をのぞかせた。
拘置所の出口前には100人を超える信者が教祖の保釈を今かと待ちわびていた。イ被告が登場すると「総会長がお出になられた!」と声を挙げ一斉に駆け寄った。信者らは警察やマスコミがイ被告に危害を加える可能性があるとし、ほぼ全員が傘を広げて教祖を守ろうとした。信者らは興奮した様子で一部では叫び続ける女性もいたという。肉体が滅びず永遠に生きるイエス・キリストの代理人として神格化され絶対的な権威を誇示するイ被告だが、なにも語らずうつむいたまま信者が準備した車に乗り込んだ。自称救い主の姿は信者らにとってどう映ったのだろうか。
新天地被害者連帯(被害者家族の会)は拘置所前に集まらなかった。今回は信者らとの衝突はなかった。保釈後、イ被告の裁判は16日に行なわれる。韓国異端問題専門誌「月刊現代宗教」によれば、保釈されたが起訴内容のひとつ「横領罪」について16日から継続的に裁判が続くという。元愛人で教団ナンバーツーだったキム・ナミ氏の供述と検察が押収したイ被告の個人口座、出入金内訳などの証拠から2億ウォン(約2千万円)以上の献金を個人的に使い込んでいた事実が示されたばかりだ。
ヨット購入費や海外巡回講演費の名目で他にも相当額の教団資金を私的流用したと疑いがある。イ被告には正妻がいる。それにもかかわらず、キム・ナミという愛人を作り、彼女に新天地の全権を譲ろうと企てていた。しかし、イ被告にとって何らかの不都合が生じたのだろう。キム・ナミ氏はいつの間にか教団から追放された。2月10日、キム氏は新天地問題を取上げるネット放送に登場するとイ被告の不正行為やプライベートを暴露した。教団は支派長(教区長)が中心となって信者からの献金を教祖に上納していたこともキム氏は検察側に供述している。横領の事実についてイ被告の弁護人は「資金を支派長から受け取ったことは事実。この金が献金だとは知らなかった」と反論している。裁判所は「被告の横領の事実などは明白」と述べている。
新天地脱会者によると「イ被告は絶対的権力者で新天地では神として崇拝されていた。肉体は死なないし、彼を中心として王国が韓国の果川に完成すると信じられている。14万4千人の新天地信者が救われ、他の教会は腐敗し、社会はサタンに支配され終わりだと聞かされた」と述べた。イ被告の法廷での言動や今回の保釈について「みすぼらしい。ただの老人ではないか?」と批判した。また「イ被告に服従するために信者は洗脳されている。特に韓国人信者は狂信的な人が多い。結婚の自由も認められず、プライベートもコントロールされる。嘘をついて騙しながら活動している」とコメントした。
本紙、異端・カルト110番共同代表で日本キリスト教異端相談所所長を務める張清益(チャン・チョンイク)牧師は、今回のイ被告の保釈を受け次のようにコメントした。「永世不死(永遠に生きる)を主張した教祖イ・マニのこの姿を見て新天地信者らは目を覚ましてほしいと思う。イ・マニ被告は自分の体のことよりも、まず新天地に子どもを奪われた被害者家族の悲痛な声に耳を傾けてほしい」と述べた。
本紙は日本国内の新天地について集中的に取材を進めている。マッテヤ支派の海外支部だった東京シオン教会(東京都新宿区鶴巻)は信者もろとも行方をくらました。大量の督促状が信者宛に届いていた。借金や未払い問題は韓国系カルトの特徴のひとつだ。教会が入る早稲田のRビル前にはゴミが散乱し、郵便物や書籍が放置されていた。幹部信者らはオンラインで講義を続け、連絡は機密性の高い通信アプリ「テレグラム」で行なっている。本紙は日本の新天地の偽装布教の実態や中心的な信者の動きを注視している。世間に知られることなく、大学生が次々と入信している事実について取材を通じてさらに明らかにしたい。