批判、教育のための教祖著作物掲示は適法

韓国・著作権侵害裁判で摂理が2審も敗訴

 鄭胤晳記者

 

水原地裁 「原告の著作物、被告の行為で影響を受ける価値があるとは考えにくい」

▲判決文

金敬天(キム・ギョンチョン)牧師(安山常緑教会異端対策チーム長)が、性犯罪者である鄭明析(チョン・ミョンソク)教祖が率いJMS側から著作権侵害訴訟を起こされたが、2021617日の2審でも勝訴した。 金牧師は自分が運営するネイバー <カナンのカフェ(JMSを離れてイエスのもとに)に20178月ごろ「地獄にも携挙塔があるのか」というタイトルでキリスト教福音宣教会(JMS)側の著作物を掲示した。 するとJMS側が氏名表示権、公表権、同一性保持権など著作財産権を侵害したとして5百万ウォンの民事訴訟を起こした。 1審で棄却処理された事件は、再び2審でも棄却された。 氏名表示権とは、著作者が著作物の原本やその複製物に実名又は異名を表示する権利、公表権とは著作者が著作物を公表し、又は公表しないことを決定する権利、同一性保持権は著作者が彼の著作物の内容·形式·題号の同一性を維持する権利を意味する。

水原地裁第3民事部(2019、ナ2718)は氏名表示権侵害について「(氏名表示権が)認められるには、著作物自体に著作者の実名または異名が表示されたか、著作物の著作者が原告であることを被告が知っていたか、知るべきだったが、そのような証拠はない」として受け入れなかった。 公表権侵害についても「公表権は未公表の著作物を公表するか否か、公表をする場合、いつどのような形や方法で行うかを決める権利を意味する」とし「事件の著作物がこの事件のホームページに掲示された事実を(原告が)自認している」と明らかにした。 したがって、「すでにホームページに掲載されたことで公表された事実が認められる以上、この事件の著作物について『公表しないことを決定する権利』が原告に存在すると見ることはできない」として受け入れなかった。同一性保持権侵害についても「著作物を原作そのままこの事件のカフェに掲示した事実を認めることができる」とし「被告がこの事件の著作物の内容や形式などを一部でも変更して掲示したと見るに値する何の証拠もない」とし、侵害事実を認めなかった。

著作財産権の侵害の有無についても裁判所は「著作物の通常の利用方法と衝突せず、著作者の正当な利益を不当に害さない場合には著作物の公正な利用として認められる」とし「被告がこの事件の著作物をこの事件のカフェに掲示したのは著作物の公正な利用に当たると見るのが妥当だ」と判断した。 このため裁判所は、著作財産権の侵害、公表権、氏名表示権、同一性保持権のすべての部分で侵害されたというJMS側の主張を受け入れなかった。

キム·ギョンチョン牧師がJMS側の著作物を「地獄にも携挙塔があるのか」という批判的な文句をつけてネイバー<カナンのカフェ>に一緒に掲示したことについても裁判所は「被告の行為が原告の当初の創作および公表意図に符合しない側面は存在するが、この行為は特定の宗教教理理念に対する批判のために宗教的·教育的目的で行われたもの」とし「営利性があったとは考えにくく、教理理念を伝播するという宗教の性格を持つこの事件の著作と関連し、被告の行為によって影響を受ける市場、もしくは潜在的な市場が存在すると考えるのは無理があるとの判決を下した。

キム·ギョンチョン牧師は記者との通話で「もし今回の裁判に負けたら、JMS側の写真を引用し批判することが難しくなり、使用時に著作権料を払わなければならなかったかもしれない」とし「裁判所がJMS側の請求を棄却したことで、宗教的批判と公益的な目的で使用することが自由になった」と喜んだ。

一方、金牧師は、198012JMSに入って、200912月に脱会した。 JMSという異端に30年間いた経歴をもとに、JMSだけでなく、様々な異端に陥っている人々の相談にあたり、正しい信仰に戻られるように助ける働きをしている。 著者はネイバーのコミュニティ「カナン」(JMSを離れ、イエスの懐へ)のマネージャーとして活動している。 JMSは、「キリスト教福音宣教会」と呼ばれ、団体の設立者、鄭明析(チョン·ミョンソク)教祖は、女性信徒に性的暴行を犯した罪で10年間服役し、2018218日に満期出所した。


本サイトと業務提携を結んでいる<キリスト教ポータルニュース>の記事を<異端カルト110番>が翻訳したものです。

韓国語記事の原文 김경천 목사, JMS측과의 민사 소송 2심도 승소 – 기독교포털뉴스 (kportalnews.co.kr)


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