感染者1700人超え。保健当局へ虚偽の資料提出の疑いも・・・被害者ら「私の娘を返して」報道陣の前で涙ながらに訴える。偽装工作信者7000人分の名簿未提出か。故意に感染を広めている可能性も

「私の娘を返せ」「愛する我が子を返せ」と訴える新天地被害者連帯のメンバーたち。入信した自分の子どもを取り返そうとソウル中央地方検察庁前で会見に臨んだ。(写真 ニュースアンドジョイ)

ニュースアンドジョイの記事を翻訳(本紙による編集あり)2月27日号 イ・ウネ記者

27日午前11時、全国新天地被害者連帯(以下、新被連)は、宗教団体・新天地イエス教証拠(あかしの)幕屋聖殿(以下、新天地)の総会長で自称メシアとして崇められている李萬煕(イ・マニ)を感染症予防法違反の疑いなどでソウル中央地方検察庁に告発した。他にも保健当局に対し、新天地本部が虚偽の資料を提出した疑いや特定経済犯罪加重処罰などに関する法律違反(横領・背任)の疑いでも告発状を提出したことがわかった。

告発状によれば「新天地は新型コロナ感染者拡大を受け、保健当局に提出した集会場と信者数を実際より少なく報告し、教団の組織保護のために調査を妨害した」という。韓国政府は新天地本部から全信者21万人分の名簿を受け取り、地方自治体別に感染状況を調査している。また、新天地は公式サイト上に全国の教会と関連機関1100カ所のリストも公開した。

新被連によると、「新天地が勧誘目的で運営するダミー教会、文化交流などを名目に人集めをしている偽装センターは他にも429カ所確認しているが新天地は公開していない。さらに重要人物らの名簿も明かされていない」とコメントした。布教活動の工作員信者7000人のリストは以前不明のままだという。

新天地の教祖イ・マニ(89)と追放された元愛人でナンバーツーだったキム・ナミ氏(右)。キム・ナミ氏は最近になって被害者団体が運営する番組に電話で答え、新天地の問題を暴露し話題を呼んだ。元愛人問題、訴訟、新型コロナ感染拡大、そして告発。新天地は崩壊寸前だと言われている。

新天地は調査に協力していることを公式サイト上で掲げているが、教祖であるイ・マニは未だ姿を現していない。信者向けの声明で「これは悪魔の仕業だ」と告げただけである。一説には本人も新型コロナに感染しているのではという情報もある。1月末から2月2日にかけ大邱市南部の清道デナム病院の地下で教祖の実兄の葬儀が行なわれた。この場に中国から来た幹部信者、本部のトップクラスも参列したとされる。この教団では教祖の肉体は滅びない「永生」信仰がある。教祖の体調不良や身辺の問題が明らかになれば神格化が崩壊する可能性がある。無責任な態度に韓国国民の怒りはピークに達しているようだ。

27日現在、感染者数は1,766人にまで増え、死者は13人となった。一日で500名以上の感染が確認された。このうちの半数が新天地関係者だと確認されている。新天地は当初、信者向けに「(感染源が)我々でないことを知らせるために一般の教会で礼拝を捧げよ」と指示していたことも分かっている。国民の間からは「このメッセージは新天地のウイルステロだ」「感染拡大を意図的に行なっているのではないか」と不安と批判の声が上がっている。常識では考えられない発言であることは間違いない。

会見を行なう信者の親たち。大勢の報道陣が詰めかけた。(写真:ニュースアンドジョイ)

新被連の会見に参加した信者の親たちは、悲痛な胸のうちを集まった報道陣に向けて語った。「娘を返せ」「愛する我が子を帰してほしい」「カルト・異端の新天地に告ぐ」などと書かれたプレートを掲げながら取材に答えた。

釜山ヤコブの新天地で自分の娘(27)が入信したまま8年間音信不通だという父親のキム・ドンチャンさんは、「入信した娘に一目会いたくて偽装センターまで行って抗議しました。すると新天地の信者は私の自宅と職場にまで来て報復デモを行ないました。信じられないのですが、娘は私を告訴したんです。子どもが親を訴える宗教なんて理解できません。」と訴えた。釜山ヤコブとは新天地が付けた教区の名称だ。聖書の12使徒を倣い、12の支部で運営している。「私の生活まで脅かされました」とキムさんは語った。

浦項から来たという某さんは、25歳になる娘と3年近く会っていないと明かした。「娘は最初、一般の教会に通っていると嘘をついていました。ある日を境に家を出て戻ってこなくなったのです。新天地は私の娘を“両親からの傷を負っている”と勝手な理由をつけ教団の保護施設に送りました。ある日いきなり帰宅した娘は、どこに行くにも新天地に報告していました。娘と久しぶりに旅行に行きました。すると新天地は“両親が暴力を振るっている”と私を訴えたのです。娘の身の安全を保護している立場だと主張してきました。」某さんは、新天地の教育施設の前で抗議活動をした。すると信者たちが「お金をもらって抗議しに来たな。脱会支援をする牧師に操られているのか」と脅してきたのだ。「何度もセンターに行きました。娘の姿を見たことがあります。新天地の異常さが早く知られ、検察が捜査に乗り出してくれることを期待しています」と述べた。

27歳の娘を探しているというイさんは、「新天地は布教のためなら新型コロナ感染の危険があっても嘘をついて隠蔽するだろう。こういう時こそ内部を締め付ける集団。教祖イ・マニは王国の崩壊を恐れ、隠蔽に明け暮れている。これは時間稼ぎにすぎない」と批判した。「新天地本部の言葉を信用して無駄な調査を続ける保健当局には心が痛むばかりだ。今すぐにでも検察は教祖を拘束し、教団を解体してほしい。国民の安全を保障してほしい」と述べた。

早稲田の某ビル。以前確認した際、信者らは新天地であることを完全否定した。教祖イ・マニも「知らない」と言い切った。流出している資料から新天地であることを確認した。ビルには幹部信者が住んでおり3、4階を閉鎖しても意味がないと思われる。(撮影:異端・カルト110番)

編集部より

本紙は日本の新天地について調査、取材を続けています。彼らはどんなことがあっても新天地だと認めません。早稲田のダミー教会(新天地の)は22日に確認したところ入り口に「新種のコロナウィルスに関連して感染を前もって防止しようと予防対策として3、4階の施設を2月19日から暫定的に事態が沈静化するまで自粛閉鎖いたしました」と張り紙がされていました。平日も早朝から深夜まで大勢の韓国人、中国人信者が出入りするこの施設が急に閉鎖されたことは、韓国側の新天地による感染拡大と連動している証拠だと考えます。しかし、扉の向こうからは談笑する声や歌が聞こえ、廊下には韓国料理の匂いが立ちこめていました。先日、日本から帰国した38歳女性が新型コロナに感染したことが確認され(感染者53番)、新天地信者だと判明しています。日本国内のダミー教会も一斉に閉鎖した模様です。次回はさらに詳しい調査報道を特集する予定です。

 

注)当該ビルには一般の方もお住まいになり新天地が私物化している面が多いものの、無関係の方もおられます。ビル名を本紙では削除することにしました。