大邱スタジアムを10万人が埋め尽くした新天地イエス教の修了式

韓国でいま最も被害が深刻とされる異端・カルト「新天地イエス教証拠(あかしの)幕屋聖殿」が1120日、韓国・大邱(テグ)市の大邱スタジアムで、シオン・キリスト教宣教センター第113期修了式を開催し、修了生ら約10万人が参加した。新天地の新聞「天地日報」が伝えたほか、韓国の一般メディアも報じた。

新天地は、新型コロナ禍の初期に規制を無視して大規模集会を続け、クラスター源になったことが批判を浴び注目された。また、新天地に入信した若者らが行方不明になる例が続出し、親たちが街頭で「息子・娘を返せ!」と看板を掲げて訴えるなど社会問題化している。

韓国内の報道によると、コロナ禍で昨年と一昨年の修了式はオンラインだったため、対面式の修了式は3年ぶりの大規模イベント。韓国全土を12の教区に分けて12使徒の名を冠した12枝派の修了生は106186人と発表されている。65000人収容の観客席は満杯で、天地日報は運動場にも大勢の修了生が並んでいる写真を掲載した。日本の新天地イエス教会はアンデレ枝派に属しており、偽装サークルなどを通して活発に研修生を勧誘していたことがわかっているが、今回の修了式に日本人が含まれていたかは不明。

新天地イエス教の新聞「天地日報」はスタジアムいっぱいの修了生の姿を掲載した

韓国のキリスト教会では、異端・カルトの猛威によって教勢が鈍っていると言われる。10万人単位で新たなカルト信者が加わる勢いは重大な脅威だ。新天地の研修は厳しい訓練で知られ、試験に合格した者が修了生と認められる。訓練を受けた大量の新規信者たちが、既成教会の信者をターゲットに伝道活動を一層活発化させることが危惧される。

市内バスより多いバス2000台で全国から集結 交通事故も

この修了式のため、新天地信徒を乗せたバスが全国から2000台以上大邱市に集結したが、これは同市内のバスの数より多いとMBCニュースが伝えた。

また、SBSの報道によると、大規模な人並みで非常事態になった大邱市と大邱警察庁は現場の交通整理と安全管理に乗り出す事態となった。近隣では新天地反対集会も開かれたが、衝突は起きなかったという。梨泰院(イテウォン)惨事以後、大規模行事の安全管理に対する憂慮が高まっており、集会を許可した大邱市に対して批判が集まった。洪準杓(ホン・ジュンピョ)大邱市長は18SNSを通じて「感情的には受け入れ難いかもしれないが、対民行政をどうやって感情だけで処理できるのか」と語った。

20日午後8時21分ごろ、京釜高速道路北天安IC付近でバス3台を含む5台の追突

し、バスの運転手1人が死亡、31人が負傷する事故が発生した。バスのうち2台には、新天地の修了式を終えて帰る信徒ら80人余りが乗っていたとの報道もある。

YouTubeには、修了式に向かう人並みに向かって「黙示録の真相を確認してください!」と叫ぶ脱会者の呼びかけもアップされている。