現代宗教
2021.10.13

新天地(新天地イエス教証拠=あかしの=幕屋聖殿、イ・マニ総会長)には、教祖のイ・マニが代表を務める関連団体が多数存在する。 これらの関連団体は、新天地とは名乗らず、偽名で社会に浸透している。 これはイメージ改善と共に、布教戦略とみられる。

●HWPL, IWPG, IPYG

HWPL(Heavenly Culture World Peace Restoration of Light, 天の文化世界平和光復, 代表イ・マニ)は、新天地を代表する関連団体である。 新天地という名を隠して終戦と世界平和を掲げ、様々な平和行事を主催・進行する。 行事には政治的・社会的要人も参加している。

HWPLと傘下団体のIWPG、IPYGのロゴ(「現代宗教」より)

 

HWPLと共に平和の声をあげる2つの団体がある。

①HWPLの傘下団体であるIWPG(International Women’s Peace Group, 世界女性平和グループ, 代表ユン・ヒョンスク)
IPYG(International Peace Youth Group, 国際青年平和グループ)

 IWPGは女性の人権保護を、IPYGは青年の平和運動を掲げている。3団体とも、「地球村の平和を実現し、後代に遺産として残そう」という目標を立てた。 彼らは世界平和のためだと主張するが、実際は、新天地広報と内部結束を固める活動と言える。
一方、ソウル市は市民を欺き、公益侵害の理由で、HWPLの法人設立許可を取り消したことがある。 HWPLはこれを不服として、ソウル市を相手取り法人設立許可取り消し処分取り消し訴訟を提起したが、一審で敗訴した。

●天地日報

2009年に創刊された『天地日報』は、新天地の機関紙として知られる。 発行者は新天地信徒であり、信徒の多くが購読している。その内容は、新天地関連記事を積極的に掲載し、 「聖書教理の比較」とのタイトルで既成教会と新天地の教理をテーマ別に比較した記事を、宗教企画カテゴリーに着実に載せている。

また、新天地代表の李萬熙(イ・マニ)は、『天地日報』事務所と推定されている場所で56分にわたり講演し、 「『天地日報』は最高でなければならず、『新天地新聞だけは信じられる』と認められるべきではないか」と述べた。だが『天地日報』は、新天地機関紙ではないと主張し、2011年に「新天地と『天地日報』の関係性」に関する記事を書いた記者らを、名誉毀損などの容疑で告訴した。 しかし検察は、「『天地日報』が新天地機関紙だと信じるに値する相当な理由がある」として容疑なしの決定を下した。   

新天地イ・マニ総会長を大々的に紹介した「天地日報」の紙面(「現代宗教」より)

●YouTubeチャンネル

YouTubeでも新天地は活動している。 新天地の代表YouTubeチャンネル「HMBC 」は、新天地の教理以外にも、新天地Q&A、おしゃべり大集会、新天地ニュース、新天地アニメーションなどがある。

新天地や関連団体の名を知らない人を促すコンテンツもある。 「都市の中の散歩」(自然黙想映像)、「言葉で開く一日」(聖書のみことば映像)、「食卓の上の小さな庭園」(料理レシピ)などは、新天地と名乗っていない。 このほかにも、一般信徒がチャンネルを作り、
「新天地青年ブログ」、「新天地が語る新天地」などの映像を地道にアップしている。

新天地のYouTubeチャンネル(「現代宗教」より)

●新天地ボランティア団

「宗教および特殊な目的に関する内容があってはならない」という条件がある地域では、”PEACE”という単語を使い、自分たちの領域表示をする。 一方、彼らの奉仕には、「イ・マニへの政府防疫活動の妨害」および「教会資金横領容疑に関する裁判に、肯定的影響を与える戦略」ともみえる。 このようなボランティアを装って積極的な布教をする新天地ボランティア団は、警戒する必要があるといえるだろう。   

防疫活用をする新天地ボランティア団(「現代宗教」より)

●インターネット・シオン宣教センター

インターネット・シオン宣教センター(www.eduzion.org)は、新天地の教理をオンラインで教える新天地教理教育専門サイトだ。 時間と空間の制約を受けず、個別学習で新天地の教理を教えるために作られたプラットフォームだ。    インターネット・シオン宣教センターには2つの学習過程「 修了基準のある学習課程」と「修了基準のない自律課程」がある。 「修了基準のある学習課程」は順次学習課程で、入門課程、初等課程、中等課程、高等課程があり、 修了基準どおり学習して学習完了となる。    「終了基準のない自律課程」は、修了基準や学習期間の制約を受けず、自律的に学習する課程である。

新天地は、「インターネット・シオン宣教センターで聖書の無料学習ができる」と人々を惑わす。 一方、最近では新天地の信徒らは、聖書勉強のほか、オンライン礼拝の際、このプラットフォームを活用しているという。   

インターネット・シオン宣教会のホームページ(「現代宗教」より)

 

新天地には様々な関連団体があるため、 布教だけでなく、イメージ改善が必要な時は適宜、関連団体を活用しているのが実情だ。 今後どのような姿で我々に近づいてくるか、注目する必要があるといえるだろう。


本記事は、現代宗教(韓国)の「新天地の実態をカモフラージュする関連団体 ~平和・人権・青年・メディア・ボランティアでイメージ改善?~(신천지 유관단체들) 」より翻訳したコンテンツになります。