カリフォルニア州の法廷が11月４日、犯罪捜査や訴訟を受けメディアから監視されている宗教団体の指導者が設立したオリベット大学について聴聞を開始した。ニューズウィークが5日報じた。
カリフォルニア州の私立高等教育委員会は、オリベット大学を14の教育規則違反で告発し、郊外のアンザにメインキャンパスを構える同大学の閉鎖に動いた。同州司法長官は、私立高等教育委員会を代表し、オリベット大学の閉鎖、あるいは運営許可の取り消しを州消費者庁に申し立てた。
写真は2024年4月18日、カリフォルニア州アンザにあるオリヴェット大学のフラッグシップ・キャンパスの外に掲げられた看板。アレックス・J・ルハンデ／ニューズウィーク
「私たちは開校を維持するために戦っているのです」と、聴聞会でオリベットを代表した張氏の2人の弟子のうちの1人ウォーカー・ツェン氏は語った。オリベット大学には弁護士はいなかったという。
この大学閉鎖への取り組みは、カリフォルニア州の教育調査官が2022年11月15日にアンザ・キャンパスを抜き打ち査察したことから始まった。調査官によると、オリベット大学は、規制当局に報告された学業成績や大学自身の財務データとも一致しない学生たちに、資格のない教師を使って標準以下のコースを教えていた証拠を発見したという。同様の疑惑により、すでに8つの州と地域の規制当局がオリベット大学のキャンパスを閉鎖したり、大学の見直しを始めたりしている。
カリフォルニア州は、オリベット大学にとって圧倒的に重要な州規制機関である。韓国系アメリカ人の聖職者であるデビッド・ジャン（ダビデ張）氏が2000年に設立したこの大学に学位を授与する権限を与えているのは、アメリカ国内でこの州だけであり、その組織と弟子たちは過去10年間、一連の訴訟問題に直面してきた。オリベット大学の残りの10キャンパスは、7つの州とコロンビア特別区にあり、大学のサテライトとして機能している。
オリベット大学は、2021年に国土安全保障省の捜査官が労働者人身取引、マネーロンダリング、ビザ詐欺の証拠を求めてアンザ・キャンパスを捜索し、公になった犯罪捜査の中心にもなっている。
カリフォルニア州中部地区の連邦検事局がオリベット大学に対する事件を捜査しており、いかなる告発も時効が成立する前に「ただちに」行われる必要があると、4月にオリベットに対する民事訴訟で提出された文書は示している。
冒頭陳述で、ツェン氏とともにオリベット大学を代表したジョナサン・パーク学長は、この審理が正当なものだとは思わないと述べ、審理全体がニューズウィーク誌の共同経営者兼CEOデヴ・プラガド氏と同誌の記者たちによる陰謀の結果であると主張した。ニューズウィーク誌は、ワールド・オリベット・アッセンブリー教団の2人の元信者によって所有されている。彼らが張氏の教会を去ったことが引き金となり、訴訟が相次いだ。オリベット教団は、この記事に関するニューズウィークのコメント要請に応じなかったという。
「私たちがここにいるのは、この検事局の何人かがニューズウィークに汚染されたからだと思う」 とパーク氏は言った。パーク氏とツェン氏は、オリベット大学のキャンパスを捜索した教育検査官を含む州側の証人への反対尋問に苦戦したことをニューズウィークは伝えている。
ロサンゼルスタイムズ紙は9月20日付で、ニューズウィーク誌が報じたオリベット大学に関する記事（学生への虐待を含む）の大半をそのまま掲載した。この記事には、2011年に中国から米国に渡った2人の元オリベット大学の学生、曹廷波氏（41）と周麒聯氏（35）のこれまで報道されなかった証言が含まれていた。
２人の学生は強制的に働かされ、勉強する時間はほとんどなく、約束された奨学金を受け取ることもなく、オリベット大学から経済的に搾取されていたとロサンゼルスタイムズ紙は報じた。
「周氏は、オリベット大学のグラフィック・デザインの学生として、週に50時間以上を費やしてグラフィックを作成し、AmazonやEtsyのオンラインショップでクリスタルやTシャツなどの商品を販売していた」という。「彼女は通常、中国から材料を仕入れていたが、売上金を目にすることはなく、授業と毎日午前5時の礼拝の他にしなければならなかった労働時間に対して、十分な報酬が支払われることはなかったと語った。」
同紙によれば、オリベットから受け取ったお金は、寄付をするよう常にプレッシャーがかかっていたという。オリベット大学は同紙への声明で、この疑惑は事実ではないと述べた。オリベット大学が運営するeコマース事業は、学生への虐待に関する報道と同様に、法的論争の中心となっている。
テキサスに本拠を置く8figが2023年に起こした訴訟では、ダビデ張こと張在亨（ジャン・ジェヒョン）氏が設立した教会「ワールド・オリベット・アセンブリー」が、オンライン・ショップのネットワークや他の企業を使って650万ドル以上を詐取したとして非難している。この訴訟の被告の１人であるパーク氏は、今年オリベット大学の学長に指名された。訴訟の当事者は和解協議中である。
オリベット大学がカリフォルニアで閉鎖された場合、張氏は同宗派の他の大学を通じて宗教教育の足場を維持する可能性がある。そのうちのひとつ、キリスト教音楽大学と銘打たれたジュビリー大学は、ミズーリ州に本拠を置くテレビ局Fox4が先週発表した調査報道の対象となった。
「この学校は4年前に開校しましたが、キャンパスを散歩すると不気味なほど静かです。生徒の姿はありません」とFox4はミズーリ州レキシントンにあるこの学校について報じた。
同局はマーカス・ランディン学長にインタビューし、同学長はレキシントンのキャンパスには授業料を払っていないオンライン学生が30人いると語った。
Fox4によると、「私たちは長い目で見ています。どこにも行くつもりはありません。この場所を放棄するつもりはありません。長期的な目標は、何百人もの学生をキャンパスに受け入れることです」。
Fox4のデジタル版には、オリベット大学のパーク学長からの詳細な回答が掲載されているが、同学長はジュビリー大学との関係を否定しているという。
本記事はNewsweekの次の記事から概要を翻訳したものです。
