日本大会のチラシには、トレードマークの弾丸をあしらった王冠をかぶる文亨進氏の背後に「真のお父様」故・文鮮明の若き日の写真が

「再臨主」として統一協会(世界基督教統一神霊協会)に君臨した故・文鮮明(ムン・ソンミョン)の7男で、自らを再臨主とする分派「サンクチュアリ協会(世界平和統一聖殿)」を率いる文亨進(ムン・ヒョンジン)氏が十数年ぶりに来日、6月25日東京大会を皮切りに九州、関西、中部、北海道を縦断し7月13日の「全日本歓迎特別集会in首都圏」まで2週間を超える日本大会を開催する計画であることが分かった。コロナ禍で規制していた外国人の入国解禁の動向に即応して、「王」の来日と一連の行事で求心力を高めようとする構えだろうか。

日本大会の各地の日程の中には、統一協会系特有の再臨のメシア夫妻による結婚式と見られる「祝福式」も予定されている

文亨進氏は米国在住で、頭に弾丸を並べた王冠をかぶって「聖戦」を呼びかけ、銃を携行して集会をするという特異な出立ちのサンクチュアリ協会は、アメリカでは「ガンチャーチ」として知られる。2021年1月6日、トランプ前大統領の支持者の一部が暴徒化し連邦議会議事堂を襲撃した際には、議事堂に向かうデモの隊列の中に亨進氏の姿もあった。

2008年には亨進氏が統一協会の後継者と発表されたが、「真のお父様」と呼ばれた文鮮明が2012年に死去すると、「真のお母様・ご父母様」と称する妻・韓鶴子(ハン・ハクジャ)氏が後継団体「世界平和統一家庭連合(天の父母様聖会)」の総裁に就任。「真のお父様」から王権を受け継いだと主張する亨進氏との間で正統争いの紛争になった。その後、2021年2月には3男の文顕進(ムン・ヒョンジン)氏もメシア宣言をし、「再臨のメシア」の後継者をめぐって三つ巴で骨肉の争いに発展している。

この分裂・後継争いに伴い日本の統一協会も分裂。元日本統一協会の第7代会長を務めた江利川安栄(えりかわ・やすえ)氏は2015年に統一協会を離脱し、日本サンクチュアリ協会の会長に就任した。日本サンクチュアリ協会のホームページには「真のお父様に帰ろう!サンクチュアリ教会『三代王権天一聖殿』」とのキャッチフレーズを掲げている。江利川会長は、今回の文亨進氏来日にあたり、「文亨進二代王様、信俊三代王様、お帰りなさい! そして、真のお父様、おかえりなさい!」との表題で、次のように「真のお父様」文鮮明の王権を受け継ぐ血統を強調する挨拶文を寄せている。

日本サンクチュアリ協会のホームページに掲げられたスローガン

「ご挨拶 真のお父様をメシア、再臨主、真の父母と仰ぎ、そのみ言と血統と伝統を守っておられる皆様、神の国と神の義を求めての日々の聖業に感謝し、敬意を表する次第です。この度、真のお父様の役事により、生きて働かれる万王の王であられる真のお父様と亨進二代王様、信俊三代王様が、韓国に引き継いで、ご来日されることになりました。無事のご入国と日本での『み言と聖霊役事の集会』『祝福式』等々の重大な行事を、精誠を捧げながら準備させていただいております。この十何年ぶりのご来日を契機に、日本エバ国家、母の国が更に復興、復活して、み旨成就に向けて、より大きな責任使命を果たして参りたいと存じます。三代王権をお迎えするために、不足な者達ですが、心情一致し、全面的に協力し合って参りましょう! どうぞ、皆様、全食口(注:シック=信者)が三代王権の恩恵に預かることができるように頑張りましょう!」