9月12日、統一協会(天の父母様聖会/世界平和統一家庭連合、代表:韓鶴子)の組織「天宙平和連合(UPF)」が開催した大規模イベント「神統一韓国のためのTHINK TANK 2022 希望前進大会」に、安倍晋三前首相がドナルド・トランプ米国前大統領らと共にリモートで基調講演した。
統一協会は創設者である故・文鮮明(ムン・ソンミョン)氏の時代から自民党をはじめとする日本の歴代の保守政治家たちと癒着してきたが、文氏の死後、家族の中で「再臨のメシア」の地位をめぐって後継争いが続いている中でも、文氏の妻・韓鶴子(ハン・ハクジャ)氏が率いる後継組織と安倍氏が今も親密な関係にあることが明らかになった。「HARBOR BUSINESS Online」は2019年11月、当時の安倍政権の10人以上の閣僚が統一協会と関係があることを報じていた(https://hbol.jp/205425/)。
「THINK TANK 2022 希望前進大会」では初めにトランプ前大統領が基調講演。自身の北朝鮮訪問の成果などを誇示しながら、朝鮮半島の平和に対するUPFの貢献をたたえた。続いて安倍前首相が登壇。「UPFの主催の下、より良い世界実現のための対話と諸問題の平和的解決のためにおよそ150か国の国家首脳、国会議員、宗教指導者が集う希望前進大会で、世界平和を共に牽引してきた盟友のトランプ大統領とともに演説の機会をいただいたことを光栄に思います。ここにこのたび出帆したTHINK TANK 2022の果たす役割は大きなものがあると期待しております。今日に至るまでUPFとともに世界各地の紛争の解決、とりわけ朝鮮半島の平和的統一に向けて努力されてきた韓鶴子総裁をはじめ皆様に敬意を表します」と称賛した。
さらに安倍氏は、「UPFの平和ビジョンにおいて家庭の価値を強調する点」を高く評価。「家庭は世界の自然かつ基礎的集団単位としての普遍的価値を持っているのです。偏った価値観を社会革命運動として展開する動きに警戒しましょう」などと持論を展開し、「情熱を持って戦う人が歴史を動かすのです。自由と民主主義の価値を共有する国々の団結が、台湾海峡の平和と安定のために、そして朝鮮半島の平和的統一を成し遂げるためには、とてつもない情熱を持った人たちによるリーダーシップが必要です。この希望前進大会が大きな力を与えてくれると確信いたします」と持ち上げた。
韓鶴子総裁は特別演説で「この時代が望む世界平和と新統一韓国を念願する深い意味には、天が共にあることを認識すべき」、「今や韓半島統一を成し遂げ、共生・共栄・共義の真の愛運動、真の家庭運動へと拡散し、人類みなが天の父母様に仕える天主大家族になろう」と平和ビジョンを提示した。
「THINK TANK 2022 希望前進大会」は韓国内の信者向けのほか、日本語のウェブサイトでも案内された。それによると大会の趣旨は「韓半島の平和統一と恒久的な平和世界の実現のため」。統一協会のHJグローバルニュースによると「THINK TANK 2022」は、神統一韓国安着のための、政治、経済、宗教、外交、安保など、各界分野最高の海外専門家1011人、韓国の専門家1011人で構成されたものだという。韓国政府関係者やソウル市長、釜山市長、光州市長ほか道知事多数が祝辞を寄せ、演説者として他に、フンセン・カンボジア首相、アロヨ元フィリピン大統領、マヌエル・バロス元EU執行委員長らの名前も挙げられている。