信徒への性的暴行などの容疑により、1審で懲役23年を言い渡されたキリスト教福音宣教会(JMS、通称「摂理」)の鄭明析(チョン・ミョンソク)被告(79)に対する判決が10月2日、大田高裁で言い渡された。大田CBSのキム・ミソン記者が伝えた。
大田高裁刑事3部(金ビョンシク裁判長)は、準強姦、準類似強姦、強制わいせつ、準強制わいせつなどの容疑に問われたチョン被告に対し、懲役17年のほか、身上情報公開・告知10年、児童・青少年関連機関および障害者福祉施設就職制限10年、電子装置装着15年、性暴力および児童虐待治療プログラム履修120時間などを併せて命じた。
懲役23年を言い渡した1審判決に対して、量刑不当を主張したチョン氏側の主張の一部を控訴審裁判部が受け入れ、17年に減刑された。
チョン・ミョンソク被告は2018年2月から3年余り、忠清南道錦山郡所在の月明洞(ウォルミョンドン)修練院などで信徒3人に対して計23回にわたり性的暴行を加えた容疑などにより、1審では懲役23年を宣告され、被告側・検察側双方ともに控訴した。
検察は(2審で)懲役30年を求刑し、併せて500時間の性暴力治療プログラムの履修と20年間の位置追跡電子装置装着を命じるよう請求。「被告人は累犯期間に同種犯罪を犯し、性暴行犯行をあたかも宗教的行為であるかのように正当化した」として、「被告人が犯行を否認して反省しておらず、共犯者の犯行隠蔽と被害者に対する2次加害などを考慮すれば1審より高い量刑が宣告されなければならない」と主張していた。(訳注:チョン・ミョンソク被告による性暴力事件の共犯として逮捕された摂理のナンバー2キム・ジソン被告に対しては、4月に控訴審で原審と同じく懲役7年の判決が言い渡されている。)
一方、チョン被告側は、被害者が提出した犯行現場の音声ファイルが操作されたものだとし、証拠能力に疑問を提起した。
被害者が提出した犯罪現場を含む録音ファイルが1審裁判で決定的な有罪証拠とされたが、控訴審裁判部は現場録音ファイルのコピーと原本の同一性および完全性に対する立証がなされなかったと判断した。このため、録音ファイルの証拠がチョン被告に不利な情況とは見なされないと判断した。
控訴審判決は「被告人に対する厳しい処罰は避けられないが、原審の刑が裁量の合理的な範囲を外れたと判断する」と判示した。続けて、「被害者に対する2次加害の最も大きな責任が被告人にあることはもちろん、被害者の捜査機関での陳述過程と現場録音ファイル写本の提出および保管過程で捜査機関の措置が不十分だった」として、「これによって被害者の精神的苦痛が加重された側面がある」と指摘した。