イ・ジェロク教祖が女性信者らに強要した異常な性行為が明らかに 2019年韓国のテレビ番組が放送
韓国ソウル九老区に本部教会を構える万民(マンミン)中央教会。1982年に設立し、自称「聖霊様」「神同格の存在」として信者らを率いる李載禄(イ・ジェロク)氏が最高指導者の教会だ。教団では堂会長という立場に就く。公式サイトでは世界各国にのべ12万人(2011年発表)信者がいると紹介しているが正確な人数は不明だ。
自称聖霊様として信者から信仰されている。病気を瞬時に治す奇跡や教祖の出身地である務安(ムアン)で海岸から引いた海水を甘い水に変えると称した「聖水」など独特の活動で注目された。また、3つの椅子を用意し、イ氏が座ると空いた2つは神とイエス・キリストが臨在(りんざい)すると主張する。このような言動から韓国主要教団は強く警戒している。万民中央教会は神学面ですべてにおいて異端と規定され、専門家からはカルトとして警戒されている。それを裏付けるようにイ牧師は、長年にわたり自分の権力を利用して女性信者ら8名に対し性的暴行を加えた罪で逮捕され、ソウル最高裁は2019年8月9日、懲役16年の有罪判決を言い渡した。当時77歳だった。
同教団信者らは教祖の犯罪を無罪と信じ、サタン(この世の中)と強制改宗者(既成教会側)の謀略だと主張し続けている。教祖が服役する刑務所訪問を聖地巡礼と称し、信者らは入り口でひざまずいて祈るなど神格化は進んでいる。イ氏等身大のパネルに最敬礼する様子も教団テレビ局が報じた。万民中央教会は日本国内でも活動している。
今回は2020年2月1日にキリスト教ポータルニュースから配信された特集をまとめてみた。
イ・ジェロク牧師は自分を神と信じる女性信者らを呼び集めて集団性行為を強要した、という証言が被害者らから提起された。MBCの特別報道番組「PD手帳」で2019年1月29日、万民中央教会のイ・ジェロク牧師の実体が報道され、集団的な性行為を強要していた「ハナ(ひとつ)チーム」という秘密組織の存在が被害者女性らの証言により明らかにされた。番組によると「ハナチームに所属する万民中央教会の女性信者らはイ牧師との集団性行為の過程で不慣れな態度を見せると「やり方が田舎者くさい。アダルトビデオを観てもっと勉強してこい」と指示されたと明かした。
1999年5月13日、同テレビ局は「牧師様、私の牧師様」というタイトルでイ氏の性的暴行被害と教会で起きた献金強要、信者らへのローン強要問題を特集で報じる予定だった。しかし、事前に情報を察知した教会側がMBCの音響室を占拠して妨害する事件を起こした。番組は冒頭、「当時、教会側の妨害を受けずに被害の実態を放送していれば、今回のような悪事を食い止めることができただろう」と遺憾の意を表明した。
一方、多くの性被害証言が明かされたにもかかわらず、万民側は教祖の関与を一切否定している。万民側は「自称性被害に便乗した人間の仕業だろう」、「数回の裁判で告訴人8人が提出した証拠の多くは口答陳述にすぎず、目で見える証拠は出せなかった」と反論した。また万民側の弁護人は「最善を尽くして証拠収集に協力した。今後の控訴審を通じてすべての真実が明らかになる」とも主張した。
以下は番組で放送された内容のうち、性的暴行の事実を被害者本人らが証言したものである。事件の深刻さを考慮し内容をそのまま紹介する。
ナレーター:イ・ジェロク牧師から初めて声を掛けられたときの記憶について、被害女性たちは語りたくない当時の辛い思いを語ってくれました。
チョン・ソラさん(仮名・女性)元万民中央教会信者
2008年のことです。イ牧師から直接電話をもらいました。「俺の部屋に来い」と言われました。私は今まで牧師様の部屋に行ったことはありませんでした。どうやって行けばいいのでしょうか?と聞くと住所を教えてくれたのです。そこはたぶん信者には知られていない場所だと思います。牧師様の祈祷部屋だと聞きました。
イ牧師様から「誰にも言ってはいけない」と言われました。私は神様(イ牧師)が直接語りかけてくださった言葉だから誰にも言いませんでした。指定された部屋まで祈りながら向かいました。でも、部屋に着くと普通のおじさんがひょっこりと現れて私を中に招き入れたのです。その人がイ・ジェロク牧師でした。普段は聖壇に立ち真っ白なスーツを着て輝かしい姿なのにあまりにショックでした。性的欲求を抑えられない様子のイ牧師は私にむかって「俺を誰だと信じている?」と近づいてきました。私はとっさに「聖霊様だと信じております」と答えると「よし、じゃあ、服を全部脱ぎなさい。おまえの胸から見せてくれ」と驚くような言葉を発したのです。本当に恐くて戸惑ってしまいました。何もできずうろうろしていると「じゃあ、俺が全部脱がしてやるよ」。怯える私を見ながら「エデンの園では男と女は裸だったではないか。天国では誰も服を着ていない。罪がない人は恥じらいもないからだ」と聖書の話しを持ち出しました。こうして私はイ牧師から性的暴行を受けました。
ナレーター:イ牧師は聖書の言葉を利用して自分の行為を宗教的に正当化しようとしたのです。被害女性は教えに縛られ、信仰という名のものに受けた性暴力を被害と認識することすら困難な状態に陥ってしまったと語ってくれました。
ペ・ジョンウンさん(仮名)元万民中央教会信者
イ牧師のベッドに入ると「もっとこっちに来い」と私を引き寄せました。私は初体験だったので何がなんだかわからなくて。動揺する私に「俺とやる(行為)時は天の軍勢もそっぽを向いてくれるんだ。恥ずかしくない。この空間はすべてから隠されるから何も心配しないでいい」と言うのです。
ナレーター:万民中央教会のイ・ジェロク堂会長から性的被害を受けたと証言する女性は現在までに9人名乗り出ました。数年間にわたって牧師から常習的に性的暴行を受けたことを明らかにしました。
オ・スジョンさん(仮名)元万民中央教会信者
イ牧師からしょっちゅう呼び出しのメールが来ました。よく来るので少し嫌だなと思ったことはあります。でも訪問日は決められているので誰も断ることはできません。いくら牧師であれ、女性にむかって服を脱げと指示することがおかしいことくらいわかります。でも、そんなことを言っていられないくらい絶対的な存在だったのです。イ牧師の言葉は真理です。神様の言葉だったので従わないといけないと思い込まされていました。
ナレーター:ほとんどの被害女性たちは幼い頃から万民中央教会に通っていました。イ・ジェロク牧師にひたすら従順な人生を送ってきたのです。
万民中央教会の放送局「GCN」ナレーション:月の明かりの中におられる牧師様のお姿を見ながら皆さんは牧師様の愛をたっぷり受けてきたんですね。
子どもたち:牧師様の権能によって私たちは変えられました。
ナレーター:長い間、マインド・コントロールされた被害者たち。服従することが当然だったことは一目瞭然です。
申珍熙(シン·ジンヒ)弁護士:今回のケースはイ・ジェロク氏が神の子で、彼は聖霊様だと教わっていますから信者たちは彼の言葉を正しいと信じ込んでしまうのは当然だと言えます。被害者たちの話しを聞くと牧師の言葉を疑い、それを拒むことは社会的犯罪だとすり込まれていることがわかりました。だから、来いと言われれば素直に行ってしまう。そのように心理的にコントロールされていたのです。
ナレーター:イ・ジェロク牧師はさらに被害者らを集めて信じられないことを要求しました。
チョン・ソラさん(仮名):イ牧師は「神様が自分のために選んだ子たちでハーレムを作りたい」と言いました。1対1の性行為は飽きた様子でした。6人の女性を指名して「ハナ(ひとつ)チーム」というのを作らせたのです。教団内で秘密裏に2012年からこのチームの定期会合が行なわれたんですよ。
ナレーター:被害者たちはハナチーム結成の目的はイ牧師の性的欲求を満たすためだったと証言しました。
元ハナチームメンバー:実はとても大変でした。皆本当は行きたくなかったと思います。でも、イ牧師という神様の命令ですから従うしかありません。何が大変かと言えば・・・。集団で性行為をしなければいけないのです。体力的にも精神的にも苦しかったです。イ牧師が「おまえたちはあまりに田舎者だ。アダルトビデオを観てもっと練習して来い」と言いました。すごい言葉ですよね。
ナレーター:イ牧師の奴隷と化したハナチームのメンバーは耐えかねて一人、二人と逃げるように教会を去りました。2018年4月に被害者らはイ・ジェロク牧師を刑事告訴しました。ついに万民中央教会の真の姿が明らかにされたのです。
ナレーター:当時、番組はイ牧師に直撃取材をしました。そのときの音声です。
記者:容疑を否認されましたね。信者たちとの性的行為の事実は否定するのですか?被害者たちはイ・ジェロク牧師から性行為を要求されることが苦痛だったと証言しています。なぜ、夜に呼びつけたのですか?
イ・ジェロク堂会長:そんなことはしていない。
記者:そういうことはしていないのですね?
ナレーター:私たちはイ牧師と被害女性との間で交わされた通話の音声を特別に入手しました。肉体的な関係を示す内容でした。
イ・ジェロク堂会長:「俺はおまえを本当に愛しているんだ。俺は本当にお前を霊的に愛しているんだ。俺は神だからお前の肉体が卑しいものなら俺の体は見向きもしない。肉体は受けつけない。でも俺はお前を愛している。本当の愛を注いだんだ。」
女性信者:はい
イ牧師:そうか、じゃあ、朝会おうな
女性信者:(涙声で)はい
イ牧師:うん。愛しているよ。じゃあね
女性信者:はい。おやすみなさい
卓ジイル教授(現代宗教編集長・釜山長身大神学科教授):この被害事例は、単なる性的な関係ではなく純潔な(性的関係ではない)宗教行為として受け入れていくようになります。その行為に善悪の基準もなく、倫理的な正否の基準もないので、ひたすら宗教的従順と不従順の二者選択で考えていくようになるのです。
ナレーター:このように教理を悪用した教祖が問題を作り出し、事件の加害者となったのです。
異端・カルト110番編集後記
国内には東京田端万民教会(東京都北区)を中心に愛知、大分、山形、北海道、岡山の計6カ所に聖殿と呼ぶ教会を構える。いずれも規模は小さく教勢も広がりを見せていない。しかし、今もGCNTVという教団の放送局からイ服役囚の説教や集会が世界に発信されている。過去に録画したものだ。また国内で精力的に活動していた旧・飯田万民教会は、「イエス・キリスト日本聖潔の群れ飯田聖潔教会」と名称を改めている。教祖が有罪判決を受け、飯田教会は教団を批判した上で離脱したと一時主張していた。しかし、その実態は不明な点が多い。教職者らは万民中央教会の神学校で学び、イ・ジェロク氏を聖霊様と信仰する幹部級信者たちだからだ。仮に犯罪の事実を受け離脱したとしても、その経緯や教団の問題を諸教会と協力して追及し明らかにしていく責任が求められる。昨日まで教祖を聖霊と信仰していた牧師が一体どのようにして瞬時に信仰を捨て、既成教会の教理を教えることができようか。韓国では万民中央教会が2つに分裂した。いずれも教祖の娘たちが組織を率いようとして権力闘争に発展。それでもこの教会は服役中の教祖を信仰する教会として活動していることに変わりはない。追及を免れるための生き残り策として教会名を変えることは韓国異端・カルトにおいてよくみられる現象だ。万民中央教会の動きに十分な注意が必要だ。
1999年に起きたMBC放送局占拠・放送妨害事件(万民中央教会信者による)https://imnews.imbc.com/replay/1999/nwdesk/article/1780450_30729.html?IsAutoplay=Y