▲キム・ウンガン氏
2015年 新天地脱退
安山常緑教会在籍
画像引用元:現代宗教

 

2020年の初め、新天地による新型コロナ感染者の拡散により、韓国キリスト教だけでなく全世界に新天地という異端カルト宗教が知られるようになった。 そのためか、新天地被害者の脱会と回心への関心が急増したことを幸いに思う。 しかし、今までは被害者の脱会と回心の過程に焦点を置いていたので、彼らが脱会と回心後、教会で信仰生活をどのように送り、家庭と社会でどのような生活を送っていくのかへ対する関心は依然として不足している。

完全な治癒と回復には、長い時間が必要かも知れない。
私はそうだった。 新天地にいた1年という時間と、脱会後、自分の口から回復したと言えるまでに「5年」の時間がかかった。

私が経験した脱会後の人生に対する小さな分かち合いが、脱会を悩んでいる誰かにとって「勇気」になり、脱会後の人生を生きている人々には一人で苦しまないように、そしてその苦しさは当たり前で、 苦しくても十分大丈夫だ、と受け入れることを願う。

何よりも主の中での完全な治癒と回復を祈り、この証しが少しでも「慰め」になり、被害者家族に一筋の「希望」になることを心から願う。 このような機会をくださった神様にすべての感謝と栄光を捧げる。

▲(画像:「現代宗教」原文から)

異端相談所を通じて悟った新天地の虚構性

2014年の紅葉が色づく秋のある日、私は家族の助けで異端相談所に来た。 両親は私を「新天地から助け出さなければならない」という一心から生業を諦め、当時軍隊にいた弟は特別休暇まで取り、家族全員が私のために犠牲になった。

家族の徹底した準備と説得、忍耐をもって待つこと、そして愛がなかったら、私は相変わらず新天地にすがって教主の僕になっていただろう。ありがたいことに、バベルの塔のように堅固に積もった新天地の偽りの教理で洗脳された私の考えと心を、聖霊が開いてくださった。

相談(カウンセリング)を通じて、新天地で語られる言葉がすべて詐欺であり嘘だったということと、教祖の李萬熙(イ·マンヒ)は人の魂をもてあそぶ宗教詐欺師であったことを悟った。 しかし、問題はここから始まった。 新天地の間違った教理が崩れる瞬間から私を最も苦しめたのは、「救い」の問題だった。 脱会から1カ月後ごろに自分の中での教理が崩れかけていたが、「それでも新天地が正しいのではないか…もし新天地が真理なのに気づかなかったら、私が新天地を捨てたなら、私は裁きを受けて地獄に行くことになるだろうか? 神様が本当に生きていたのだろうか?」という思いから恐怖を感じていた。

本誌が脱会者より独自に入手した新天地の教理本「天地創造」の韓国語オリジナル版

 

新天地の教理が間違っていることを頭では理解しながらも、聖書を読めば新天地式に解釈してしまうのが苦しく、祈るどころか聖書を開けないほど辛かった。みことばも聞こえず、救いが何なのかも分からず、自暴自棄の心情だった。 幸いなことは、(かつては)人を騙さなければならない罪悪感が大きかったが、今はもう嘘をつかなくても良いことに対する安堵感だった。

神への恨みは日増しに大きくなり、新天地で失った時間に対する後悔と自責が続いた。新天地にも行きたくなく、正統派の教会にも行きたくない時期が訪れた。新天地で幾度となく聞いた、「どのように信じれば救いなのか?行動してこそ救われる」この言葉のせいで福音を受け入れることが本当に難しかった。新天地では、世の中では認められなかった人々が新天地で言う国と祭司長になれば、神様に認められるだろうと言う。

しかも、神の国の完成のために私が用いられることは、世の中で用いられることよりもっと大事なことなので、「私と私の家族、私の人々の救いのために私がさらに耐えてさらに熱心に働いた分だけ、補償を受けることができる」と言うのだ。まさに行為主義、律法主義的な信仰だった。 その時は、子供の頃から休まず走ってきた私のすべての熱心さと努力が一瞬にして報われると思ったようだ。 もしかしたら世の中で私を無視して傷つけてきた人々の前で、これ見よがしに豊かに暮したい私の名誉欲と所有欲に満ちた欲と傲慢さだったのかも知れない。

教理的回心までにかかった1か月の時間

妬みと競争に満ちた新天地では、信徒同士で誰かの心をつかむために見せかけの親切で人々に接し、それが恰も本当の愛であるかのように騙すことを経験した。それとともに愛に対する渇望が日増しに大きくなっていった。このように私が新天地で過ごした1年という時間が、私の人生を根本から変えるとは想像もしなかった。

結果的に私は神の恵みにより、後に教育を通して、救いの福音・真理の言葉に触れ、イエス様だけが私の唯一の救いであり、罪を赦され救いを受けたことが私の行為ではなく、ただ神様の恵みによってのみ可能であることを確信。私は神様の恵みで救いを受け、今は神様の愛により断ち切れない神様の子になったことを信じるようになった。

このように反証教育と証拠資料を見て、新天地の誤った教理が完全に破壊された。 救いとは私の行為ではなく、イエス・キリストを信じるということが聞こえるまでに1か月の時間がかかった。

救いの確信を持っていて最も残念なことは、まだ新天地を真理だと信じている私を新天地に連れて行った友人、新天地で知り合った私の高校の同級生、私と一緒に新天地で生活した友人らが、依然として李萬熙教祖が作った地獄に残っていることだった。

偽りの教理に騙されて、井の中の蛙のように惜しい青春と時間を浪費していることが、あまりにも心苦しかった。
そのため、回心後の初めには私が知っている記憶やメモをたどり、家族と教会に知らせて異端相談を受けるように助ける仕事をしたりもした。(次号に続く)

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~嘘をつく娘が信じられない家族の辛苦、脱会後に襲われた挫折感と喪失感、無気力とうつ病~
https://cult110.info/testimony/shintenchi-story2/

 

本記事は、現代宗教(韓国)の「新天地からの脱会、そして癒しと回復のストーリー① 」より翻訳したコンテンツになります。

原文:新天地からの脱会、そして癒しと回復のストーリー① 【신천지 탈퇴, 그리고 치유와 회복 이야기(1)」】