クリスチャンの親が子どもたちに伝える「異端とカルトの危険」小学生もその危険に晒されている。コミュニケーションアプリ、YouTubeにも潜む脅威。視覚から入る若者は特に注意が必要だ。
異端・カルトは小学生、中学生にも現実的な問題に
日本の教会では異端について毎週のように教える機会はほとんどありません。カルト問題も同じです。でも、私たちは知らないだけでクリスチャンは異端カルトのターゲットになっています。彼らは自分たち側に改心させることが大きな使命、目的だからです。
こうした問題は年々若年化していると思います。理由は子どもたちが自由にスマートフォンを持ち、YouTubeなど動画を観ることができるからです。ネット上には私たち(正統な)クリスチャンのもの以上に異端カルトの媒体があふれています。大学生を中心に勧誘するグループは昔からいましたが、最近はネットで小学生、中学生にも影響力を及ぼしかねない時代なのです。
新型コロナウイルス感染被害が日本でも深刻な問題となり、学校が休校となり子どもたちはずっと自宅で過ごしています。外に出にくい状態だからこそ、部屋で動画を観る機会は増えたことでしょう。家族で今まで以上に多くの時間を過ごせるこの機会に、異端カルト問題について親が子どもたちに教え、一緒に考えてほしいと思います。今回は、家庭でできる「異端カルト対策」「予防方法」についてまとめてみました。
視覚から情報を得やすい若者こそネットに潜む異端カルトに注意
異端カルトは私たちクリスチャン(既成教会)以上にインターネットを使った布教に力を入れており、その内容も実によく作られています。そして大変活発です。子どもたちは自分の興味あることは視覚から入る傾向が強いと言われています。コロナで学校が休みになり自宅で一日のほとんどを過ごす子どもたちはYouTube(動画)を観る機会が増えたことでしょう。クリスチャンの家庭では子ども向けの教材を探したり、今まで観たことがない新しいメッセージを検索したりしていると思います。そこで注意したいことがあります。
「その動画・・・本当に大丈夫?」 実は異端カルトのチャンネルかもしれません。
異端ってなんだろう? カルトって何だろう?
まずは異端カルトについて最低限の理解が必要になりますね。では異端とはなんでしょうか? 大人はある程度イメージが浮かびやすいと思います。それでも、いざ聞かれて「こうです」と答えられる人は少ないでしょう。ましてや小学生、中高生はなんのことかさっぱり分からないと思います。日本の教会で子どもたちに異端、カルト問題を教えることは稀です。
異端について神学的に語り出せばきりがありません。教団教派により異端に対する価値観の違いも多少あると思います。異端の1つの指標は、父なる神、子なるイエス、聖霊の三位一体の神を否定、もしくはその教えから著しく逸脱しているかどうかです。もう1つは、再臨のキリスト(イエス、メシア、救い主)がその教団の指導者だと信じている場合です。ですから「明らかにおかしな教え」「人間がキリストだと信じられている」、この2つを判断の目安にしましょう。具体的に注意すべき教団、人物は本サイト上でリストにまとめてあります。
異端とは、単に教理や価値観の違う教派・教会のことではありません。また、何か問題が起きてしまった教会、牧師、人物を異端だと批判することも本来の意味とは違います。そこは気を付けなければならない点です。
せっかくの機会なので、私は何人かの中学生に次のように質問してみました。「カルトってどんなイメージがある?」。すると中学生たちは、「ゲームの名前?」「やばいところ?」と答えました。「やばいところ」と答えた子は多少知識がある方かもしれませんね。
何も知らない大人に聞くと「壺買ってくださいという宗教?」「熱湯をかけられたり、虐待されるイメージ」「お金が騙されるイメージ」と答えました。実際、この程度だと思います。映画やドラマの印象も強いのでしょう。40代くらい以上の世代は旧オウム真理教を思い出すようです。それでも自分のこととして危機感を抱く人はあまりいません。教会の牧師に「旧統一教会」の話をすると「えっ、統一教会ってまだあるの?」という答えが返ってくることがあります。そうなんです。合同結婚式や霊感商法でワイドショーを賑わした統一教会も、私たちクリスチャンですらすっかり忘れた存在なのです。
カルトの基準とは?
カルトにも様々な基準があります。キリスト教的な視点から考える場合、そうではないケースもあります。今回は一般論とキリスト教的な視点から簡単に説明してみたいと思います。一般に「カルト」とされるのは、学問的な定義によるものではなく、反社会的な行動や人権を抑圧するなどの問題性を評して言う場合が多く、「破壊的カルト」という言い方もあります。教理的に異端のグループがみなカルト性を帯びるとは限りませんが、異端的な教えのゆえにその教団やそのメンバーが反社会的な活動、言動を繰り返す場合もあります。詐欺行為や犯罪を犯してでも指導者(彼らが信仰するキリスト)を守るため、その支配下で組織(信者たち)が従うこと。その指導者のもとで信者たちが人権侵害を受けていることもカルトだと言えます。またその集団が個人を誹謗中傷したり、攻撃したりすることもそうです。
この基準も先ほどのリストに紹介しています。「反社会的」と理解すれば、まずは問題ありません。
最低限の知識で十分。日ごろから「気を付けよう」と声かけしょう
「気を付けようね」この一言を親が子どもたちに日頃から伝えるだけで違います。クリスチャンで異端カルトに入信してしまった元信者(被害者)の証言の多くは、「子どもの頃に教会や親から異端カルトについて1度も教えてもらったことはなかった」と言います。「こんな点が問題だよ。こういうところは気を付けた方がいいと聞いていれば注意できたと思う」と振り返ることが多いのです。ですから、教会でも家庭でも私たちクリスチャンは異端カルトについて学び、最低限の知識を身につけておくことがとても大切なのです。専門家になる必要はありません。
そして、多くの元信者は「自分が学んできた教会の教え、両親(親)から学んだ聖書の話や信仰に不満を抱いていた。満足していなかった」と過去を振り返ることがよくあります。残念ですが事実かもしれません。聖書の教えからあれもダメ、これもダメ、と縛り付けてしまった子育てにより、その反動として異端カルト側の甘い教えに騙されてしまうことがあるのです。こうなるとクリスチャン家庭のあり方も問われてくることでしょう。日頃から異端カルトについて気を付けるよう教え、聖書の教えで子供たちを縛ったり、窮屈な思いをさせたりすることがないように、大人が「次世代」に健全な信仰の継承を心掛けることも「被害防止」につながると思います。
子どもたちは動画を観ています。視覚から入る若者は特に注意が必要です。
家庭ではお子さんたちがキリスト教に関する動画を観る場合、少し注意してあげてください。異端カルトの動画はあからさまに「異端的」「おかしな発言」をしていません。たくさんの方が誤解しているのは、異端カルトは「見た目でおかしいと分かる」「話しの内容で変だと感じる」ということです。それは大きな間違いです。今の異端カルトはそう簡単に正体に気付かれないよう実によく作られています。最初から異端的な部分を見せてしまえば誰も寄り付かないからです。本サイトが紹介する異端カルトグループのリストを確認して、彼らの団体名を覚えてほしいと思います。
某コミュニケーションアプリを開くと中国人の男女が大勢登録されています。「日本語を学びたい」「留学生です。一緒に言葉の勉強をしませんか?」。しかし、異端カルトを抜けた元メンバーに観てもらうと「この人、この人も異端カルトの信者です」と教えてくれました。「私、この人に引っ掛かりました」。このようにアプリの中に異端カルト信者が大勢登録していることがわかったのです。バーチャルな世界にもその脅威は潜んでいます。
YouTubeで「キリスト教・説教」「若者向け・クリスチャン・メッセージ」と検索すると、たくさんのチャンネルにヒットします。若者のニーズにぴったりな話が沢山出てきます。ところがそのうち半分は異端カルトのチャンネルです。正直驚きました。外国人の学生信者が「証し」する様子はむしろ憧れに感じてしまう程です。今の時代、異端やカルト的なグループに注意するにあたり、こうした表向きの媒体や活動から「問題性」を見抜くことは年々難しくなっています。彼らは異端的な教えを簡単には明かしません。カルト的な要素も少し関わったくらいではわかりません。簡単にわかってしまえば「あそこは問題だ」「やっぱり変だ」と指摘され、悪評が広がり警戒されるだけです。まず、見ず知らずの団体、教会は注意しましょう。
最低限の知識で十分。親は子どもたちに教えてあげましょう
お子さんたちがキリスト教のイベント、コンサートに参加する場合は、必ず親が運営元を確認するようにしましょう。確認のためにはこのサイトの「異端カルト情報リスト」をご活用ください。「お問い合わせ・ご相談」フォームからお問い合わせもできます。日本はキリスト教人口が少なく、大抵は聞いたことがある団体が主催しています。聞いたこともないような団体、牧師は注意してください。「アメリカを舞台に活躍中」「国際的なキリスト教宣教団体」などとうたっていても、「主催者」が不明な場合も同じく注意しましょう。また、異端カルトは参加者に「このイベントについて誰にも言わないように」等と口止めすることがよくあります。何か隠し事をしている、嘘をつくようになった、こうしたお子さんのサインも見逃さないようにしましょう。影響を受けると夢中になり、家族や自分の教会を批判することもあります。こういった問題は、日ごろから家族のコミュニケーションをしっかりとることで予防できると思います。
ファクトチェックはもはや必須
「クリスチャンだから何も心配ない」「信用できる」これは大きな間違いです。とても悲しいことですが異端カルトは完璧に正統な教会、教えを装って勧誘してきます。誰も疑わないのです。これからの時代は警戒心を怠らないことです。すべてを疑ってかかれとは言いません。それでも、クリスチャンだからと言って見ず知らずの相手を簡単に信用しないこと、まずは一定の距離を保つことを心がけましょう。今は神学校の中にも、私たちが日ごろよく出入りする集会やコンサートにも、異端カルトの信者は「誰かを勧誘しよう」と忍び込んでいます。たったひとりを獲得するために彼らは何年も忍び込んで様子を伺うこともあります。だからこそ、ファクトチェックが大事。
本当に大丈夫ですか? この人はどこの教会から来たのでしょうか?
自分の目で確認する習慣が大切です。友人、家族、教会の牧師、信頼できる人に相談することをお勧めします。そして本紙やキリスト新聞、クリスチャン新聞などで情報収集しましょう。
出会い系サイト、健全な異文化コミュニケーションアプリにも異端カルト信者は隠れています
私たちクリスチャンは伝道するために自分の身分や正体を隠して出会い系サイトやコミュニケーションアプリに登録するでしょうか? そんなことはしませんし、してはいけません。ところが異端カルトの信者はこのようなツールを活用して相手がひっかかるのを待ち伏せしています。調査したところ、某コミュニケーションアプリには新天地の信者が十数人も登録していました。彼らは一言も「クリスチャン」「キリスト教」と紹介しません。純粋な気持ちで外国語を学びたい人を騙すのです。被害に遭った元メンバーの証言によると、異端カルトの信者はネット上で「待ち伏せ」し、友達になって、最終的に彼らの組織に勧誘しました。ですからSNSには十分な注意が必要です。YouTubeで「いいメッセージだな」「素敵なクリスチャンの証しだな」と聞いていたら、実は異端カルトのチャンネルだったという話はよく聞きます。
今回はいくつか例をあげて説明しました。大切な子供たちの将来を守り、健やかな生活を送るために、ぜひ異端カルト問題について話し合ってみてください。
さらに詳しく知りたい方は次のシリーズ1~5をお読みください。
(記事担当)異端・カルト110番 編集長 中橋祐貴