現代宗教 2018年11月22日記事  チャン・インヒ記者 [email protected]

万民中央教会のイ・ジェロク被告はソウル中央地裁で開かれた性的暴行に関する1審宣告を受けるために出廷した。(出典:news1)

懲役15年、女性信者に対する性的暴行の疑いで逮捕された万民中央教会の教祖であるイ・ジェロク氏が受けた1審の宣告結果である。被害者信徒の証言によりその実態が明らかになったイ・ジェロク氏と事件をめぐる一連の経緯をまとめてみた

万民中央教会とイ・ジェロク氏との関係

1943年、韓国の全羅南道務安郡に生まれたイ・ジェロク氏は1982年5月、万民中央教会を設立した。 ハン・ジョンエ伝道師を代言者として預言を通して受け、江原道(カンウォンド)に別荘まで作って、預言通じて神から啓示を受けた言葉を伝えた。 イ氏は癒しの賜物掲げて教会開拓から16年で信徒数6万人という教勢を成し遂げた。 しかし、癒し集会に関するさまざまな疑惑が提起され、一部が虚偽であることが離脱者を通じて確認された。神からの直接啓示・預言など、極端的な神秘主義傾向が見えるという理由で、万民中央教会は1990年イエス教聖潔総会と1999年4月韓国キリスト教総連合会(CCK)の決議で異端と規定された。

出国禁止と拘束令状、性的暴行の事実報道で加速
万民中央教会ジェロク事件総合

拘束令状を受け聴取を受けるために検察に入るイ・ジェロク氏(出典・国民日報)

 

 イ氏の性的暴行容疑は教会信者が警察に告発したことで明らかになった。イ氏を告発し、被害者女性は警察の調査で「イ氏からの電話を受け、訪ねた際に性的暴行を受けた」と供述した。警察は供述内容に一貫性があると判断。4月9日、イ氏に対し出国禁止処置を取った。

その翌日には総合編成チャンネルJTBCを通じてイ氏の性的暴行事件が報じられた。被害女性の証言をもとに構成された番組だった。報道内容によると、イ(牧師)は信徒たちを呼んで「私を信じて愛しなさい。そうすればより良い天国へ行くことが出来る。ここは天国だ」などと教え込ませ性的暴行に及んだという。ソウル中央地裁の令状担当部長判事は「イ氏が容疑について釈明する過程で被疑者の地位と捜査過程で明らかになった彼の態度などを照らし合せると証拠隠滅と海外逃亡の可能性がある)とし5月3日に拘束令状を発行した。

  イ・ジェロク氏の被害者、糾弾デモに参加

イ氏拘束の一報を受け万民中央教会を脱会する信徒たちが現れた。彼らは4月22日に「脱万民関連」SNSを開設、すぐに運営が開始された。これと共に被害者による糾弾デモも準備された。7月4日、イ氏の初公判準備期日にあわせて脱会者で結成された「目覚めよ万民の人たち」のメンバーがソウル中央地裁前でデモを行った。「信者に莫大な借金を負わせ自分たちは贅沢三昧」「万民中央教会の信者はすべて被害者」などのプラカードを一斉に掲げた。その後も1審宣告を受ける11月22日にソウル中央地裁前でもデモを続けた。しかし、イ氏は事件に対する自身の容疑を完全否定した。

 被害者の個人情報を流出させた裁判所職員と信者を拘束、イ・ジェロク氏は教会の献金110億ウォン横領疑惑 
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被害者の個人情報流出させた裁判所職員(出典:ニュシス)

 

  イ氏に性的暴行を受けた被害者の個人情報が流出した。流出させたのは裁判所職員と万民中央教会の信者Aだった。裁判所職員は、裁判所内部のコンピューター・ネットワークを介して性的暴行事件の被害者の実名と証人出廷日程などを教会信者Aに伝えており、Aは信者が運営するSNSのチャットに報告していた。

ソウル中央裁判所パク・ボムソン部長判事は9月3日、「犯行の動機と犯行後の状況等を照らしてみるとイ氏の証拠隠滅と海外逃亡の恐れがある」と情報を週出させた裁判所職員と信者Aに拘束令状を発行した。この事件を受けて、初公判が11月8日に開かれ犯行を大筋認めたものの、「実名を流出させてイ氏を無罪にしようとか、被害者に陰湿な攻撃を加える意図はなかった」との立場を主張。裁判所職員と信者Aの第2回公判には万民中央教会の被害者対策会議代表を務めるB氏らが証人として出廷する予定だ。

イ氏は自身の教会献金110億ウォン(約10億円)を横領した疑いがもたれている。去る10月1日、ソウル地方警察庁知能犯罪捜査部はイ氏を特定経済犯罪加重処罰法で横領容疑で捜査。起訴が相当との意見書を加え検察に送致した。警察によると、2009年1月から2015年8月まで毎年、万民中央教会の壮年部、婦人部、青年部、学生部(教会)など15か所で行われた内部組織向けの礼拝説教で110億ウォンを騙し取った疑いがあるという。

又、イ氏は横領した金を含む230億ウォン(約23億円)を海外先物取引に投資し69億5000万ウォンに達する損失を出していたことも判明した。これにとどまらず2012年から5年に渡り、子供たちに11億4000万ウォンを渡していたことも分かった。

常習準強姦などの疑い、1審で求刑と宣告

昨年、11月1日の常習準強姦などと関連し、検察はイ氏に懲役20年を求刑した。検察は「被告人を神的な存在であると信じて育った信者たちを徹底的に蹂躙し翻弄した事件」として「犯行手口が猟奇的で全く反省をしていない」と求刑理由を明らかにした。また、性的犯罪者を対象とする治療プログラムを受け、牧師として説教など牧会活動の禁止等を裁判所に要請した。イ氏は最終陳述で「目が失明し、耳が聞こえない。刑務所では意思疎通ができません」と自身へ処遇改善を求めた。

今回の検察による求刑を受け万民中央教会脱会者C氏は「イ・ジェロク氏に対する最終的な判決は何年になるか誰もわからない」とし「国家司法機関から明確に求刑を宣告され有罪であることが確認されること自体が重要だ」と話した。11月22日、裁判所は、イ氏に1審宣告で懲役15年を下した。一方、10月24日、万民中央教会長老会はイ・ジェロク氏の娘で副牧師のイ・スジン氏を堂会会長(牧師、長老からなる最高機関)職務代行に就任したと正式に公表した。

 工事現場で肉体労働をして家計を支え、キリスト教の信仰に生きていたイ・ジェロク。1974年11月には復興会議に参加し、信仰的な挑戦を受けた信者だった。しかし、万民中央教会を設立し、誤った教義を伝え主要教団から異端だと決議された。挙句の果てに性的暴行の容疑で拘束されている。彼の裁判は続くだろう。万民中央教会イ・ジェロクに向けられた審判の歴史は始まった。