フランスの政府機関「セクト的逸脱警戒行為対策本部(MIVILUDES)」と「フランスプロテスタント連盟(FPF)」がこのほど協定を結び、セクト的逸脱と闘う共通の意志を表明した。宗教団体とのこの前例のない取り組みは他のパートナーシップへの道を開くもの、と政府のホームページは伝えている。フランス語の「セクト」は日本では「カルト」のこと。

協定に署名する政府機関とフランスプロテスタント連盟の代表

2025116日(木)、プロテスタント会館で会談した、MIVILUDESのエティエンヌ・アペール会長とFPFのクリスチャン・クリゲール会長は、精神的な修養を装って個人を心理的または肉体的に支配下に置こうとする行為と闘うことを両団体が約束する協定に署名した。

この協定は、4つの協力分野を定めている。すなわち、危険な状況に関する情報の交換、カルト的逸脱を助長する要因に関する分析の共有、教会、コミュニティ、慈善団体、運動団体向けの予防メッセージの作成、プロテスタントの責任者および関係者全員に対するこれらの問題に関する意識啓発である。

これらの措置が適切に実施されるよう、MIVILUDESFPFは定期的に会合を開き、協力の枠組みの中で実施すべき優先的な取り組みを決定することに合意した。2年間の契約期間で締結された本協定は、暗黙の合意により1回更新されるか、または当事者間の合意、あるいはいずれかの当事者の解約によりいつでも終了することができる。

MIVILUDES が医療分野の専門職団体と締結した協定を参考にしたこの取り組みは、宗教団体としては初めての試みである。これは、宗教団体が、他の人間活動と同様に、宗教活動にも脅威となるリスクに対処しようとする新たな意志の表れである。

MIVILUDESは、他の宗教団体や宗教機関とも、それぞれとの協力の可能性について協議を開始している。FPF と締結した協定は、今後の協議において有用な参考例となるだろう、としている。

ウィキペディアによると、MIVILUDESは以下の職務を担っている。

  • 公的な秩序やフランス法を侵犯する脅威を作り出すと認められる活動を監視、分析する
  • 適切な対処を調整する
  • 潜在的なリスクを公共に知らせる
  • 被害者が支援を受けられるように手伝う