キリスト教福音浸礼会、大韓イエス教浸礼会、グッドニュース宣教会3つのグループが活動
ここ数年、日本国内で活動が活発化するグッドニュース宣教会(救援派系列)について韓国の主要キリスト教団側による解説、資料をもとにわかりやすくまとめました。
救援派(クオンパ)とはどのような宗教団体ですか?
まず、最初に伝えたいのは「救援派(クオンパ)」という名称は彼らの教団、団体を指す正式名前ではないということです。彼らはイベントやセミナーを通じて既成教会のクリスチャンに「救われていますか?」などと強く迫りながら自分たちの教えに引き込もうとします。その様子から「救援(救い)派」と既成教会側が付けた呼び名です。
救援派は3つのグループに分派して活動しています。1人の親(宣教師)から誕生した分派教団と理解するべきです。詳しくは後半で解説します。
権信燦(クォン・シンチャン)兪 炳彦(ユ・ビョンオン)キリスト教福音浸礼会 ※共に故人
イ・ヨハン(本名イ・ボクチル) 大韓イエス教浸礼会(命の御言葉宣教会)
朴玉洙(パク・オクス) グッドニュース宣教会
3つのグループは互いに「無関係だ」、「神学的共通点はない」と主張しています。実際に教団同士の交流はほぼないと考えてよいでしょう。2014年に救援派の原型を作ったクォン・シンチャン、ユ・ビョンオン氏のキリスト教福音浸礼会系列の会社が起こしたセウォル号事件で、世界中に救援派の名前が知られるようになりました。3つのグループは独立しており、事件に互いが関与している事実はありません。
では、なぜ1つのグループとして救援派と呼ばれているのでしょうか。救援派の原型を作ったクォン・シンチャン氏は、アメリカ人宣教師ディック・ヨーク氏に出会い“悟りによる救い”を体験したことでこの宣教師の活動に加わりました。それまでは大韓イエス教長老会統合派の牧師でした。クォン氏は宣教師の教えに傾倒し、その活動に没頭したことで統合派から「異端」規定を受け、免職された過去を持っています。その後、宣教師らが建てた神学校で宣教師になるための教育を一時的に受けています。この時、クォン氏だけではなく、今の救援派の指導者であるイ・ヨハン氏(大韓イエス教浸礼会)とパク・オクス氏(グッドニュース宣教会)も同じ神学校で学んでいました。ところが、クォン氏は神学的理念が異なる等の理由から宣教師との関係を決別し、独自路線で教会活動を始めました。イ・ヨハン氏もクォン氏に共感し、そこを辞めるとクォン氏側で活動を共にしました。同じ神学生だったパク・オクス氏も宣教師と関係を絶ち、自分で新しい教会活動に取りかかりました。
その後、クォン氏は娘の結婚相手である義理の息子、ユ・ビョンオン氏を自分の宗教活動の指導者に指名しました。ユ氏はキリスト教福音浸礼会に関連した関連企業をいくつも設立し、教会献金を各事業に転用しながら巨万の富を得ていきました。いわゆるファミリー教団といわれるものです。クォン氏に影響を受け、師と慕い活動していたイ氏は、“教会とビジネス”が一体化する姿勢に異議を唱え、1983年にユ氏側のすべての活動から離脱しました。こうして、ユ氏側とイ氏は仲違いしていき、イ氏は大韓イエス教浸礼会(命の御言葉宣教会)を設立しました。
一方、パク氏はユ氏側のいざこざに関わることなく1986年に「喜びのニュース宣教会」(現・グッドニュース宣教会)を設立しました。
このように1人の宣教師から同じ教えを学んだ韓国人受講生らが、そこを辞めて自分たちで活動し、最後には3つの教団が誕生したことがわかります。それでも3つの教団はほぼ同じ神学に基づく教えを広めており、相当な部分において共通点が見出されます。それは宣教師から受けた神学的な影響が強く、互いに異なる活動をしても、その遺伝子は色濃く引き継がれているからです。ですから救援派は宣教師から枝分かれした「分派」だと、韓国の異端・カルト問題専門家らは捉えています。
教理的な問題を抱えた米国人宣教師が始めた神学院が“すべての”はじまり
3つのグループの指導者に神学的影響を与えた米国人宣教師ディック・ヨーク氏(オランダ人宣教師も関与)は、宣教団体に属さず単独で活動する宣教師でした。のちの研究で、ヨーク宣教師は神学的背景を持たず、その教えに多くの誤りがあったことが明らかになっています。「救援派は外国人から異端的教理を学んだ人物が作った教団ではないか」という質問を受けることがあります。その質問は間違いではありません。さらに言えば、「異端的神学を広めた外国の宣教師から影響を受けた人物がその教えをベースにさらに誤った聖書解釈に立つ教団を作った」と理解すると良いでしょう。異端的教えが本物の異端を生み出したのです。
救援派の3つのグループは共に「異端」「カルト集団」と規定されている
クォン・シンチャン(ユ・ビョンオン)系列のキリスト教福音浸礼会、イ・ヨハン氏の大韓イエス教浸礼会(命の御言葉宣教会)、パク・オクス氏の「グッドニュース宣教会系列」は1つの救援派という呼び名で整理され、韓国の主要キリスト教団で毎年秋に開かれる総会を通じて教理的「異端」、反社会性が認められる「カルト集団」と決議されています。この規定内容は 1985年から今日まで1度も取り下げられたことはありません。
ユ・ビョンオン氏の教会系企業とされる清海鎮(チョンへジン)海運は2014年4月16日、大型旅客船セウォル号沈没事故を起こしています。違法性が認められた同事件で韓国警察はユ氏の逮捕状を取り捜索したものの、2014年6月12日に変死体で発見されました。その後、息子や関連する人物らが相次いで逮捕されるなど大きなニュースになりました。このような特異な経営体質は救援派特有の異端教理である「罪を悔い改めない」「反省しない」ことが影響していると韓国の異端研究者らは見ています。この事件はユ氏側の教会、関連企業の問題です。
グッドニュース宣教会のパク氏も前科あり、隠れた勧誘行為、実態を明かさない布教活動
一方でグッドニュース宣教会のパク氏(江南教会)は2012年12月31日に食品衛生法違反でソウル中央地方検察庁から略式で罰金刑を受けています。2017年5月11日にはソウル中央地方裁判所から国土計画及び利用に関する法律違反、建築基準法違反で2000万ウォン(約200万円)の罰金の支払いを言い渡されています。これらは韓国のキリスト教有力紙が報じています。
他にも国内の系列教会で教会の決定に従わなかったなどという理由から「虐待を受けた」「脅された」という元信者の相談が多数寄せられています。グッドニュース宣教会の布教目的で開催される映画会やカンタータ公演会も、会場を提供する自治体に隠れて「勧誘行為」(自治体は宗教活動を原則認めない)を行なっており、行政側も困惑しています。日本だけが警戒しているわけではありません。最近では香港のキリスト教界がグッドニュース宣教会系列の活動に「参加しないこと」を強く呼びかけています。
グッドニュース宣教会の関連団体と疑惑報道後、報じたメディアを関係者が襲撃
韓国の老舗異端問題専門誌“現代宗教”(タク・ジウォン編集人)の事務所に2018年10月18日、オンゴウル人生教育院の職員を名乗る人物らが乱入し、現代宗教の職員らに罵声を浴びせながら生卵と墨のようなものを混ぜた液体を室内にばらまき、一部備品を破損させる事件が発生しました。オンゴウルとは日本語で「すべての村、町」を意味し、自己啓発系のキリスト教団体として知られています。現代宗教は同教育院と救援派のグッドニュース宣教会が深く関連しており、牧師間の交流が認められるとして、疑惑報道を行なった矢先のことでした。オンゴウル側は「事実に反する」という理由から「報復に来た」と明らかにしています。現代宗教から通報を受けた地元警察はオンゴウル職員らを拘束しました。この事態を受け、現代宗教は「グッドニュース宣教会とオンゴウルの関連を示す証拠がある」とし、追及報道を続けていく方針を明らかにしています。
グッドニュース宣教会の信者を名乗る人物が問題提起側に殺害をほのめかす脅迫行為
2013年10月17日、韓国で開かれた似非宗教被害対策連盟(代表=チョン・ドンソプ牧師)の会見でグッドニュース宣教会元信者のチョン・ヘドン氏が、同教団と代表のパクについて「教義的、道徳的に問題がある」としその実態について語りました。すると会見後、信者A氏からチョン氏に対し、殺害をほのめかすメールが十数回にわたり送信されるという事件が発生しました。被害を受けたチョン氏は警察に告発。この事態を受け、キリスト教ポータルニュースは脅迫したA氏に直撃インタビューした様子を10月30日の記事で報じています。「君の背骨をすべて抜き取ってやる。真っ二つに裂いてやろう。死んでも死にきれない君の体はトウモロコシの粉にしてやろう」などと十数回にわたり送信していました。A氏は犯行を認め、同紙の取材に「自分はグッドニュース宣教会の信者だ」とし、「行き過ぎた行為だった点は申し訳なく思う」と謝罪しました。A氏は教会側からの指示については「何も言えない」と回答を避けました。
日本で開催された対策セミナー。会場周辺で関係者が卑猥な内容を書いたチラシを配布、無言でつきまといも
日本では2018年11月29日に開催された「異端対策セミナー 救援派の正体とその対策」(講師:チョン・ドンソプ牧師)の会場周辺にグッドニュース宣教会の関係者が集まり、講師を個人批判するチラシを配布しました。主催者側の関係者に無言でつきまとうなど不可解な行動も確認されました。一部、批判の域をこえた卑猥な言葉も書かれており参加者はより警戒を強めました。
韓国主要キリスト教団は救援派系列について一度も異端、カルト規定を取り下げていない
韓国主要キリスト教団は何十人という専門家の牧師たちが日夜、国内の異端、カルト情報を精査しながら研究しています。日本にここまでの機関はありませんが、韓国は教団ごとに専門委員が選出されます。1985年に韓国のホーリネス派(基督教大韓聖潔教会=信徒数約505,946人、教会数2,947)が第40回総会で救援派の3グループを「異端」「カルト集団」と規定して以来、他の5教団が続けて「異端」規定を下しました。現在に至るまでどの教団も異端規定を解除していません。そして韓国キリスト教界は救援派と明確に一線を画しています。もし救援派が「異端ではない」「正統なキリスト教だ」と主張するのであれば、異端規定を下した諸教団側の調査が行われ、仮に問題がないことが明らかになれば総会で「異端規定取り下げ」が決議されます。しかし、救援派の異端規定取り下げが決議されたことは一度もありません。総会決議の目録はこちらをご覧ください。
今回は日本国内で最も活動が活発な救援派のひとつ、朴玉洙氏のグッドニュース宣教会系列を中心に全体像に迫ります。
朴玉洙氏 喜びのニュース宣教会「江南教会」 グッドニュース宣教会
関連団体・・・グッドニュースミッション、IYF(国際青少年連合)、CLF(クリスチャン・リーダーズ・フォーラム)、キリスト教指導者連合、マインド講演会、カンタータ公演会(グラシアス合唱団)、聖書セミナー、韓国キリスト教連合 マインド・カンフェレンス、その他多数 一般社団法人国際マインド日本教育学院(グッドニュース埼玉教会内)グッドニュースTV(YouTubeチャンネル多数)・・・これらは朴玉洙氏の宗教活動の関連団体。
朴玉洙(パク・オクス)氏は1986年に「喜びのニュース宣教会」という教団を韓国で設立しました。本部教会は「喜びのニュース宣教会・ソウル江南(カンナム)教会」です。ここを拠点に世界各国に宣教師を派遣して教会、関連団体を次々と設立しました。
1961年に米国人宣教師ディック・ヨーク氏と出会い、宣教師を育成する神学校に入学しました。この神学校には他の救援派2グループの指導者である「ユ・ビョンオン(クォン・シンチャン)」、「イ・ヨハン」も属していました。パク氏も影響を受けた宣教師と決別すると単立教会の牧師を務めながら転々として、牧会しながら独自の「聖書セミナー」を企画して徐々に信者を獲得していきました。宣伝広告を上手く利用し、公共機関、新聞に関連する団体の広告を出しました。教会活動だけでなく、海外ボランティア、途上国の教育機関と連携した「教育支援団体」NPO法人IYF(国際青少年連合)を設立。大学生に支援活動への参加を呼びかけたり、英会話、サークル活動を大々的に開き、集った学生にパク氏の説教を通じて救援派教理を広めたりしました。
正統な教会の牧師、信者に自身の信仰を否定させ、自分たち側に改心させる活動をしながら様々なイベントを開催しています。最近はCLF(クリスチャン・リーダーズ・フォーラム)というイベントを運営し、国内の不特定多数の教会宛に案内状を郵送したり、教会へ直接足を運んで参加を促したりしています。近年は救援派が韓国において異端、カルト集団規定を受けているという情報が国内のキリスト教界に知られ、諸教団から注意喚起が行なわれるようになりました。アフリカなどではこのような韓国側の情報が届きにくいため、救援派は勢力を拡大しています。日本ではまだそれほど強い影響力を持っているわけではありません。それでも懸念すべき問題はたくさんあります。イベント開催時に地元の商工会議所や市、教育委員会の後援を受けるようになりました。パク氏は行政、政治家との関係作りに精力的に取り組んでいます。
グッドニュース宣教会は世界中に進出しています。韓国内の教会数は約170教会。教会従事者は300人を優に超えます。海外教会は約800教会あり宣教師を700人以上派遣しています。活動の拠点をアフリカ、東アジアに置き始めています。日本では表向きはグッドニュース宣教会として活動し、宗教法人格をもつ東京恩恵教会を母体にグッドニュースチャーチ(教会)を全国に展開しています。埼玉県狭山市のグッドニュース埼玉教会も関連団体のハブ的役割を果たしています。
以下は、教理的な特徴を韓国キリスト教異端相談所協会会長、陳用植(チン・ヨンシク)牧師が解説したものをまとめました。
救援派の特徴的なアプローチ
「あなたは救われていますか?」と救いの確信を強調する。既成教会のクリスチャンは救われていないと説く
彼らは既成教会の信者を自分たちの教会に誘い込む時に「いつ何年、何月、何日、何時に救われましたか?」と強く何度も迫ります。主に次のように質問を投げかけます。
1.「あなたの名前が“いのち”の書に記されていることを信じていますか?」
2.「あなたは本当に生まれ変わりましたか?」
3.「死から永遠のいのちに移り変わったことを確信していますか?」
4.「あなたは義人ですか?それとも罪人ですか?」
5.「本当にすべての罪が十字架でゆるされたと確信していますか?」
6.「あなたの生活は罪にさいなまれ、神をおそれる生活ではありませんか?」
7.「私は救われていますと確信していますか?」
8.「再臨のキリストをお迎えする準備はできていますか?」
9.「救われているならその根拠を示せますか?」
彼らはイベントやセミナーで既成教会のクリスチャンに向かってこのように質問します。最近こそ、ワンパターン化されることは少なくなりましたが、「あなたは救われていない」と誘導するパク氏の金看板は変わっていません。考えてみてください。「救われている」クリスチャンにこんな質問をすること自体おかしなことです。また、「救われていないのになぜ伝道できますか?」と問います。救いの確信を確認することは何も問題ではありません。救援派はあえて既成教会の信仰を否定させ、自分たち側の教えに正そうとします。
救援派が強調する「救いの確信」で間違っている部分とは?
救援派は既成教会のクリスチャンに向かって「何年、何月、何時にどこで救いの確信を得ましたか?」と訪ねてきます。彼らはそれを明確に記憶し、すぐに答える必要があると信じています。しかし、この教えは反聖書的です。救いの確信とはイエス様にあって私(個人)が救われた事実が重要なのであって、救われた瞬間の日付を覚えていることは重要ではありません。私たちはそんなことを明確に覚えていなくても確かに救われたクリスチャンである確信があるからです。
2つ例をあげましょう。私たちは例外なく母親から生まれてきました。ある人が自分の誕生日、生まれた場所や時刻をよく思い出せなくても「母親から生まれた事実」を否定できるでしょうか。答えは「否定できない」です。生まれたという事実が確かだからです。
普段、自転車に乗る人も多いでしょう。でも自転車に初めて乗れた日時、走り出せた瞬間を覚えていますか? それを覚えていないからと言って「あなたは自転車に乗れていない」と批判される筋合いはありませんね。現に自転車に乗れているからです。
私たちの神様に対する救いの確信も同じことが言えます。誰であれ救われた事実が大切なのです。救援派はあえて救いの確信が曖昧なクリスチャンを探し、今までの教えを否定させ救援派に引き入れようとします。彼らが作ったチラシには「自分の考えが間違いでした」とパク氏にお詫びする参加者のコメントが掲載されています。
確信の曖昧さを強調し誘導するのは、彼らの布教スタイルの一つにすぎません。彼らが強調する教えに神学的な根拠、正統性は見いだせません。
なにより救われた事実を神様と個人の関係ではなく、救援派の教えと個人の関係に改めさせようとする姿勢は正しくありません。それも指導者の「名」によって変革させようとするのですから驚くべき傲慢です。
私たちクリスチャンが「救われている」ことを確認する方法
今、救われた確信は事実が大切なのであって場所や日時は重要ではないことをお話ししました。救いを確認するためには、イエス様を私の救い主として信じ受け入れた事実と今クリスチャンとして生きて歩んでいる信仰の証しから確認することができます。イエス様は人間のすべての罪を十字架の死により赦し、信じる私たちに永遠のいのちを約束してくださいました。それを信じた人は救われるのです。
救援派 異端教理の特徴 ①「悟ることで救われる」
救援派は「悟ることで救われる」と教えています。この考え方は(1世紀に異端とされた)グノーシス主義に由来しています。3つのグループの指導者たちはかつて米国人宣教師のもとで神学を一時的に学んだ際、「悟り」を体験したと述べています。簡単にいえば「気付いた」ということです。それも既成教会の救い、神学は間違いで新しい「気付き」で信仰が改められたことになります。聖書は悟ることで救いを達成できるなどと教えていません。聖書の言葉に新しい発見と喜びを見出すことは感謝すべきことです。しかし、救援派は新しい発見ではなく、根本的に救われていないから今目覚めよと導きます。彼らが作った教理を悟ることで救いが得られるという教えも間違いです。
イエス様はヨハネによる福音書3章5節で「人は、水と御霊によって生まれなければ、神の国に入ることはできません。」と教えています。神の言葉を実現するだけでなく、精神的にも新しく生まれ変わらなければならないという意味です。このことからイエス様を救い主と受け入れて聖霊を受ける体験が必要です。救いは悟りではありません。悟りによる救いは彼らに神学的影響を与えた米国人宣教師に由来しています。そして、悟る行為を特別な「教理」のように語るべきではありません。
救援派 教理の特徴 ②「悔い改めを必要としない」
救援派は、既成教会のクリスチャンが日々の祈りの中で自分の罪を神に悔い改める姿を批判します。彼らの教理では「救われた瞬間に悔い改めたのだから、繰り返し神の前で罪を悔い改める必要はない」と教えています。何度も悔い改めるのは“救いの確信”がなく、罪に対する本当の赦しを体験していないからだという主張です。
一般に「罪」とは原罪と日常的に犯す個人的な罪の両方を指しますが、救援派はそれを区別しようとしません。聖書的律法が破棄されたので犯罪も罪に問われず、悔いる必要がないと信じることにもなります。
ある欧米の救援派信者は「本当に悔い改めは必要ないのでしょうか?」とのキリスト教メディアの取材に対し、「救われた時に悔い改めをしたのだから一生涯もう必要ありません。なぜ、あなたがた(既成教会)は神に祈りながら涙を流し、自分の罪を悔い改めているのですか?」と答えました。記者は「その教えの根拠はなんですか?」と質問したところ、指導者の名前をあげて、それが根拠だと答えました。こういうことを大勢の会衆の前で平然と語ってしまうのですから、一歩間違えば救援派が危険な集団に化けてしまう可能性は十分にあると思います。
パク氏(グッドニュース宣教会)は、ヨハネの手紙第一1章9節「もし私たちが自分の罪を告白するなら、神は真実で正しい方ですから、その罪を赦し、私たちをすべての不義からきよめてくださいます」の聖書箇所を取り上げ、原罪と個人の罪はまったく同じだと教えています。
他にもヘブル人への手紙9章12節「「また、雄やぎと子牛の血によってではなく、ご自分の血によって、ただ一度だけ聖所に入り、永遠の贖いを成し遂げられました」
10章12~14節「キリストは、罪のために一つのいけにえを捧げた後、永遠に神の右の座に着き、あとは敵がご自分の足台とされるのを待っておられます。なぜなら、キリストは聖なるものとされる人々を、一つのささげ物によって永遠に完成されたからです」という箇所からも引用しています。
だから「一気に贖罪が行なわれた」と理解し、悔い改めは必要ないと解釈しているのです。
10章18節「罪と不法が赦されるところでは、もう罪のきよめのささげ物はいりません。」ここも一部を抜き取るように引用して救援派教理の正統性を主張しています。
グッドニュース宣教会の公式サイトでパク氏は次のように語っています。
「私たちは盗み、殺人し、姦淫し、嘘をつくような出来事を悔やむべきではありません。 そのようなことをいくら悔い改めても、我々の中でまた悪くて醜いことが明らかになるので、むなしく終わりがないです。 だからこそ、信者が罪を犯して悔い改め、罪を犯して悔い改め、その仕事を続けてしまうのです。ペトロのように自分を信じる心から引き返すことが本当の聖書の悔い改めです。これだけがイエス様を信じる心につながるのです。」https://www.goodnews.or.kr/about/gospel
この主張を読むだけでも、パク氏の教理は健全ではないことがわかります。
(編集部注)パク氏が説く教理は「後悔すること」と「悔い改める」ことを混同させています。概念の微妙な置き換えが異端性を現していると言えます。
「罪を悔い改めない」。この教えは大変危険です。教理的な問題に留まらず道徳的に歪んでいく思想だからです。自分自身が犯す罪も否定し、重大犯罪を犯そうが反省する必要がないという高慢にも繋がる思想です。救われたクリスチャンも自分が犯した罪に苦しみ悩むことはあります。だからこそ、自分の弱さを知り、罪赦された罪びととして悔い改め、神に忠実な僕として健全なクリスチャンライフを送れるし、成長できるのです。
救援派 教理的な特徴 ③聖書が教える「訓練」を軽んじる
救援派は聖書が教える訓練を軽んじる主張を繰り返しています。正統派教会では罪を犯した者は、まず悔い改めて訓練を受けるように教えます。何が問題なのか学び、正しい方向に軌道修正するためです。親と子の関係で考えてみましょう。子どもが間違いを犯せば親は何が間違いか教え、ときに厳しく叱らなければなりません。こうして人は成長していきます。親は子を愛しているからです。ところが救援派では「罪」への悔い改めが必要ないので「正しい方向」に軌道修正する「訓練」も疎かにされています。子どもに好き放題させれば、それがどのような結果を招くのか目に見えています。聖書の教えを体系的に理解できていない証拠です。
ヘブル人への手紙12章6~8節「『主はその愛する者を訓練し、受け入れるすべての子に、むちを加えられるのだから。』訓練として耐え忍びなさい。神はあなたがたを子として扱っておられるのです。父が訓練しない子がいるでしょうか。もしあなたがたが、すべての子が受けている訓練を受けないとしたら、私生児(しせいじ)であって、本当の子ではありません。」と聖書では教えています。訓練は神の愛の現れであり、罪を憎む神の意志であり、私たちを正しい道に導かれる神の摂理です。このような教えを蔑ろにし、軽んじることは聖書の規律を否定することになります。
救援派 教理の特徴 ④「聖化(せいか)のプロセス」を軽んじる
救援派は罪の悔い改めを必要とせず、救われた瞬間に義人になると信じているので「聖化」のプロセスは必要ないと主張しています。聖化とは信仰的成長です。ピリピ人への手紙2章12節「こういうわけですから、愛する者たち、あなたがたがいつも従順であったように、私がともにいるときだけでなく、私がいない今はなおさら従順になり、恐れおののいて自分の救いを達成するよう努めなさい。」この箇所は私たちクリスチャンの聖化について教えています。これを重んじない生活は人生の目標と基準を失うことになります。ですからクリスチャンに求められる敬虔さが欠けていくのです。
救いの確信が曖昧なクリスチャンが救援派の教えに傾倒しやすい
救援派は正統派教会の牧師、信徒を彼らの教えに引き込もうと様々なイベント、セミナーを企画します。彼らは「そんなことはない」と否定しますが、現に自分たち側に改心させていることは明らかです。彼らの布教目的は私たちクリスチャンを惑わすためにあるといっても過言ではないでしょう。グッドニュース宣教会のパク氏は過去の経験から「教会で一生懸命信仰生活を守っても繰り返し罪の問題で葛藤した。献金を捧げ、規律を守り、良いクリスチャンになるために努力したが叶わなかった」と打ち明けています。だから、「クリスチャンは罪への悔い改めが間違っている」、「本物を悟ることで違いが分かる」と主張しています。これはパク氏のごく個人的問題にすぎず、聖書の真理とは一切無関係です。彼が置かれた当時の環境と経験と神の教えを一体化させてはいけません。また彼が体験したストーリーを聖書全体の真理のように導こうとする点もおかしいです。
このグループに傾倒してしまうクリスチャンが多い理由は、救いの確信が曖昧だからです。これははっきり言えることです。「本当に救われていますか?」「あなたは天国に行く自信はありますか?」「いつ救われたか言えないですか?」などと何度も強く迫られると急に不安になるのです。不安を煽り、揺らぐ心の隙間に救援派の教えが入り込むと「律法に縛られていた」、「罪責感に苦しんでいた」と感じ、開放感を抱いてしまうのです。
「罪を罪と思わず、悔い改めないで生きていいよ」こんなふうに言われれば、誰もが解放された気分に浸ります。甘い蜜のような言葉です。救援派は「気付いた」瞬間を「悟り」だと教えます。それこそが本当の救いだというのです。「今、悟った。だから救い(二度目)を体験した」と言いたいのでしょう。二度の救いを体験する必要はありません。牧師たちは信徒に救いの確信について正しく教える必要があります。聖書の原則を軽んじることなく、私たちは御言葉を握りしめて生きる必要があります。こうした「隙間」に異端教理が入り込むのは、今の既成教会の弱さも原因だと思います。聖書を学ぶ時間をもっと大切にしましょう。そして異端について正しく学びましょう。
(陳用植牧師による解説はここまで)
日本最大のキリスト教団である日本キリスト教団に事務局を置く「カルト問題キリスト教連絡会」は救援派系列を「カルト」として注意喚起しています。同連絡会には、カトリック中央協議会、日本聖公会、日本福音ルーテル教会、日本バプテスト連盟、在日大韓基督教会が加盟しています。同連絡会が発行している小冊子では統一協会以外にも各教派の相談会で増えつつあるキリスト教系団体のリストに「救援派系列」を紹介しています。http://controversialgroupscommittee.info/wordpress/
資料には「イエス・キリストによる贖いの効力は永遠に変わらないので、倫理的な行いを強調しないし、救われた後の罪は問題にならないと考え、生まれ変わった者は罪がなくなったので悔い改めの必要がないというなど、偏った教理を持っている点から韓国の主要キリスト教団から異端視されるようになった」と書かれています。今回、指摘しているグッドニュース宣教会について「この朴玉洙は、NPO法人IYF国際青少年連合という偽装団体を作って、日本で大きな国際フェスティバルを催すなど、国際交流という建前で布教活動を強めていくと予測されるので注意が必要」と注意喚起されています。
救援派は私たちがイメージしているような“異端的見た目”、“カルト的雰囲気”を一切感じさせません。むしろ、福音的で健全な聖書の神学を説く国際的なキリスト教団体のように見えたり聞こえたりします。テレビや映画の影響でしょうか。私たちは異端やカルトへ誤った外見的先入観を持っています。恐ろしく、危険な雰囲気を醸し出す集団のイメージを持っているのではないでしょうか? 今時、そんな姿を表に出す異端・カルトはほとんどありません。傍からみてわからないからこそ恐ろしいのです。なにより、韓国生まれの宗教団体ですから、現地のキリスト教会が下す評価を正しく見聞きし、総会決議による規定を判断基準とするべきです。先程も説明したとおり、その決定には神学的な根拠が明確に示されています。もちろん、特定の団体を妬んだり、誹謗中傷することが目的ではありません。むしろ、自分たちを取り巻く現地情報をきちんと明かさないで「異端ではない」と主張することこそ、不誠実で健全ではないと言えます。対策について本紙で紹介しています。① ②
救援派は自分たちだけが特別だと主張している
陳用植牧師によると、3つのグループ共にその傾向はとても強いです。自分たちの教会こそが特別だという主張は随所で確認されています。「他の教会の教えは偽物だ」「既成教会は腐敗し単なる宗教に転落した」と教えたことがあります。また指導者は神から特別な啓示を受けたと言って権威を強調しています。救援派は自分たちだけに聖霊が臨まれると信じています。聖霊の働きがエルサレムからはじまり、世界を駆け巡って今は韓国にとどまっているとも話しています。多くの韓国系異端カルトにとって韓国は聖地であり、特別な場所です。しかし、韓国が特別であるという教えは聖書的歴史観から見て何ひとつ根拠はありません。決して惑わされないでください。聖霊はキリストにあってすべてに働かれます。こうした神秘的、権威主義的発言は信徒を正しく導くことが困難になります。
異端専門誌「教会と信仰」の発行人である崔三卿牧師によると、異端・カルトとされるグループには聖書の他に自分たちの経典を用い信者を「新しい教え」に導くタイプと、聖書だけが神の言葉だと信じつつもその内容を誤って広めるタイプがあります。前者は聖書以外の経典の存在を隠したり、指導者がキリストだと教えながら対外的には否定したりします。また経典の存在を認めても、あくまで聖書を正しく理解するための注解書にすぎないと誤魔化します。
後者は三位一体を否定せず、説教の内容もよく聞かないと何が問題なのかわかりづらいので見分けが付きにくいのです。救援派は後者のタイプになります。指導者を再臨のメシア(キリスト)と崇拝したり、密かにそう信仰させるタイプの異端ではありません。
しかし、過去にはきわどい発言を繰り返しています。キリスト教ポータルニュースは、キリスト教福音浸礼会を設立したクォン氏は義理の息子で教団の実権者であるユ氏を「神の口」「聖霊により油そそがれた者」(1982年)と紹介しました。クォン氏はユ氏について「イエス」「メシア」と同格の存在だと発言した記録もあります。それ以前は、ユ氏は使徒パウロと同じ使命をもつ特別な人物だと教団内で権威を誇示していました。
グッドニュース宣教会のパク・オクス氏は2007年オーストリアの首都ウィーンで開かれたIYF国際大会で「私は自分の体を持っているが、心はイエスの心で生きている。私は小イエスとなって生きている。皆さん、イエス・キリストを心にお迎えしてイエスの心に従って生きれば、皆さん一人ひとりイエス・キリストになれるのだ」と発言しました。この発言は韓国の主要キリスト教団で問題になり、グッドニュース宣教会は救援派の新たな教理としてパク氏を神格化する誘導的説教を行なっている可能性が指摘されたのです。ただ、この発言が同宣教会のベースとなる教えではないことがわかりました。それでも、パク氏の説教は「私が、私が」と自己正統性を強調する内容が目立ちます。ですから救援派は指導者をキリストと崇める新興宗教ではないにせよ、神の主権が指導者の手にわたっている異端教理を広めるグループであることは確かです。
韓国系異端は現地の主要教団が下した規定を「無効である」「解除された」と説明することがあります。また、「ずっと前に決定された内容で今は異端視されていない」と主張します。大体は、自分たちに嫉妬したキリスト教界が誹謗中傷していると、事実報道をするメディアや実態を明かす個人を批判します。グッドニュース宣教会も同じような反論を続けています。「異端」「カルト」という評価は日本国内で定められたものではありません。私たちは発祥国の教会の公的機関の判断に委ねて、正しい情報を知る必要があります。
十数年にわたり異端規定が解除されないのには根拠があるのです。
出典
「総会広報・異端カルトが呼びかける青年向けキャンプ警戒」「総会長談話」(2012年:大韓イエス教長老会総会広報)、「韓国メソジストが決議した異端リスト」(基督教大韓監理会本部教育局広報)、「異端似非決議第77回総会資料」(大韓イエス教長老会統合総会)、韓国キリスト教異端相談所協会(救援派・朴玉洙に関する資料集)、日本イエス・キリスト教団総務局相談室異端カルト相談窓口、「カルトって知っていますか?」(カルト問題キリスト教連絡会2019年・“資料”各教派の相談会で最近増えつつある統一協会以外のキリスト教系団体“救援派系列)、米カルト教育研究所(CEI)
参考資料・記事(一部引用)
「陳用職、救援派教理批判シリーズ」(キリスト教ポータルニュース:2014年)、「キャンパスで警戒すべき3人の異端指導者」(同紙:2014年)、「救援派の朴玉洙は偽牧師」(教会と信仰:2018年)、「朴玉洙は本当に罪なき義人か」(教会と信仰:2017年7月17日号)、「救援派は異端である」(教会と信仰:2014年)、「統合派による異端決議資料」(教会と信仰2018年)、「救援派は異端解除されたと主張」(香港CGNER:2019年1月)、「香港教会へ緊急通知」(香港CGNER:2020年5月)、「朴玉洙のマインド教育は中断すべきプログラムだ」(現代宗教2019年)、「グッドニュース宣教会マインド教育とグローバル化に注意」(現代宗教2020年)、「Traveling to Teach English; Getting Sermons Instead」(ニューヨークタイムズ:2012年1月19日)、クリスチャン新聞、国民日報、聯合ニュース、ニュースアンドジョイ、グッドニュース宣教会公式サイト、IYF刊行物、朴玉洙氏各著書、他