大物議員続々と 自民党衆議院議員のスピーチ、祝電、現職議員らが「再臨のメシア」の前で祝福まで 信者は4万人動員
10月6日、愛知県国際展示場で行われた「孝情文化祝福フェスティバル~太平洋文明圏時代と日韓米の連携~」に、故・文鮮明氏の妻で世界平和統一家庭連合(以下、統一教会)の最高権力者である韓鶴子(ハン・ハクジャ)総裁が登場した。韓氏は「お母さま」「天の一人娘」などと称され、再臨のメシアと崇拝された故・文氏に「原罪があった」とメシア性を否定。自身が真のお母さま、メシアだと教理を逆転させた人物だ。会場には4万人を超える信者が集い熱気に包まれた。
フェスティバルの終盤には最大の目玉である自称「再臨のメシア(お母様)」韓氏の登場を祝うパレードが行われた。会場に集った信者が日韓の旗を振り、韓氏を称えた。のべ4万人の信者が動員されたが、その中でも注目すべき点は「祝福二世」といわれる信者が1万人近く参加したことだ。統一教会では、原罪のない(罪がない)真の父母様(故・文鮮明、韓鶴子)の子供として祝福式(合同結婚式)に参加することで救われ、罪がなくなると教えている。救いの基準は見知らぬカップルが一緒になることにある。この二人から生まれた子供は罪がない者とされ、「祝福二世」「神の子」と呼ばれる。近年は、この二世の統一教会離れが組織では大きな痛手となっていた。つまり、統一教会も信者の高齢化により、かつてのような献金集めが困難となっていた。今回のフェスティバルにはこの二世が多く参加、韓氏が登場した際も若者が盛大に祝い、拝礼する姿が映し出されていた。
愛知県知事・大村氏の祝電が読み上げられる。
会場では司会者により大村秀章愛知県知事の祝電が読み上げられると、会場から大きな拍手が沸き上がった。以下は大村氏の祝電内容を抜粋したものだ。
「・・・日韓米の連携をテーマに韓鶴子総裁を愛知県国際展示場にお迎えし・・・各界各層の皆さまがご光臨くださいましたことに心より歓迎申し上げます・・・地球的規模で世界平和実現に向けて取り組んでくださる韓総裁の信念と力強いリーダーシップに心より敬意を表します。2019年10月6日愛知県知事・大村秀章」
現職の議員らが家庭連合会長、徳野英治氏・久江夫妻から祝福を受ける。
派手なパフォーマンスはいくつも用意されていた。壇上にあがった韓氏の前に35組の代表カップルが整列。家庭連合会長の徳野夫妻から祝福、既成祝福を受けたグループだ。「既成祝福」とは、統一教会内で合同結婚をしたカップルとは異なり、もともと未信者だった者が入信し、その夫婦が祝福を受けるというもの。専門家によると「既成祝福は、相手が同席していなくても受けることができる。それでも、韓総裁をメシア(お母様)と信じなければならない」と語る。信者同士の合同結婚とは異なり、原罪(罪)がある人間なので組織的には格下に見られ、生まれる子供は「ヤコブ」「信仰二世」と呼ばれ、罪の子として扱われる。その罪の子の親として祝福されたうちの一人が愛知県議会議員・天野正基(あまのまさき)氏だ。韓氏に現職の議員35組を代表して記念品を贈呈した。同氏はこの会場で既成祝福を受けた。
次々と現職の自民党議員が来賓として紹介され、統一教会との癒着ぶりをうかがわせた。こうした派手な演出と政界との関係性を示す映像はすぐに削除してしまうという。一方で組織では信者に対する献金ノルマは依然厳しいままだ。払えるまでなんとかしなければならない。このフェスティバルのチケットも1枚1万円で販売された。文鮮明氏が死去後、息子たちによる内部分裂で混乱。当日は会場の外で分派(七男派)による抗議活動も行われていた。教理が変わり、多くの矛盾を抱える統一教会。霊感商法をはじめとする国内の被害、傷をかかえる元信者たちとその家族。その実態をわかった上で政治家は蜜月の関係を続ける。統一教会にとって日本は最大の資金調達国だとされる。献金は入る、政界に影響力を持てる……世界統一を目指す韓国出身の韓鶴子氏は、どこまで走り続けるのだろうか。