韓国には日本と比較にならない程多くの教団が存在します。教団ごとに異端似非(カルト)調査委員会(以下、調査委員会)が備わっていて、その下にいくつもの神学委員会があります。専門の牧師たちが、これら調査委員会でさまざまな情報を集め日夜研究しているのです。今回はこの「異端規定」についてまとめてみました。

下記の情報を知れば、私たちは安心して主要教団の規定を根拠に判断することができます。

大韓イエス教長老会合同総会(定例総会)の様子(写真:ニュースアンドジョイ 2018年のものです)

 

異端規定までのプロセスには主に2通りあります。

 

  • 総会の中から調査委員会が問題と考える人物、その教団、団体を定例総会で提起する

韓国では教団名の後ろに「総会」と付けます。これは日本でいう「教団」と同じ表現です。例えば大韓イエス教長老会合同総会は大韓イエス教長老会の信仰基準を重んじる保守プロテスタント教会です。

その次の「合同(ハプトン)」は教団名です。現地では教団と言わず「総会」と呼びます。日本のメディアでは区別しやすいように「派」と表現します。これも教団と同じ意味合いです。そして、地方ごとに「老会」があります。これは中会にあたる教区のことです。ただし、大韓イエス教長老会という一つの教団は存在しません。他にも統合(ハプトン)、高神(コシン)など、大韓イエス教長老会には170ほどの教団があります。また長老会以外に、韓国ホーリネス(聖潔教会)、メソジスト(監理教会)などにも複数の教団があります。

規定までの流れ

例えば長老会の場合、各老会からBという人物について「問題がある」と老会の教区委員会に報告されます。教区委員会はBについて、神学的な問題や被害報告を受けて調査を始めます。この時点で調査が必要ないと判断することもあります。調査の必要があれば、専門性の高い牧師が情報収集したものをまとめ、教区委員会で報告書を作成するのです。そうして老会の報告書が完成します。

これだけでは何も始まりません。毎年9月頃に行なわれる教団の定例総会前に、老会がまとめた報告書を教団の異端似非調査委員会(以下、調査委員会)に提出しなければなりません。調査委員会は内容を十分に審議し、組織神学の各項目に沿ってBがどのような人物(教団、団体)であるか調べるのです。

・聖書についてどう考えているか(聖書論) ・神論・キリスト論・聖霊論・救済論・教会論・終末論など

他にBが問題行為を起こしているなら被害報告についても十分に調査します。それも1度や2度ではありません。過去には対象となる人物を直接呼んで聞き取り調査したこともあります。

そのうえで調査委員会がBは問題ありと判断すれば、総会前の準備委員会で「このように規定したい」と決議案をはかるのです。もちろん、審査の過程でBについて問題提起を見送ることもよくあります。非常に厳格です。

規定の内容について
  • 明らかに聖書の教えを逸脱している対象は「異端」

三位一体、キリスト論、救済論、教会論などいわゆる組織神学の観点から「明らかに」、「完全に」逸脱している場合は異端と規定されます。「可能性」や「かも知れない」という曖昧な基準では規定を下しません。さらに深刻だと判断すると「反キリスト教的異端」、などと評価します。明確に対象が自身を再臨のキリストと名乗って活動している場合などに使われることが多いです。基本的に「反キリスト的異端」と規定されるとカルト性を含んだ評価となることが多いようです。もっとも厳しい結論だと言えます。対象が預言を重んじる、異言を唱えるなど自分たちの教団と異なる教理だという理由だけで異端規定することはあり得ません。

 

  • 異端似非(えせ)=カルト

似非とは偽物という意味です。日本語に言い換えれば「カルト」になります。韓国では対象が反社会的な問題を起こしている場合にこのように評価を下します。性犯罪、労働・経済的搾取、暴力、事件など総合的に判断されます。

 

  • その他の項目

異端であると評価できないまでも限りなくそれに近い対象や、実態を隠している場合は「警戒」「鋭意注視」と評価されることが多いです。まだまだ解明しきれていない場合や調査を継続している場合も含みます。教団として総合的に判断し、教職者が対象側と関わることを避ける必要があると考えた場合や、対象側のイベントに参加するべきではないと判断すると「参加、交流禁止」などと評価します。この評価は幅が広いのですが、限りなく異端である可能性が疑われても断言できない場合から、社会的評判が悪く今は関わることは適切ではないという場合までさまざまです。

 

  • 異端擁護メディアとは?

日本では聞き慣れない言葉です。文字通りに理解すると異端を支持したり、守ろうとするメディアについて評価しているように思うでしょう。この規定は主に異端規定およびそれに準ずる人物(指導者)の教団が運営するメディアをさします。教団の専属メディアですから当然、指導者を宣伝し守ろうとします。そのような意味で「擁護」と評価します。

それ以外にも教団の調査委員会ごとに様々な評価があります。決して、嫌がらせや嫉妬、政治的な思惑で委員会が対象を調査して報告書をまとめることはないのです。また個人の力が働くこともありません。主要教団は教会数が韓国内で1万軒以上(合同総会)、少ない教団でも1000軒(韓国ホーリネス)近くあります。信徒数は多い教団で約260万人、少ない教団で3千人ほどです。教団の命運がかかった大仕事です。

しかし、報告書をまとめたからと言って総会で即日決議されるわけではありません。基本的にBという対象について調査委員会は定期総会で挙手し、Bについて調査委員会は「このように報告書をまとめた。このBは異端規定すべきだと結論付けた」と提起するのです。総会で「審議すべき」と承認されても、その場で規定されるわけではありません。翌年の総会までさらに調査を進め、そこではじめて規定されるのです。

韓国基督教異端相談所協会の各支部長と専門家を交えた会合の様子。問題がある人物、教団について情報を共有し各総会に報告する(写真:キリスト教ポータルニュース)

2つ目のプロセスについてお話しします。

実際に多いのは専門性の高い牧師たちが直に、問題がある人物(教団、団体)について情報提供を外部から受けるケースです。すべての牧師が情報をキャッチできるわけではありません。韓国ではキリスト教メディアが率先して問題がある人物を取材し取上げています。またそのような人物が率いる教会はデモ活動や暴力事件を引き越すことも多く、社会的に注目されています。

教団の牧師がメディアで初め知って独自に調査したり、被害者に聞き取りしたりして韓国基督教異端相談所協会(地方ごとに支部がある)に通報します。異端相談所の牧師は専門家ですから、さらに精度の高い情報を集約して組織神学の基準から分析していくのです。相談所は1997年から2019年まで異端・カルト信者約2000人以上の救出に成功しています。相談所とは日本でいう専門のカウンセリング、相談施設です。

韓国には40人を超える自称再臨のキリストのカルト教祖がおり、どれも危険性が高いとされています。それらの教会の信者は韓国だけで200万人以上います。この40人のカルト教祖が率いる教会は、日本国内に6~7団体も入り定着しています。この6~7団体は韓国でも最も危険視されています。

こうして、まとまった報告書が教団の総会で承認されると、翌年の定期総会で決議される仕組みです。

定期総会で規定されると、その項目がキリスト教各紙で公示されます。ただ、新しく規定されたり、規定基準が格上げされたりしない限り、すべての対象を取上げません。例えば、2009年に規定された某教団の「異端」規定は今日まで1度も内容が更新されていません。2009年に規定されてからその後はもうどうでもよくなったのでしょうか。決してそうではないのです。更新されていないからといって、その教団が異端解除され、問題がないと見なされた訳ではありません。

一度規定されると、特別に新しく情報を更新する必要がなければ、規定は有効性を保ったまま引き継がれていくのです。

異端・カルト規定を受けた教団関係者は「私たちは規定解除された」と主張することがよくあります。仮に異端解除される場合も、老会ごとに報告書をまとめ、調査委員会が審議した上で翌年の定期総会で決定します。解除されれば、ほとんどのキリスト教メディアが大々的に報じるほか、公示という広告枠で読者に知らせるルールがあります。主要教団が過去に規定した教団を「解除」した例はほとんどありません。

定例総会が開催されると異端・カルト側の教団関係者が激しい抗議活動を行なう。ときに暴力沙汰に発展することも(写真:キリスト教ポータルニュース)

脱会者による記者会見を妨害するため当初予定していた会場を占拠した張在亨の信者たち。牧師、団体トップ、クリスチャントゥデイの使役者が乗り込んだ(写真:教会と信仰)

異端・カルト側は偽りの情報で日本の牧師たちを惑わす

異端・カルト側の説明は事実に反するものが目立ちます。日本人は韓国の制度を知りません。最近、自分たちを異端扱いするな、と抗議活動をする過激な教団が増えてきました。以前にも増して実力行使に出ようとする動きがみられます。本紙は韓国主要教団の規定を判断基準に報道を続け、各教団の報告書から具体的な問題点を記事にしています。するといくつかの教団は「われわれは異端ではない」と主張する内容証明郵便を送って圧力をかけてきます。「記事を削除しろ」と威嚇してきます。何度も電話を掛けてきたり、嫌がらせのメールを送ってくることもあります。

このようなやり方は、まさしく韓国産の異端・カルトの常套手段で、自ら「不健全さ」を明らかにしているようなものです。日本の教会ではまったく受け入れられない対抗策と言えましょう。こうしたことを繰り返せば本紙は専門機関に情報を提供しますので、ますます世間から警戒されることになります。自分たちは異端ではないというならば、母国の主要教団の異端規定を解除されるよう、正常化したことの証を指導者が立てれば良いのです。教祖は韓国人であり、教会も韓国教会なのですから。

またその説明も根拠がなくウソが目立ちます。そこまで言うなら母国である韓国の主要教団が下した厳格な規定基準に対して抗議すべきであり、解除されるように努力すれば良い話なのです。該当する某教団の教祖は「教会の運営や教えを改める」と何度も約束しては裏切るという行為を繰り返しました。信頼されていないのです。そのような事実を彼らは教会員に語りません。「自分たちが異端視されるのは誰それが悪い」といった話ばかりなのです。エスカレートすると、批判者や異端専門家をサタンやカルト呼ばわりします。

日本の教会には異端似非調査委員会がありません。韓国の議論ある教団について私たちは、韓国の主要教団の総会決議を根拠に判断しています。記事に抗議し、解除されたと主張する教団関係者と話してみると、韓国のキリスト教界のルールを知らず(あるいは知らないふりをし)、思い込みや上層部から指示されたとしか思えないような言い訳をします。日本のキリスト教界の制度も分かっていません。例えば、「政治的な意図でなんの調査もせず異端規定された」とか「異端研究家が賄賂をもらい異端規定させた」という主張です。異端・カルトは大きな教団全体を相手に戦うことをせず、いつも個人を悪人に仕立てて攻撃します。

自称再臨主疑惑がある某教祖とその関連メディアは、自分たちが異端規定を「解除された」と平気でウソをつきます。正確な情報を確認すればすぐわかることですが、良心の咎めもなく堂々と作り話を発信するため、何も知らない日本人は信じてしまいます。彼らは「再臨主」と信じている教祖を守るために使命感を持って堂々とウソをつくのです。典型的なフェイクニュースです。メディアがウソを報じていいのでしょうか。それだけでアウトです。

もし、教団の規定を解除されれば韓国のメディアが大きく報じます。本紙もその結果を尊重し正確に報じます。

異端・カルト110番は、サイトの創設人である日本キリスト教異端相談所所長(東京都足立区=とねりキリスト教会)を務める張清益(チャン・チョンイク)牧師が共同代表を務めています。同じ相談所協会の韓国の支部には各教団の調査委員会関係者や現役の委員、責任ある立場の牧師が所属しています。電話一本で異端・カルト側が主張する「解除された」という説明の真偽を確認できます。異端・カルトにとって脅威であることは間違いありません。

総会における異端規定の流れについてお話ししました。日夜異端・カルト問題を研究する大勢の牧師たちの努力を私たちは忘れてはいけません。これら規定は韓国社会では公的な判断基準の一つになっています。

日本でも積極的に正しい情報を用いて分別のある対応をしましょう。

 

日本において韓国の異端・カルトがよく使う虚偽説明の例

 ・主要教団は神学的に誤りが多く、自分たちのことを正しく調べていない

・自分たちの指導者や教会の活動に嫉妬して嫌がらせで規定した

・主要教団の牧師たちは聖書を知らない

・政治的な意図があり、賄賂をもらって自分たちを異端規定した

・すでに解除されている(具体的にどの教団がいつ解除したか説明できない)

・有名な異端研究者、韓国基督教異端相談所の牧師たちこそ異端規定されている

・韓国には異端は実はほとんど存在しない。異端規定されているのは有名な異端研究者たちだ

・我々は世界的に認められている。彼ら(主要教団)より遙かに聖書的な活動をしている

・韓国基督教総連合会(韓基総=CCK)に加盟しているから自分たちは異端ではない

これらの主張はすべて作り話です。信用してはいけません。

異端・カルト側が定例総会の会場に強行突破することもしばしば。開催時は会場周辺に警察の機動隊が配置されることが多い。大音量で音楽を流し、総会を妨害することも(写真:キリスト教ポータルニュース)

○このような主張を各地で繰り返している教団

 

□タラッパン運動の創始者、柳光洙(リュ・ガンス)氏が率いるソウルイムマヌエル教会とその傘下、影響下にある福音宣教会(名古屋)のグループ教会、関係教会

以前からメディア各紙に対して抗議活動を続けている。嫌がらせのメールを送ってくる

 

□グッドニュース宣教会を率いる朴玉洙(パク・オクス)氏の系列教会、団体の牧師たち

抗議活動が活発化してきた。一部の既成教会を批判

 

□再臨主疑惑がある張在亨(ジャン・ジェヒョン)氏が率いるワールドオリベットアッセンブリー関係者とクリスチャントゥデイ、その関係者

国内において抗議活動、妨害行為が最も活発。クリスチャントゥデイが発信。また既成教会の牧師を巻き込んで個人攻撃を続ける。

 

□インターコープ宣教会を率いる崔パウロ氏と日本国内の同宣教会関係者

 

□自称再臨のメシア、強姦罪で服役していたキリスト教福音宣教会(通称:摂理=CGM)の鄭ミョンソクの教会牧師と教会関係者たち

抗議活動を直接行なうことは少ないが虚偽情報を拡散し教祖の正当性をPRしている。

 

□救済史シリーズの平康第一教会(旧・大声教会)

 

□神様の教会

 

□万民中央教会

 

これら教団の情報に惑わされ、誤った情報を広めている既成教会の牧師たちも少なくありません。また異端・カルト問題を政治と絡めて考えたり、不正確な韓国側の情報を広めるケースが後を絶ちません。

十分に注意してください。

 

総会決議・規定リスト こちら