再臨主疑惑の張在亨グループに4年越しの特捜部捜査、摘発へ・・・。オリベット大学と元理事長は依然告発されたまま。裁判官、「新事実発覚なら被告らを収監」、捜査は継続

IBT元オーナー、ウザク被告。事件を否定し「ねつ造だ」と主張していたが一転して「有罪」を自ら認める司法取引に出た。入信から二か月で韓国人宣教師と聖婚。2006年頃から張グループに従事している。(写真はニューヨークポストより)

張グループの幹部信者らが有罪判決となった。この報道は2月14日を中心に米大手新聞がこぞって報じた。あるメディアは「福音派の大学でスキャンダル」、別のメディアは「カルト団体の事件」として報じてきたが、一つの山場を迎えた。ニューヨークポストの記事を紹介する前にあらためて事件を整理してみたい。

今回の事件で注目すべき点は巨額不正融資、詐欺行為を共謀したメディアの元オーナー、代表ら(被告)全員が再臨主疑惑のある張在亨(ジャン・ジェヒョン)氏を信奉する、いわゆる‟ワールドオリベットアッセンブリー“の信者たちであるという点だ。それも末端の信者ではなく幹部たちである。ウザク被告は張グループのメディアである「IBT(インターナショナルビジネスタイムズ)」の前オーナー。同社はニューズウィークを買収し傘下に収めた。

ウィリアム・アンダーソン被告も張グループのメディア部門親会社である「CMC(クリスチャン・メディア・コーポレーション)」前代表という立場だ。IBTは日本では財経新聞(東京都新宿区)、韓国では財経日報として運営している。CMC傘下には、韓国、中国、米国にネットワーク化されたメディアが乱立している。クリスチャントゥデイも傘下に含まれるが日本の同社は公にしていない。今回の事件は、このIBT、CMC、オイコスネットワーク(張グループ)、オリベット大学と元理事長が共謀した大掛かりな経済犯罪なのだ。2018年11月に事件を公表した米マンハッタン地検は、容疑者ら(当時)は米国の犯罪で1級クラスの重罪をいくつも犯し摘発されたことを説明していた。

これら被告らは共謀して虚偽の営業実績、財務諸表を作成。銀行を騙して巨額不正融資を行った。さらに得た融資の使用目的(借りた金の用途)を偽り、実際には「メディア等の運営費用」、「過去の借金返済」、「オリベット大学拡張に充てる費用」、「ニューヨーク等の不動産購入」などに充てられたことが発覚したのだ。わかりやすく言えば銀行を騙して金を借り、得た金を融資先に提出した内容と異なる目的に使っていたということだ。これが不正融資、詐欺として摘発された。そして、事件の発覚を隠蔽するために得た金を資金洗浄した罪も問われていた。いわゆるマネーロンダリングだ。これは複数の口座に金を送金し分散化させることでまとまった金が手元にないよう隠す行為である。不正な手段で得た金を正当に得たように偽装する手法のひとつだ。そして、多額の金がオリベット大学に渡っていた。その額も尋常ではない。日本円に換算して約39億円近いからだ。この事件はマンハッタン地方検察庁の経済犯罪課特捜部が捜査してきた。

本紙が独占入手したCMC開設礼拝の貴重な内部写真。真ん中に指導者ジャン・ジェヒョン氏が座り現在も関連団体で活動するオリベットアッセンブリーの牧師、幹部の姿が見える。CMCは事件発覚後、閉鎖され同じ内容でKenosis Media Groupを立ち上げた。

事件発覚後、被告らは弁護士を通じ「このような根拠のない容疑を否定している。誰も1円も損していないことで、この事件は終わりだ。被害者はどこにもいない。この事件はでっちあげであると確信しており、裁判で否認する」(キリスト新聞より)と容疑を否認し‟でっちあげ“と主張していた。さらに日本クリスチャントゥデイ編集長に就任した井出北斗(ほくと)氏(オリベット大卒)は「米検察当局(捜査機関)が不正を隠すために腹いせでオリベット側(今回の被告ら)を攻撃した」という趣旨の主張を拡散させていた。ところが近年、同社の代表・矢田喬大氏、井出北斗氏がオリベット大学を訪問し各国の関連企業団体リーダーとして張在亨氏と共に写真に写っていたことが確認された。今回の2被告も一緒だった。

それでも「関係がない」「事実ではない」と主張する一方的な情報をクリスチャントゥデイ側から繰り返し聞かされた淀橋教会主管牧師・峯野龍弘氏(当時、クリスチャントゥデイ会長)は「米国の事件は事実無根」とする発言をウェスレアン・ホーリネス教団総会(2019年3月)で行った。

これだけ違法性を否定し、批判にまで転じた彼らが一変して「有罪」を認めた理由はどこにあるのだろうか。ウザク被告(IBT元オーナー)、アンダーソン被告(CMC前代表)は裁判の過程で自ら「有罪」判決を下すよう裁判官に求める‟申し立て“を行った。これは米国の司法取引のひとつで有罪判決を下す(被告は認める)代わりに懲役刑などを除外してもらうというものだ。今回の事件は1級犯罪の重罪ばかりでこのまま裁判を続ければ有罪は確実となり、被告らは「執行猶予」ではない実刑判決は避けられないと判断したと思われる。実刑とは刑務所への収監(懲役刑)だ。罰金刑で早々に終えることができればこのリスクは回避できる。

しかし特捜部は別の可能性を視野に現在も捜査を続けている。その狙いは教団指導者である張在亨(デイビッド・ジャン)氏がこれら事件を指示したのではないかという疑いだ。また情報筋によれば、「不正に得た金の一部は日本側にも流れており、関連団体、企業側で使用された可能性がある」という。今回、2被告は有罪を認めたことで4月20日の判決で表向きには裁判は終わることになる。しかし、裁判官はそれまでに捜査段階で新事実が発覚した場合は2被告を拘留することもあり得ると告げた。

又、共謀したオリベット大学と同大学元理事長のアンドリュー・リン被告については現在も告発を受けた状態であり、同様の司法取引を申し立てる可能性が高い。

以下はニューヨークポスト(2月14日付)から引用する。

ニューズウィーク誌と米カリフォルニアにある小さなキリスト教大学は金曜日、詐欺行為で得た3500万ドル(約39億円)の資金洗浄事件に終止符を打つ策に出た。この事件はこの計画を主導した2人の重役らが自ら一部有罪を認める申し立てが行われたかたちだ。

ニューズウィークを所有するIBTメディアの前共同経営者だったエチエンヌ・ウザク被告とクリスチャン・メディア・コーポレーション(CMC)の前CEOウィリアム・アンダーソン被告は金曜日、米マンハッタン地方裁判所においてルース・ピックホルツ裁判官に対して資金洗浄事件と詐欺事件について一部の罪を認めた。

検察当局によるとコンピューター機器購入を名目とした不正融資は実際と異なる目的に使用され、メディア事業の継続、過去の借金返済、新規大学建設費、ニューヨークの不動産購入に費やされた。

裁判官は米司法取引のひとつである被告側がみずから有罪を認める代わりに懲役刑を除外する申し立てを受け入れたことになる。しかし4月20日の判決前に事件に関する新事実が発覚した場合、申し立ては取り消し、刑を執行することができると述べた。2018年3月にニューズウィークとIBTメディアの経営を退いたウザク被告は閉廷後に本紙のインタビューに次のように答えた。「私はこの件に今集中している」。

この有罪申し立ては、米マンハッタン地方検事のキュロス・バンス氏による4年にわたる捜査を経て出された。バンス氏は2018年1月、ニューズウィーク事務所への家宅捜査を行い18台のコンピュータサーバーを押収した。コンピューター機器メーカーのオイコスネットワークもこの事件に加担し、安価なサーバーをオリベット大学に高値で販売した詐欺行為を2月11日に認めた。

ウザク被告は詐欺の罪を2月11日に認め、CMCのアンダーソン被告は去年12月に2回目の法廷侮辱罪を認めた。IBTとCMCはそれぞれ5万ドル(約550万円)の罰金刑を科せられた。

このマネーロンダリング事件では、ニューズウィークのスタッフと経営陣(被告ら)の間で当時衝突が起きていた。編集長のボブ・ロー氏と上級管理職(編集)のケン・リー氏はウザク被告らが一体何をしようとしているのか社内調査に着手。ウザク被告とワールドオリベットアッセンブリーとの関係を調べる最中、同年1月に解雇されるという問題が起きていた。経営陣は張在亨の信奉者であり、従来から働くスタッフらは一般人だった。

その後、新編集長にナンシー・クーパー氏が就任。「なぜ、マンハッタン地検はニューズウィークとキリスト教大学とのつながりを捜査しているのか」という特集を掲載し注目を集めていた。

IBTメディアのオーナーはすべて韓国人聖職者であるデイビッド・ジャン(張在亨:ジャン・ジェヒョン)氏の信奉者であり、その信奉者らが保守福音派のクリスチャン大学であるオリベット大学の設立にも関与していた。サンフランシスコに小さな大学があり、マンハッタンの北約75マイルにあるニューヨークのウインデールの広大な土地に第2のキャンパスを建設する予定だったがその計画は実現しなかった。この土地はハドソンバレー精神科センターの跡地で残された建物が不気味に今も残っているままだ。

この事件に共謀し起訴されたオリベット大学とアンドリュー・リン(別名トニー・リン)前オリベット大学理事長は2月20日の裁判で同様の司法取引を申し立てする模様だ。