依然、クリスチャントゥデイと張在亨氏の異端疑惑が払しょくできない深刻な状態が続いている。CT側の報道は「事実ではない」。“報告書”の意味が明らかに

2004年6月17日、JEAが当時の理事会決議を経て理事長、総主事名で送信した調査結果に基づく報告書。これは声明文ではなく内部向けに発信される理事会決定による報告書である。(日本福音同盟提供)

取材に至るまでの経緯(2004年から2018年まで)

日本福音同盟(JEA)は2004年6月、当時の理事長と総主事の連名でクリスチャントゥデイに対する調査報告書を加盟団体、教団宛てに発信した。キリスト教界に突如、登場した正体不明の同紙の問題については、当時の代表だった高柳泉(いずみ)氏、他2名(編集長と記者)がクリスチャン新聞を含む関係先に挨拶回りしたことが発端とされる。その際に交わされた会話に矛盾を感じたクリスチャン新聞編集長(当時)根田祥一氏が韓国の大韓イエス教長老会統合派の新聞「韓国基督公報」に韓国側の実態を調査依頼した。韓国でも「確かにこのようなメディアはあるが運営母体がよくわからない」と回答を得ていたという。そのうち、設立者の張在亨氏が実は統一教会で学舎長という立場を持つなど教育、宣教機関の幹部だった前歴があることを韓国の有力紙であるニュースアンドジョイがスクープとして報じ、韓国基督公報からも注意喚起する情報がクリスチャン新聞側に届いた。

異端判定する部門を持たないJEAは、情報収集し加盟団体に必要な情報提供を行う立場にある。そしてクリスチャン新聞は当時もまた現在も、JEA加盟団体としてキリスト教界の情報を共有する関係にある。日本ですでに物議をかもしていたクリスチャントゥデイについて情報収集中だったJEAは、クリスチャン新聞からの資料提供により、韓国主要教団である統合派のメディア「韓国基督公報」の注意喚起と、クリスチャントゥデイの実態を暴いたメディア「ニュースアンドジョイ」の記事を確認した。こうしてJEAは韓国の情報をもとに調査を進め、協議の上、理事会で決議を行った。それが「クリスチャントゥデイの取材を受けないことにしました」という2004年の報告書だった。

このJEA報告書を受けて主に福音派は、クリスチャントゥデイの取材を拒否するようになった。そのころ、すでに同紙への評価は国内で割れていた。「実際に無断で撮影された」、「勝手に使われている」という苦情も多く出ていた。「取材に来た記者が自分の教会名を偽っていた」と証言する人も少なくない。ところがクリスチャントゥデイは、JEA報告書について、クリスチャン新聞の根田氏による同紙(クリスチャントゥデイ)への嫌がらせ、圧力であるとの主張を始めた。そして、今日に至るまで同様のさまざまな説を展開している。次第に異端疑惑が高まり、また2018年に起きた元スタッフらへの給与未払い問題(従業員声明)が出てくる中でも、クリスチャントゥデイ側は変わることなく、背後で根田氏が黒幕となって働きかけているとの主張を繰り返している。読者の中にも同紙記事からだけでなく、同紙代表の矢田氏から直接そう聞かされた人は多い。元スタッフらもこの主張を信じ、取材拒否を受ける中で必死にクリスチャン新聞側に問題があると訴え続けてきた。ところが、クリスチャントゥデイの実態が明らかになるにつれ、黒幕説は事実ではないことを確認することができた。福音派だけではなく、キリスト教界でこの黒幕説を信用する人は少ない。それでもなおクリスチャントゥデイ側が立て続けに発信するため、何が事実なのか、いまだに混乱があることは確かだ。

クリスチャントゥデイには一般的に異端性を伺わせる内容の記事は見当たらない。しかし、この背景には再臨主疑惑のある張在亨牧師を守り、「福音派の牧師」としてカモフラージュするための戦略が隠されているという証言が多く出ている。その証言を裏付ける動きのひとつが「新体制発足」にあったようだ。2011年、峯野龍弘氏(ウェスレアン・ホーリネス教団・淀橋教会主管牧師)が同社代表取締役会長に就任すると、一般から記者を公募し採用するようになった。それまでは、東京ソフィア教会として始まった張在亨氏の教会メンバー(牧師、宣教師、幹事)が運営に携わっていた。ところが張在亨氏の信者から一般信者に交代したのだ。一般人を起用してからは無断使用や無許可取材はなくなり、質の高い記事が次々と掲載されるようになったと評価する関係者も多い。クリスチャントゥデイの記事そのものに何の問題もないように思えるため、2004年のJEA報告書の有効性と取材拒否の問題性を問う声が、これ以降たびたび聞かれるようになった。「JEA報告書は何を伝えたいのかよくわからない」、「クリスチャントゥデイが異端であればそうだとはっきり言ってほしい」、そのような意見が牧師間で交わされていたことも事実だ。

ネット上の議論に加え、張在亨氏側の信者がSNSを駆使して事実ではない情報を拡散させたことにより、情報過多による飽和状態になっていた。情報が次々と入る中、正確な情報を拾えない状態が何年も続いたことになる。韓国では張在亨氏を「IT異端」と警戒する牧師も多い。世界中に無数の関連メディアを設立し、張氏を擁護するために虚偽や誤認を生じさせる報道を続ける。個人への誹謗中傷も厭わない。けれども韓国ではキリスト教有力紙が精力的に取材を進め、この実態を暴いた。私たちはその特集記事を多く読むことができる。異端カルト110番では、なぜ国内でクリスチャントゥデイ問題が混乱したのか、何が事実で、何が事実でないのか 様々な証拠をもとに各方面への取材を続けている。

今回、2019年4月に日本福音同盟(JEA)総主事に就任した岩上敬人氏(イムマヌエル綜合伝道団・牧師)に、2004年と2018年に発信された「クリスチャントゥデイの取材を受けないこととしました」というJEA報告書の意味について具体的に回答していただいた。憶測で独り歩きしていたJEA報告書の真意が今回明らかになった。正確な情報を知ることで軌道修正できればという思いからこの取材が実現した。

JEAはクリスチャントゥデイに関する報道を深刻に受け止め2004年のスタンスを確認するかたちで2018年12月18日に2度目の報告書を発信した。「深刻」と判断したリソースの一部を下記にリンクを付けて紹介した。(日本福音同盟提供)

関連リンク 「ダビデ張グループ脱会者が緊急声明 消えぬ苦痛・報復に怯える日々」(キリスト新聞社)「ダビデ張グループ詐欺罪で起訴 米マンハッタン地方検察庁の家宅捜索を経て」(キリスト新聞社)「クリスチャントゥデイ疑惑に新たな追及 脱会者ら緊急声明 代表語る」(クリスチャン新聞)

 

-2004年、2018年の報告書はどのような手続きを経て加盟団体、教団に発信されたのでしょうか?

JEAは福音的諸教団、諸団体が加盟するネットワークであり、宣教協力を推進するために、国内外の情報を収集して必要に応じて加盟教団・団体宛てに情報提供する立場にあります。ただ、いわゆる「異端」問題については、異端判定を行う団体ではないという点が基本ラインにあります。ですからJEAはクリスチャントゥデイについて異端と判断するための部門もなく、それについて明言したり、判断を下したりすることはありません。これは他の異端とされる団体に対しても同様です。2004年、2018年いずれの場合も報告書を出すために、さまざまなところからの情報提供を受けて話を聞き、調査を重ね、神学委員会においても協議しました。そして、JEAで収集した情報に基づき、どのように対応するか理事会が検討したうえで、決議を行いました。必要があれば、理事会の決定を加盟団体にお知らせすることにしていますので、今回も2004年同様に文書で加盟団体に通知しました。

 

クリスチャントゥデイ2018年12月19日「首謀者は根田氏か、ニュースNジョイか JEA報告書に見る本紙への陰湿な妨害」ページ引用。赤字囲みに注目

-クリスチャントゥデイは元クリスチャン新聞編集長の根田祥一氏が自社の広告収入をクリスチャントゥデイ紙に奪われたくないために市場を独占し、JEAの総主事、理事会に圧力をかけたと繰り返し報道しています。この報道に対するJEAの公式な見解を教えてください。

2004年と2018年のクリスチャントゥデイに対する報告書について、同社から実名を挙げて批判されている根田祥一氏、日本キリスト教団カルト問題連絡会などからの圧力を受けた事実は一切ありません。この点について前任の総主事から引き継いだ回答として明確にします。JEAは加盟団体に発信する公文書について、理事会の決議なしに送付することはありません。ですから2004年に発信した報告書について、JEAは理事会の決議を通さずに総主事(もしくは当時の理事長)が単独で発信したとされているなら、それも事実ではありません。

-取材を受けないという意味について教えてください。

JEAとしての基本ラインは「取材を受けないという以上の意味でも以下の意味でもない」ということです。そこに隠れた別の意図や圧力があるということはありません。クリスチャントゥデイについて、さまざまな情報があがっていることを一つひとつ精査しながら、JEA理事会は「クリスチャントゥデイから取材を受けない」という2004年の判断を再確認したということです。

これまでクリスチャントゥデイについては、異端的な団体であるという疑念が払しょくできない状態が2004年から14年間にわたりずっと続いており、様々な情報が交錯する中でJEA内でも問題に対する混乱がありました。そこでもう一度はっきりするべきだと理事会で協議した結果、2004年当時のスタンスは何も変わっていないことを明確にすることにしました。

JEAがクリスチャントゥデイに対して理事会決議で報告書を出すにあたり、情報源、根拠はどこから得たのでしょうか?

JEAが異端判定をする団体ではないことは既にお伝えしました。報告書には「深刻に受け止めている」という表現が記載されています。この「深刻」とは、クリスチャントゥデイと張在亨氏の異端疑惑、実在する被害者(脱会者)、元スタッフの問題、アメリカで起きた巨額詐欺事件について深刻に受け止めているという意味です。特に実際に関係者が起訴されています。この犯罪性という部分は大きいです。JEAはこのような問題が同社周辺で次々と行ったことを見て、「疑わしい」、「深刻だ」というかたちで発表せざるを得ない状況になったと考えてください。これも特定の人物や団体の意見に動かされた事実はありません。

JEAとしてクリスチャントゥデイの取材は受けないのでしょうか?

JEAが主催するイベント、大会、関連するものへの取材依頼をすべて断ります。勝手な取材も認めません。

加盟団体、教団についてはどのように求めますか?

JEAは加盟団体に対して強制力があるわけではありません。クリスチャントゥデイによって生じている問題が深刻な状態なので、JEAとして取材を受けないとする2004年の判断を理事会は再確認しました。その判断を踏まえたうえで、改めて各教団、団体で判断をお願いしますということです。

クリスチャントゥデイや擁護派は「報告書の有効性」についても異論を唱えています。

JEA理事、総主事にはJEA規約で規定された任期があり、理事長、理事、総主事も人が入れ替わります。けれども理事会での決議は基本的にすべて引き継がれていきます。ですから、人が代わったからといって、それまでの理事会の決定が覆されることはありません。過去の理事会で決議した内容を変える必要が生じた場合は、どうして変更する必要があるのかを明確にした上で、改めて理事会で決定することになります。また変更に対する説明も加盟団体に対してなされます。2004年の「クリスチャントゥデイに関する報告書」についても、JEAでは、当時の理事会の判断を変えるようなことはしていません。ですから報告書の有効性は、当然現在も続いています。

今後のこと、JEAから加盟団体、教団へ伝えたいこと

 日本ではさまざまな異端・カルト団体がキリスト教界に入ってきています。ネット上の噂やフェイクニュースに惑わされることなく、できる限り正確な情報を共有しながら、被害に遭わないように互いに注意したいと思います。JEAは福音派諸教団、諸団体の大きなネットワークですから、情報共有の面で役立ちたいと願っています。

 

編集部より読者の皆様へ 本取材記事は日本福音同盟(JEA)の理事会が確認した公式回答に基づいて掲載しています。