サラン(愛)第一教会のチョン・グァンフン牧師に対する批判が殺到している。韓国政府が国をあげて新型コロナ感染予防に努める最中、世論と逆行するさまざまな問題行為を続ける姿に国民の怒りは収まらない。昔から失言王と揶揄されてきたチョン牧師の行動を時系列にまとめた。今回は提携メディアである韓国の月刊現代宗教の記事を中心に紹介する。一部、本紙の解説を交えながら報じたい。

2019年4月3日 異端規定を受けているピョン・スンウ氏の異端解除、そして彼を韓国基督教総連合会共同会長に任命

チョン牧師は2019年2月15日、韓国基督教総連合会(韓基総=通称CCK)代表会長に就任後、すぐに韓国主要教団が異端に規定しているピョン・スンウ牧師を会長権限で異端解除した。3月4日の役員会にピョン氏を出席させ紹介。チョン牧師からCCK加入を速やかに承認するよう執行部に指示した。3月11日、執行部はピョン氏の加入審査を終え「異端性なし」と結論を下した。4月8日、チョン牧師とピョン氏は並んで会見。ピョン氏を共同代表に任命した。この事態に主要教団側から激しい反発を受けた。

CCK代表会長チョン牧師(写真=左)。異端解除されたピョン・スンウ牧師(写真=右)。賄賂を渡して異端解除した買収の容疑で二人は在宅起訴された。(画像:現代宗教)

2019年8月30日 チョン牧師、所属していた大韓イエス教長老会白石大神教団から免職および除名処分を下される

チョン牧師は自分が所属する大韓イエス教長老会白石大神教団の理事会から公式に免職及び除名処分を受けた。彼は教団の牧師職を失い追放されたことになる。極めて重い処分だ。教団側は処分の理由を次のように明らかにした。▲チョン氏の信仰と行為が聖書と憲法、または本憲法に基づいて規定された諸規約に違反する行為と認められた ▲礼拝を妨害する行為が認められた ▲異端行為(反聖書的行為)と異端に同調する行為が認められた。この3項目を理由に教団規定に基づいた処分が下されたという。ところが、チョン牧師は処分が決定すると自分は大韓イエス教長老会大神復帰教団の牧師だと主張し始めた。

セクハラ、パワハラ、詐欺、不正経理、女性蔑視発言、デマ拡散など数え切れない問題で改善要請と告発を受けているチョン牧師(画像:ニュースアンドジョイ)

2019年10月22日 牧師とは思えない問題発言で批判が集中

チョン牧師は大規模反政府集会で「私は神の補佐として日々歩んでいる」と発言。また別の集会で「動くなよ、神。私に反抗するなら神は私に殺されるぞ」と神を冒涜する発言をした。チョン牧師いわく「友人である神とは冗談を言い合える仲だという意味で述べた」と釈明している。さらに「私は神と仲がいい。親しい間柄だ」とも発言しキリスト教界から批判が集中した。

2020年1月2日 反政府集会を主導した容疑 裁判所はチョン牧師の逮捕状請求を棄却

警察はソウル光化門(グァンファムン)で2019年10月3日、保守派団体、極右系グループの反政府集会を率い暴力行為を主導した容疑でチョン牧師の逮捕状を請求した。しかし、ソウル中央地裁は「集会現場での被疑者の具体的な指示や関与の度合い、捜査経過及び証拠収集の程度を考慮すると現段階で拘束の理由や拘束の必要性、相当性は認め難い」という理由で請求を棄却した。

2020年2月13日 CCK加入の8つの教団がチョン牧師に注意要請 異端性濃厚と結論

CCK異端対策委員会は会長であるチョン牧師について「韓国教会と信者たちに信仰的な被害を与える」と憂慮する声明を発表した。「私に反抗するなら神は私に殺されるぞ」という発言についてチョン牧師は「聖霊充満による言葉だ」と主張を変え始めた。彼の言動に作り話や妄想も多く、関係者はそのたびに振り回されてきた。「虚言が多く、非信仰的だ。チョン牧師のせいで韓国教会全体が悪いイメージをもたれる結果となった。どうか、韓国教会は彼から悪影響を受けないよう十分注意してほしい」と要請した。また、同委員会は神学的に異端性が濃厚だとの報告書をまとめ臨時総会で異端規定をはかることを明らかにした。本紙は次のように分析している。CCKは基本的に現政権に反対の政治思想を強く掲げており、チョン牧師擁護派と反対派で対立が深まることが懸念される。

2020年2月24日 チョン牧師逮捕

公職選挙法違反の疑いで逮捕された。チョン牧師は反政府集会や自分の教会で特定の保守政党に対する支持を訴えたとするもの。2017年にも同様の罪で逮捕、起訴されておりこれで2度目となる。

2020年4月20日 チョン牧師の保釈が許可 健康上の理由を強調 周囲は疑問視

逮捕され拘束されていたチョン被告が56日ぶりに保釈された。チョン氏の弁護人は「健康状態が極めて悪い。突然死の可能性がある。だから保釈が認められた」と主張した。チョン氏は保釈金5,000万ウォン(約500万円)を納め、違法集会とデモへの参加禁止、住居地制限などの条件が課された。ただ、本当に健康を害しているのかと周囲から疑問視する声があがった。

2019年10月3日の反政府集会に参加したピョン氏。賄賂を渡してCCK会長のチョン氏を買収した容疑で在宅起訴されている。韓国主要教団はピョン氏を異端規定している。(画像:ニュースアンドジョイ)

2020年7月8日 背任収賄の疑いで在宅起訴

警察は、チョン牧師がCCK会長の立場で異端解除を行なった際、見返りに数億ウォン(約数千万円)を受け取った買収容疑で在宅起訴した。金品を渡した疑いでピョン・スンウ氏も在宅起訴された。これでCCKが異端(カルト)と密接な関係にあることが社会に明らかになった。

クラスターが発生した愛第一教会。立ち入り禁止にもかかわらず一部の信者が現場を離れようとしない。(画像:news1)

2020年8月15日 禁止された反政府集会を主導した疑い 数千人の極右キリスト教団体を率いて暴言を繰り返す 自分の教会はクラスター発生、コロナ感染は中国産細菌テロだと主張

チョン牧師は保釈中の身でありながら禁止された反政府集会に参加。数千人を率いて文在寅(ムン・ジェイン)大統領退陣を迫った。チョン牧師は保釈条件として「反政府集会参加禁止」を言い渡されている。法律で禁止された集会を主導した疑いと保釈条件に違反した問題で警察は捜査を開始。愛第一教会はクラスターが発生し混乱を招いたにもかかわらず、チョン牧師は「中国産細菌を政府がばらまいた」などと発言。「私はコロナにかかっていない」と強調していた。愛第一教会側も「文在寅の命令で会場に装甲車が現れた。ひき殺された教会員がいる」とデマ情報を広めた。防疫センターの検査を拒否し教会員名簿の提出まで拒むなど非協力的な対応で批判が集中した。現地メディアは「愛第一教会は地域からカルトと警戒されている」などと報じた。この教会も牧師の影響か極右傾向が強いとされる。

コロナ感染が確認され病院へ搬送される際もマスクを外し大声で電話をしていた。この様子がメディアにより放送され「常識がない牧師」とさらに批判された。(画像:news1)

2020年8月17日 チョン牧師 新型コロナに感染

チョン牧師はソウルの某病院で検査の結果、新型コロナ陽性と確認された。すぐにソウル市内の医療センターに搬送された。チョン牧師の妻と秘書も感染したことが判明した。チョン牧師に関係したコロナ感染被害は2月の新天地よりも深刻だと現地メディアは報じている。

2020年8月19日 韓国教会総連合(UCCK)とキリスト教牧会者協議会、韓国キリスト教教会協議会(NCCK)は合同で謝罪声明を発表

韓国主要教団が加入する韓国教会総連合(UCCK)を中心にキリスト教牧会者協議会、韓国キリスト教協議会(NCCK)は合同で声明を発表し、この度の愛第一教会でのクラスター発生とチョン牧師の問題行為について韓国教会を代表して国民に謝罪した。声明では、チョン牧師への厳しい処分を求めた。韓国教会が一致して防疫センターの検査に協力し国民を裏切ることがないよう精一杯努力する」という内容でまとめられた。

肝心の韓国基督教総連合会(CCK)の反応は?

CCKはチョン牧師の言動について異端対策委員会が「異端性濃厚」と結論を下した。ごく一部の牧師らは組織改革を求め、チョン牧師と距離を置き始めている。しかし、CCKの公式サイトは政府を批判するチョン氏の思想がそのまま反映されるかたちで声明が掲載されたままだ。「反政府集会を禁じる措置は宗教弾圧だ」「礼拝の自粛を求める行為は政府側が目をつけている教会への嫌がらせだ」とする内容だ。マスク着用など最低限の予防策も否定するような文章が載っている。CCKは主要教団から異端カルトとされる人物らが率いる教会が多数加入している状態だ。こうした勢力がCCKブランドを利用し続けるためだけに広報を牛耳っているとされる。日本の福音派教団の協力団体である日本福音同盟(JEA)は2012年、このような異端問題が主な原因で韓国の主要教団が離脱したCCKは事実上、韓国教会を代表する連合体としての立場を失っているとして宣教協力を解消した。まさに名ばかりの団体だ。一般的に韓国教会はCCKの解体を強く求めている。

異端・カルト110番関連記事 CCKとはhttps://cult110.info/column/2019-cck-943218-c/

月刊現代宗教は次のように指摘している。「チョン・グァンフン牧師は目に余る反国家主義者であり、非聖書的発言を続ける牧師として韓国世論から激しい反発を受けている。コロナ感染後、彼の教会員は防疫センターの検査を妨害しようとした。このような姿に国民は憤っている。チョン牧師は韓国基督教総連合会という団体の会長であり、キリスト教界で公的な立場にいるひとりだ。彼の身勝手な言動で韓国教会のイメージが損なわれ信用まで失いかけている。」

光復節(8月15日)、禁止されている反政府集会に数千人が参加した。防疫センターは数千人規模の感染拡大について「可能性がある」とコメントしている。(画像:ニュースアンドジョイ)

本紙、異端・カルト110番【解説】

現地メディアは19日、チョン牧師が主導した疑いのある反政府集会が原因で今後少なくとも数千人規模の感染拡大の可能を報じている。当日は機動隊が約6千人以上配置された。いかに多くの人が光化門に集まったか容易に想像できる。彼らも感染の疑いがあるようだ。愛第一教会関係者の感染は8月12日から19日のたった一週間で600人以上まで膨れ上がった。2月の新天地による感染拡大と違う点は、人口密度が高い首都ソウルで発生したことにある。教会関係者は新天地と異なり、どこかの教会や団体に偽装して潜伏(布教を成功させるために)する必要はない。もちろん、そのような活動を推奨する教会でもない。ところが、チョン牧師がコロナ感染は国の陰謀だと強調し、教会も再開発で立ち退きを求められている最中とあって信者も反発意識が強いことは事実。チョン牧師の思想が強く反映される教会であることも確かだ。

現地のクリスチャンに電話で取材した。ソウル市在住Aさんは「チョン牧師のせいで韓国教会全体がおかしなことをしているように思われる。ほんの一部に過ぎないのに残念だ」と嘆く。Bさんは「愛第一教会の信者はヤクザのような口調で防疫センター職員に抵抗していた。なぜあんなふうになるのか」とコメントした。Cさんは「チョン牧師によって教会が分裂している。常軌を逸した信仰だ。牧師として神を冒涜する発言もやめてほしい」。単なる韓国的礼拝スタイルがコロナ感染の原因とは言い切れない状態だ。新天地は異端・カルトとされ多くの問題を抱える宗教団体だ。内部の様子が表面化されることを恐れ、初動の検査を拒んだ。結果、教祖は感染症予防法違反など4つの罪で逮捕された。

社会的ルールに従わない「非常識」さもカルトの特徴なのだとよくわかる事件だ。警察はチョン牧師を感染症予防法違反の疑いで捜査している。現地メディアは入院中のチョン牧師が回復したタイミングで拘束されるのではと報じている。

 

この記事は韓国の異端問題専門誌「月刊現代宗教」の記事を中心に現地メディアの情報と本紙が独自に取材した内容から日本人読者向けに一部編集したものです。