宗教ニュースサービス
6月14日にミネソタ州議会議員とその夫を殺害し、州上院議員とその妻を銃撃した容疑で逮捕されたヴァンス・ボエルター容疑者(57)は、近年コンゴ民主共和国で説教を行ってきた福音伝道者であることが、米メディアで報じられた。一部では「福音派」とも伝えられたが、宗教ニュースサービス(RNS)はボエルター容疑者が「霊の戦い」について説教していた記録があり、「神は教会を正すために使徒と預言者を立てる」と語っていたことを報じている。

RNSのニュースリリースを掲載した6月16日付の米福音派誌Christianity Today
RNSによると、2023年2月付の動画で、ボエルターがコンゴ民主共和国の西部海岸にあるマタディの教会「ラ・ボルヌ・マタディ」で説教している様子が確認できた。ある説教で、彼は聴衆に「人々は自分の性別が分からない」と述べ、その理由は「悪魔が彼らの心と魂に深く入り込んでいるから」だと説いている。
ワイアード誌によると、2021年から2023年にかけて同教会で行った3回の説教のうちの1つで、ボエルターは聴衆に「多くの教会は中絶が間違っていることを知らない」と述べた。「彼らは贈物が受けていない。神は体に賜物を与えている。それはバランスを保つためだ。体が間違った方向に進み始めた時、彼らが一つとなり賜物を受け入れるなら、神は使徒や預言者を起こして彼らの道を正すでしょう。」
「神は彼の教会を正すために、アメリカに使徒と預言者を起こすでしょう」とボエルターは付け加えた。
現在は閉鎖されているリフォーメーション(訳註:New Apostolic Reformation=新使徒的改革/通称「新使徒運動」を指すと思われる)のウェブサイト(ボエルターが設立した非営利団体とされる)のプロフィールには、彼が1993年に按手を受け、ダラスにあるカリスマ派の「聖霊に満たされた聖書学校」クライスト・フォー・ザ・ネイションズ・インスティテュートに通ったと記載されている。同校のウェブサイトによると、同校は奉仕のスキルを育成する目的で設立された。
経歴には、ボエルターがエルサレム、ガザ地区、西岸地区に滞在し、「過激派イスラム教徒を探し出して福音を広め、暴力は解決策ではないと伝えるため」に活動したとも記載されている。
ボエルターはミネソタ州のセントクラウド州立大学で国際関係学の学位を取得し、ミルウォーキーのカーディナル・ストリッチ大学で経営学の修士号とリーダーシップの博士号を取得した。
ミネソタ州の警察当局は、ホルトマン家の外に停まっていた車から、70人以上の名前が記載されたリストが発見されたと発表した。そのリストには、2024年の民主党副大統領候補だったミネソタ州知事ティム・ウォルズ氏や、米国下院議員イルハン・オマル氏が含まれていた。
報道によると、ウォルズ知事は2019年にボエルターをミネソタ州の労働力開発委員会に任命していた。