「異端ねつ造の黒幕」「言論破壊工作の黒幕」「魔女狩り」「CT批判を主導」——これらはネットメディア「クリスチャントゥデイ」で根田祥一本紙編集顧問(前クリスチャン新聞編集長)を名指しで非難する記事に付けられた見出しの形容です。こうした文言を見ただけで「このメディアは普通じゃないことが分かります」という人がいる一方、このような記事を真に受けて「根田氏がCTを誹謗中傷している」という主張を信じてしまう人が牧師の中にもいます。同じ情報から正反対のリアクションが出てくるのはどうしてでしょうか?

CTの記事で根田氏攻撃が始まったのは2007~8年ごろのこと。2006年からブログで張在亨(ジャン・ジェヒョン)氏の「来臨のキリスト」疑惑を追及していた救世軍の山谷真少佐に対し、CTが名誉毀損で損害賠償を請求する民事調停を起こし、山谷氏が調停を拒否して裁判に発展した経緯をクリスチャン新聞が報道し始めてからのことです。クリスチャン新聞に関係記事が載るとCTは敏感に反応して「異端ねつ造の黒幕は根田氏」「根田氏がCT批判を主導」などという活字が見出しに踊るようになりました。

当時CT社長だった高柳泉氏はたびたびクリスチャン新聞を訪れ、「根田さんと山谷さんはいつからのお付き合いですか。ずっと前から知っていたんでしょう」としつこく尋ねたといいます。まるで山谷氏にブログを書かせているのは根田だろう、というかのように。どうしても「根田氏が異端ねつ造の黒幕」という図式で説明したかったようです。ずっと後のことですが2018年になってCTや関連組織の元スタッフだった脱退者たちが証言するようになり、内部では「根田さんが諸悪の根源だとしょっちゅう教えられていました」「根田さんを攻撃するように上から指示があり、実は私も2ちゃんねる(掲示板)で根田さんの悪口を書いたことがあります」などという体験談がボロボロ出てきました。「上から指示」というのはCTの社長や編集長という意味にも取れますが、そのCT幹部たちに指示を出していたのはダビデ張氏の意を受けた韓国人宣教師たちであったことが、内部向けのチャットの記録から分かっています。そこには「根田を潰せ。早くやれ」などの指令が読み取れます。

 

クリスチャントゥデイの内田周作氏(当時記者・現副編集長=淀橋教会員)に対し、韓国CT日本支局記者で大韓イエス教長老会合同福音教団の宣教師が「先生」こと張在亨の指示をスタッフらに伝えている内部チャット。CTと救世軍士官山谷真氏(牧師)との民事訴訟で当時被告側の山谷氏弁護人が提出した証拠のひとつ。当時はCT運営に張氏の教会信者しか従事していなかった。(顔の写真部分は状況をわかりやすく理解するために本紙で編集したものです)

当時CTの記事本文では、新興キリスト教メディアであるクリスチャントゥデイが競合メディアであるクリスチャン新聞のシェアを奪ったため、それを妬んだ根田氏がCT異端疑惑をねつ造した、というストーリーが繰り返し強調されていました。この話はCT社長の矢田氏から多くの人が聞かされて来た主張です。読者の中にもそう聞いている方がいることでしょう。しかし、クリスチャン新聞がクリスチャントゥデイと競合したことはありませんし、読者や広告をCTに奪われたなどという事実も存在しません。

「ねつ造」と誹謗された当時のクリスチャン新聞が報道したのは、山谷少佐に対する提訴の記事(2008年7月6日付)のほか、香港キリスト教界の独立調査団がCTについて「異端である高度な可能性を排除できない」との調査結果を報告した(2008年7月20日付)、その香港独立調査団に対し当時の韓国基督教総連合会(CCK)韓国異端似非対策委員会の中心メンバー3人が、「ダビデ張在亨牧師の97年以降における統一協会との関わりを証拠立てることはできなかった」という2005年のCCK公文書は張氏の異端嫌疑が存在しないと声明したものではないと表明した(同7月27日付)、韓国クリスチャントゥデイの元広告局長イ・ドンジュン氏が記者会見で「私は張氏を再臨主と信じていた」と証言した(同10月5 日付)など事実の客観報道、いわゆるストレートニュースです。それを「ねつ造」と決めつけるほうが、よほど事実を歪曲する「ねつ造」です。

それらの報道にCT側は激しく反発しましたが、記事の内容を否定できるような客観的事実で証拠立てた反論報道はありませんでした。その代わりにCTが対抗記事でしたことは、上記のような根田祥一クリスチャン新聞編集長(当時)への誹謗中傷、CCK異端似非対策委員が神学的に異端であるという誹謗中傷(のちに事実無根であることが判明)、韓国で2004年にいち早く張在亨氏の統一協会前歴をスクープして以来異端疑惑と組織の反社会性の追及を続けてきたネットメディア「ニュースNジョイ」関係者が左翼労働運動や北朝鮮の主体思想に関係しているという誹謗中傷(のちに事実無根であることが判明)など、いずれも根拠の曖昧な個人攻撃に終始したのです。証言者イ・ドンジュン氏に対する中傷に至っては、「イ・ドンジュン氏は広告局長などではなくアルバイトにすぎなかった」と言いだす始末。イ氏がれっきとした韓国CTの元広告局長であり、張氏が率いる大韓イエス教長老会合同福音の中心的な教会の教職者であったことは、裏付けとなる証拠があるにもかかわらず、です。これがまさに「ねつ造」されたフェイクニュースそのものの実態です。

政治的な立場や信仰的な見解の相違から生じる論争であれば、どんなに激しい批判の応酬になったとしても健全な言論活動の範疇と言えるでしょう。言論には言論で反論し、事実や認識が違っていれば客観的裏付けをもって批判すればよいのです。だがCTの対抗記事は批判者を人格的に貶めるだけで、事実を根拠に論駁し得たものは見当たりません。メディアや異端・カルト専門家から事実に基づく批判を受けたにもかかわらず、それに正面から答えず人格攻撃に終始するような言説は反論でもなければ批判の名にも値しません。まさにそれこそ「誹謗中傷」以外の何ものでもないのです。

このように「批判」と「誹謗中傷」は、その記事の書き方や内容を注意深く見れば違いを判別できるはずです。にもかかわらず、キリスト教界で多くの役職を務めてきたベテラン牧師たちが何人もCTの誹謗中傷をフェイクニュースと見抜けず真に受けてしまったのは何故なのか? そこには真偽を自分の目と耳で確かめることをせず「立派な先生の言うことだから」と肩書や印象だけで無批判に受け入れてしまう無責任、自らの直感的な判断を過信する驕りがないでしょうか。CTに利用されてしまった牧師たちはいずれも、面倒見の良い親分肌でそれなりの責任ある立場を持つ人々であることが共通しています。この牧師たちは「アメリカ留学中に信仰を持ったので日本には所属教会がありません」という経歴詐称を見抜くことができず、「異端扱いをされ迫害を受けているので助けてください」と頼られて情にほだされ、意気に感じてしまったのでしょうか。

自らを頼って近づいて来る者の素性を確かめもせずに受け入れてしまうのは、良く言えばお人好しですが、情報を読み解くメディアリテラシーがあまりにもお粗末と言わざるを得ません。情報の裏を取りさえすれば、それが事実か虚偽かは調べがつくはずですが、CT擁護者たちのほとんどが情報の裏付けをきちんと確認した形跡は見当たりません。その牧師たちがCTの協力者となったことを知って何人もがCTの実態を忠告しましたが耳を貸すことなく、誤りを正直に認めて判断を翻した人はごく稀です。取締役やスタッフになっていた信徒たちの中には誤りを認めて手を引いた人たちもいますが、「悔い改め」を説いてきたはずの牧師が自らの非を認めず、いつの間にかフェードアウトしたように見えるのは不可思議です。

この回の最後に、実際の誹謗中傷記事がどのようなものか、実例を見ておきたいと思います。まず「根田祥一氏、言論破壊工作の『黒幕』であることが明らかに」という見出しの2018年2月20日付CT記事。

〈以下引用〉

本紙に対する言論破壊工作に関する数多くの情報が寄せられる中、本紙の記事(2月17日付)を受け、日本基督教団統一原理問題全国連絡会(以下、連絡会)に関わる齋藤篤牧師(同教団深沢教会)が同日、根田祥一氏(クリスチャン新聞編集顧問)と連絡会に関する新事実を明らかにした。根田氏が2016年9月に連絡会で講演したことが発端となり、本紙に対する「検証」を始めたという。根田氏は、議長声明の草案が議論されたとされる昨年10月の連絡会にも参加しており、根田氏がきっかけ作りから、議長声明に至るまで連絡会に関与し続けてきたことが明らかになった。

〈引用以上〉

「根田祥一氏、言論破壊工作の『黒幕』であることが明らかに」という見出しの2018年2月20日付CT記事(画像:CTより引用 広告部分はモザイク処理しました)

冒頭のっけから「本紙に対する言論破壊工作に関する数多くの情報が寄せられる中」と、CTに向けられた多くの疑惑に対する報道に答えようとしないばかりか、開き直って「言論破壊工作」と切り捨て、「数多くの情報が寄せられる中」と自らが被害者であるかのごとく装う印象操作から始まります。そして、日本基督教団が石橋秀雄総会議長名で2018年1月「キリスト教として同一の線に立つことは出来ない」との判断を再確認する声明を出したことに対し、あたかも「根田氏がきっかけ作りから、議長声明に至るまで連絡会に関与し続けてきた」という「新事実」が明らかになったように見せかけています。しかし、そこには何ら「新事実」など存在しません。根田祥一クリスチャン新聞編集顧問が統一原理問題全国連絡会で講演したという事実と、教団議長声明が出されたという事実を無理やりつなげ、まるで議長声明を出させるように画策したのは根田氏ではと言わんばかりに印象づけようとしています。

議長声明に疑惑を名指しされたメディアがするべきことは、疑惑は事実ではないと言いたいならそれを証明する根拠を挙げて反論することです。ところが肝心の「キリスト教として同一の線に立つことは出来ない」との議長声明に対して理にかなった反論もその客観的な根拠を示すこともせず、ひたすら個人攻撃の印象操作に終始して本論から目をそらそうとしているのです。この記事が出された時は、元従業員たちがCT側から給与未払いをはじめとする労使問題に直面し被害を被っていました。CTから「黒幕」などという記事が出されると一部の良識ある取締役から「記事の内容は普通ではない」と不信感を露わにする発言がありました。こんなことが事実ではないことは経営側が一番よく分かっていたからです。それでも矢田氏は当時会長だった峯野氏の制止を無視しました。

 

もう一つ、「根田祥一氏による『魔女狩り』騒動に関して」という見出しの2018年2月18日付CT記事。

〈以下引用〉

クリスチャン新聞(2月16日付)のコラム「落ち穂」で、本紙に対する記事が掲載された。本紙に対して何かあれば、紙面を通して問題提起すればよく、それは本紙も紙面で応じる。そうすれば読者が真偽を見極めるだろう。同コラムには『来臨のキリスト』と信じさせているとの情報の確度が増した」とある。しかし一連の騒動は、信仰の弱い人を説得・懐柔し、被害に遭ったかのように思い込ませ、その上で、その証言を使ってあたかも今年新たな問題が出てきたかのように脚色し、騒ぎ立てているだけのように見える。

〈引用以上〉

「根田祥一氏による『魔女狩り』騒動に関して」という見出しの2018年2月18日付CT記事(画像:CTより引用 広告部分はモザイク処理)

面白いことにこの文章は、クリスチャン新聞が「紙面を通して問題提起」せずに、「その証言を使ってあたかも今年新たな問題が出てきたかのように脚色し、騒ぎ立てているだけのように見える」と、まるでクリスチャン新聞が根拠もなしに騒いでいるかのような書きぶりです。しかしこのクリスチャン新聞2月25日付(16日付は誤り)コラムは、当時外部から採用されてCTに勤めていた本紙編集長を含む7人の従業員が勤め先にかけられていた異端疑惑に向き合い、裁判資料などを調べて突き止めた事実をもとに従業員声明を出したことを論評した記事でした。確かな「根拠ある」報道ですから、CTが自ら述べているように紙面で応じればよいのです。しかしCTは、従業員声明で問われた疑惑の真偽には何一つ具体的に反論することなく、「信仰の弱い人を説得・懐柔し、被害に遭ったかのように思い込ませ」とその証言価値を貶めるような印象操作に終始しています。いったい、CTの内部で数年間働き社長に疑問点を問いただした7人が「信仰の弱い人」だという根拠はどこにあるのか。その人々をいつ、誰が、どのように「説得・懐柔し、被害にあったかのように思い込ませ」たというのか・・・どこにも根拠や証拠は示されていません。

本紙はCTの記事とは異なり、相手側の主張を載せ、引用した上で読者が公平に判断できるように紹介しています。CTのように多くの事実から、自分たちに有利となるごくわずかな事実を摘出して大きくみせるような印象操作はしません。

以上、ここに挙げたのはほんの一端ですが、健全な「批判」と根拠のない「誹謗中傷」が根本的に別ものであることが分かっていただけたでしょうか 。

 

クリスチャントゥデイ現役スタッフが声明 社長、編集補佐が異端疑惑の説明責任果たさず