静岡県御殿場に本部を構える「あいのひかり教団」(オリベットアッセンブリー)。代表牧師家族を含む、複数の信者が本部で共同生活をしている。(画像:あいのひかり教団公式サイトより 青い屋根の建物とその左側の敷地が本部)

再臨のキリスト疑惑がある張在亨(ジャン・ジェヒョン)氏が率いるワールドオリベットアッセンブリー(WOA)日本支部教団である「あいのひかり教団」(オリベットアッセンブリーに改称)は違法性がうかがえる宗教法人格の売買に手を出し、不正に「法人格」を取得したことが明らかになった。また、取引の過程で仲介業者M氏による書面の偽装にあいのひかり教団も関与していた。広島県呉市にあるアメン教団本部教会に無断で忍び込み室内から重要書類を盗み出した疑いも出てきた。90年以上の歴史あるアメン教団の沿革をあいのひかり教団側のものであるかのように粉飾するなど、不健全な実態が浮き彫りになった。今回、アメン教団最後の代表I氏の協力により、事件の真相が明らかになった。宗教ビジネスの闇に迫る。

宗教法人は簡単には設立できない。厳しい審査基準がある

オウム真理教事件以降、日本では新たな宗教法人設立に関する審査が非常に厳しくなったと言われている。宗教団体が新規に宗教法人(以下、法人格)を設立する場合、取得までに最低でも3年以上かかり、その間、所轄庁に通い詰めるなど大変な労力が必要となる。年間での設立枠も決まっており、事前審査で却下されるケースも少なくない。審査する側は一言一句不備がないか繰り返し書類を確認する。ようやく、法人格の設立申請が通っても教会側は所有する不動産、自動車など様々なものを届け出変更しなければならない。それでも法人格をもつことで社会的信用は高まり、税制面では固定資産税、不動産取得税などが免除されることから申し込み件数は減らないという。

横行する法人格売買 違法性はグレーゾーン 悪用されるケースも

法人格を悪用する脱法行為が後を絶たないという。実態がない架空団体が脱税や不法行為の隠れ蓑として闇ルートで法人格を売買するケースが横行しているのだ。全国で休眠状態にある法人は4000件、5000件とも言われている。ネットで検索すると「宗教法人売ります・買います」と書かれた販売情報が溢れている。歴史ある宗教団体の法人格は相場で2000万円から5000万円で取引されるようだ。法人格売買は法律に違反しないのか。所轄である文化庁担当者に聞いた。「法人格の譲渡、売買を法的に取り締まることは非常に難しい。ただ、原則認めておらずグレーゾーン扱いになる」との回答を得た。現行法での取締は限界があるようだ。それでも売買の過程で起きる金銭トラブルや詐欺行為がきっかけとなり事件に発展するケースも少なくない。過去には法人格に絡んだ脱税事件で摘発された例もある。

今回発覚したあいのひかり教団による不正な法人格取得はモラル、良識に反した「反社会的」行為としてキリスト教界から一層強い批判と追及を受けることは確実だろう。

2011年7月、アメン教団(売手)とあいのひかり教団(買手)で交わされた法人格を含む継承契約書。法人格は1000万円で売買された。(実物の売買契約書)

あいのひかり教団は90年以上の歴史をもつアメン教団の宗教法人格を買い取った

1929年に設立されたバプテスト系キリスト教団「アメンの友」(アメン教団)は信者の高齢化による教勢の低下、後継者不足が重なり事実上「休眠状態」になっていた。広島県呉市の山奥にあるアメン教団本部教会も最後の理事長(牧師)I氏が管理してきた。宗教活動が完全に停止し、かさむ施設の維持費を少しでも補うため、法人格の売買を決めざるを得なかったという。I氏はネットでなにげなく検索した都内B社(所在不明)に問い合わせると、行政書士の業者M氏を紹介された。2011年、業者M氏から「最近教会を始めたばかりのキリスト教あいのひかり教団が法人格を買いたがっている」と連絡が入った。I氏は業者M氏の指示に従い、準備された書類に押印したという。

「法人格は売買したが、表向きにはアメン教団の総会決議を経て教団名の変更が決定され、あいのひかり教団になったという段取りで進めた」とI氏は証言した。

仲介した業者M氏は自称3万年前から続く石棒祭祀の流れを汲む北海道に境内を構える宗教法人K神社88代目宮司を務める傍ら、行政書士を商いとする人物であることがわかった。都内の事務所内に北海道K神社の東京分祠を構えている。K神社公式サイトには宗教活動の一環として「開運」「授与品」とされる販売コーナーが設けられていた。取引の過程で買手(あいのひかり教団)連帯保証人を務めた業者M氏が宮司を務めるK神社東京分祠では、開運グッズの通販サイト代金振込み先が「あいのひかり」名義だったことも確認した。あいのひかり教団との利害関係については不明だ。しかし、仲介業者が買手の法人名を自分の神社の収益事業に利用するのは不自然だ。「K神社とあいのひかり教団が繋がっているのでは?」こんな噂がネット上で広がると、K神社のHPから「あいのひかり」名義の口座は削除された。

仲介業者M氏はK神社の宮司を務めている。(写真左 フェイスブックから)買手のあいのひかり教団尾形大地氏(総会議長=牧師)は2004年頃から張在亨氏の教団(通称・共同体)で活動している人物だ(写真右 あいのひかり教団公式サイトより)。

書面上で見せかけの名義変更が行われたことが明らかに

2011年の売買契約完了後、2012年にはアメン教団の代表役員にK神社88代目宮司を務める業者M氏、張在亨氏の日本支部教団牧師である尾形大地氏は代表役員代務者に就任していたことがわかった。その尾形氏は2014年10月22日までアメン教団「代表役員代務者」(注1)を務めている。ところが、同じ日に尾形氏はあいのひかり教団「代表役員」に就任。2018年3月6日にオリベットアッセンブリーに名称を変えた際も代表役員に就任していた。アメン教団の総会決議であいのひかりに名称変更するよう装ったことから、部外者である業者M氏と他教団の尾形氏はアメン教団の信者であるように偽装したことになる。これら実態は履歴事項全部証明書(登記)から確認することができる。

(注1)業者M氏は代表役員として、尾形氏は「代表役員代務者」としてアメン教団の役員に記載されていたという意味

売手のアメン教団役員に「信者」の宮司とあいのひかり教団の代表牧師の名義が記載されていた。法人登記は合法的にみせかけるために手が加えられた。

あいのひかり教団「アメン教団と意気投合し合併に至った」と説明。アメン側は完全否定

I氏は「あいのひかり教団がどんな教団なのかまったく知らない」と述べ、「関係者と会ったことも話したこともない」と証言した。2017年2月23日、日本基督教団・統一原理問題連絡会(現:カルト問題連絡会)が開催した「『クリスチャントゥデイなど張在亨牧師グループ』に関する説明会」終了後、あいのひかり教団関係者は日本キリスト教会館に隣接するビルの中に引っ越してきた「東京あいのひかり教会」で臨時説明会を開いた。当日参加した人の話しによれば狭い教会の中に十数名の韓国人宣教師ら(中には子連れの人も)が待機していたという。クリスチャントゥデイ関係者も参加した。

この席で代表の尾形氏は、「法人格売買は行なわれていない。アメン教団に宣教の熱意を伝えた結果、意気投合し合併しただけだ」と公式にコメントした。

一方でアメン教団I氏は、「意気投合して合併した」というあいのひかり教団側の主張を完全否定した。「それは嘘だ」そう断言した。売買契約書をみるとあいのひかり教団代表者は都内在住のTという女性の名義でサインされていた。本紙が調査したところT氏はあいのひかり教団の関係者ではないことがわかった。I 氏は「取引の過程で尾形さんという名前は聞いていない。Tさんがあいのひかりの代表だと聞いていた」と証言した。話しの経緯を確認するためT氏の自宅を訪ねたが所在不明だった。このような強引な「名称変更」「規則変更」にさすがの広島県も当時、待ったをかけていたことがわかった。不審に思った県が書面で何度か指摘していたのだ。

 売買取引額は1000万円、買手は初回から病気を理由に減額。未払いを繰り返し、最後は踏み倒す

法人格の売買は一般的に「闇取引」の類いとされる。その言葉通り、今回の取引でトラブルが立て続けに起きていたことがわかった。しかも、そのトラブルは買手側(あいのひかり教団)の問題が原因であると業者M氏がメールで認めていたのだ。まず、売買契約は、2011年7月14日、売手(アメンの友=アメン教団)と買手(あいのひかり教団)で書面上のみ締結され、業者M氏は買手の連帯保証人となっていた。契約金は1000万円。初回に頭金500万円の支払い後、残り500万円を5年かけて50万円ずつ分割払いするという内容だった。

 ところが、初回の頭金500万円も自称あいのひかり教団代表T氏が脳出血を起こし病気療養中だという理由で一方的に100万円まで減額され、50万円の分割払いも10万円にされたという。「初回から支払いが滞った。法人格名義変更後にやっぱり払えないという説明は納得できない。勝手に値下げして振り込まれても困ると返信した」。I氏は業者M氏を介して買手側に催促のメールを何度も送ったという。

買手側は支払い期限を破り、未払いを繰り返した。代金の最後の支払いは2016年12月の契約だったが、2015年の支払いを最後に、未払い金350万円を残したまま音信不通となっている。「あいのひかり教団に代金を踏み倒された」。I氏はそう述べた。2020年5月7日現在まで代金は払われていない。

不動産譲渡におけるトラブル 盗難事件に発展

次に起きたトラブルは「不動産譲渡」によるものだ。アメン教団の教会本部は呉市の山奥にあり、I氏が50年来、先代から継承するかたちで守り続けてきた。地元住民との付き合いがあってこそ信頼され、教会の運営を続けることができたという。I氏は業者M氏を介した買手との契約で「ペーパー法人」として売ることに合意していた。この時、アメン教団本部教会が建つ呉市の土地家屋の譲渡(不動産譲渡)の話しは持ち上がっていなかった。「あいのひかり教団は東京で活動していると聞いた。ここ(呉市)は使わないから、しばらくは地元との付き合いもあるので教会は私が管理する約束だった」という。ところが、しばらくすると買手から要望を受けたかたちでアメン教団の土地家屋を急いで譲るよう業者M氏から催促されるようになった。「ペーパー法人ではまずい」という理由からだ。「地境すらわからない人たちに、はいどうぞと渡すわけにはいかない。50年以上守り抜いてきた場所だ。せめて会いに来て挨拶くらいするべきだろう」。それでも業者M氏はたびたび催促してきた。「早く鍵を送ってほしい」。郵送で不動産譲渡に関する合意書が送られてきた。I氏は「譲ることは考えていたが準備することが色々ある。少し待ってほしい」と伝えていたという。そんな中、予想もしなかった事件が発生する。

アメン教団の本部教会に何者かが侵入。重要書類一式が盗まれた。呉警察は窃盗事件として処理した。警察による実況見分の様子を撮影したもの。(I氏提供)

 契約から3年が経過した2014年10月某日、I氏はいつものように庭の手入れをするためアメン教団本部教会に向かった。すると物置に入れてあるはずの耕運機が庭先に投げ出されていた。何者かが教会内に侵入した形跡があったという。中に入ると室内は物色され、一部の家具は庭に投げ捨てられていたという。ガソリン携行缶も建物近くに無造作に置かれていた。「今思えば火を付けようとしたのかもしれない」。I氏はショックを受けたという。何者かがアメン教団本部教会に忍び込んだのだ。

地元住民は事件発覚の数日前から不審な男性を目撃していた。「少なくとも2人いた。朝から晩までいた。若い人だと思う」。I氏は嫌な予感がしたという。「まさか買手側の仕業じゃないよな」。すぐに呉警察に通報した。駆けつけた警察官は窃盗事件として実況見分を行なった。捜査の結果、犯人特定には至らなかったが犯人と思われる人物が捨てた東海地方限定のペットボトルと複数の指紋を採取していった。

事件後、荒らされた教会を掃除していたI氏は、保管していたアメン教団の重要書類が大量に紛失していることに気付いた。「あいのひかり教団に渡す必要があるかもしれないと思い書類整理をしていた矢先のことだった」という。業者M氏は法人格の譲渡だけでなく、あいのひかり教団の要望を受け、建物の譲渡とアメン教団の歴史がわかる資料の閲覧を希望していたことを思い出したという。

あいのひかり教団牧師が犯行に及んだと認めるメール

その日の晩、業者M氏からメールが入った。「鍵を送ってほしい」。いつもの催促だったという。I氏は土地家屋の譲渡に合意する書類はサインせず返送していなかった。これから郵送しようと思った矢先の事件だった。I氏は業者M氏にこう尋ねた。「教会に泥棒が入った。アメン教団の重要書類が盗まれてしまった」。

すると業者M氏は何度かメールを交わす内に「牧師(あいのひかり教団)が状況をよくわからず呉に向かってしまった」と犯行を認める返信をしてきた。I氏は驚愕した。業者M氏の言い分は「(不動産譲渡)売買契約は口約束でも成立する。その認識で買手側の牧師は教会に侵入したというものだった。このやり取りはすべてメールで交わされ、証拠として残っている。

盗まれた書類はアメン教団の貴重な資料や過去の土地売買契約書、歴代の役員、信者の名簿が含まれていたという。I氏は不信感を募らせ、業者M氏に強く抗議した。「仮にあいのひかり教団が自分の所有物(教会)だと認識して訪問したのなら、なぜ室内を荒らし、扉を開けたまま立ち去るのか? 彼らは鍵を持っていない。重要書類だけ手をつけたこともおかしい」。I氏によると業者M氏は開き直った様子で、最後は脅すようなメールを送ってきたという。「これ以上関わるのは面倒だ」と感じたI氏は「とにかく書類だけは返してほしい」とメールした。事件発生から3ヶ月後、業者M氏から持ち去られた書類が宅急便で返却された。段ボール2箱分にもなる大量の書類が手元に戻った。「全部は戻っていない。なくなっているものがある」。「あと少しで建物も譲ろうと思っていた矢先に、なぜこんな手荒なまねをするのか。約束した代金も踏み倒された。理解できない」。

 

盗まれたアメン教団の重要書類の一部。業者側は窃盗事件にあいのひかり教団牧師が関与したことをメールで認めている。書類の返却を求めたところ3ヶ月して返却された。(I氏提供)

 「アメン教団の歴史が欲しかっただけではないか」あいのひかり教団は活動実態を粉飾

I 氏は言う。「我々の90年近い歴史をさも自分たちの教団の歴史だと装うやり方は許せない。」「アメン教団の歴史が欲しかっただけではないか」そう嘆いた。業者M氏は文化庁や県庁から調査票が届いた場合は個別対応せず、自分に送るように指示していた。また、法人格売買に違法性が問われる可能性を示唆した上で第三者から事実確認を受けた場合、金銭取引については「(教団役職の)退職金と説明するか、教団の宝物(掛け軸)を売った際に得た金であると説明する」ようメールで指示していた。また、業者M氏やあいのひかり教団尾形氏の登記上の名義偽装が発覚した場合は、「アメン教団の信徒であり、高額寄付をした功績から役員に就任してもらった」と説明するように指示していた。この説明は事実ではないことから、合法にみせかけるための偽装工作ということになる。

 

あいのひかり教団(オリベットアッセンブリー)公式サイト上に掲載されている教団沿革。アメン教団から名称変更した経緯に触れているものの「売買」「不正取引」などの実態を隠している。(2020年5月9日現在掲載 赤枠内が問題の部分 画像:あいのひかり教団公式サイト)

あいのひかり教団からオリベットアッセンブリー教団に名称変更

これら取引により2012年に法人格を取得したあいのひかり教団は教団名義を抹消すると2018年3月に宗教法人オリベットアッセンブリーに名称変更した。代表は尾形大地氏のままだ。包括団体は非宗教法人日本オリベットアッセンブリー教団で登記されていた。あいのひかり教団ホームページの「教団沿革」には1929年3月18日を創立日とするアメン教団の歴史がそのまま紹介され、変わらず自分たちがその教団の一員であるかのように説明している。2018年に名称変更したオリベットアッセンブリー教団は再臨のキリスト疑惑がある張在亨氏が総会長として率いるワールドオリベットアッセンブリー教団の日本支部教団だ。

横浜聖門教会(あいのひかり教団)週報には「1年カレンダー」行事に9月27日日本宣教記念と書かれ、10月30日創立記念(張在亨氏の誕生日)と記載されている。同教会牧師、カン・ソンヒョン氏は現在も韓国クリスチャントゥデイ日本支局長を務めている。(赤枠で囲んだ部分 画像:横浜聖門教会フェイスブックより)

張在亨氏の宗教団体・関係教会は実際には1992年10月30日を創立記念日として記念行事を行なっている。1949年10月30日は指導者である張在亨氏の誕生日だ。本来、彼らの活動は二十数年足らずのはずだ。日本では1997年に福岡第一教会から日本開拓がはじまり、2002年2月10日に東京都文京区で都内第一号となる「東京ソフィア教会」(大韓イエス教長老会合同福音教団海外教会)を設立した。その後、設立されたワールドオリベットアッセンブリー教団も歴史は浅い。

2005年9月27日に東京ソフィア教会で行なわれた日本宣教8周年記念礼拝の様子。来日した張在亨氏は中心に座る。アメン教団の歴史を利用することで実際の活動年月を偽っていることがわかる。クリスチャントゥデイ関係者は現社長、編集長を含め少なくとも10名の日韓信者が写っている。((元信者提供)

あいのひかり教団関係者は正統な教会を主張し、異端疑惑を否定し続けている。しかし、彼らの主張と裏腹に社会的な問題が次々と浮き彫りになっている。今回発覚した法人格売買、そして事実上の「乗っ取り」ともいえる歴史の粉飾。

捜査機関はこれら情報を含む、海外での国際的な事件を受け監視を強めている。捜査筋によると、「あいのひかり教団、クリスチャントゥデイなど関連企業は張在亨氏の指示のもとで活動している」という。

このような事態に社会はどう評価を下すのだろうか?