韓国CT取締役ら詐欺容疑で2016年有罪判決。滞納、負債、訴訟つづき

ニュースアンドジョイ掲載 2018年12月21日号

張在亨牧師の周辺には数えきれない程の関連メディア、企業、団体が存在する。各国で共同体と呼ばれる宗教的ネットワークが活動を続けている。日本でも同様にネットワークが実在する。(ニュースアンドジョイが作成した張在亨グループネットワーク図)

再臨のキリスト疑惑が解消できない張在亨牧師(ジャン・ジェヒョン)。彼が設立した大韓イエス教長老会合同福音(現:合福)教団の牧師らの多くがグループ事業(別名:張在亨グループ)に配属され、アメリカや日本など世界各国の共同体でネットワークとして繋がっている。 “再臨のキリスト”張在亨牧師を頂点とした傘下のグループはタコ足経営といえる複雑な構造でキリスト教界に根をおろしている。

その業種も多岐にわたる。宣教団体、CMC(クリスチャンメディアコーポレーション)傘下にクリスチャントゥデイ、クリスチャンポスト、基督日報ほかの多数メディア。経済紙、チョコレート販売事業バイン、医療財団、教育機関、旅行代理店、貿易会社、化粧品販売、コンピューター事業、K-POP(韓流アイドル、音楽)ポータルサイト・・・すべて把握することは困難なほどだ。問題視され、キリスト教界から追及を受けると団体名を変更し、また新しい団体を設立する。

本紙(ニュースアンドジョイ)の調査でグループ会社の多くは資金繰りに苦しんでおり、各社代表(合福教団牧師ら)は借金の返済ができず消費者金融、銀行から幾たびも訴訟を起こされていたことがわかった。驚くことに再臨主疑惑の渦中の人物で教団の最高指導者である張在亨牧師も過去に借金返済を求める側が起こした裁判で「共同被告人」として名を連ねていたことも確認できた。各国で法人化されている株式会社ベレコムは他の数社とともに既に廃業していたこともわかった。

張在亨グループ会社が家賃滞納。退去拒否でオーナーが提訴。被告らは合同福音教団牧師。各国のネットワークも同様にトラブルが後を絶たない

2014年、グループ会社が家賃を長期滞納しオーナー側から訴訟を起こされた。再三にわたる退去の求めも拒否し、トラブルになっていた。当時、ソウル市瑞草区(ソクチョ)にある某ビル3階にはグループ会社12社が入居し共同で使用していた。各社代表らは、張在亨牧師から按手を受けた大韓イエス教長老会合同福音教団の牧師たちである。家賃トラブルを起こし、ビルオーナーは代表(牧師ら)を相手取り、「建物明渡し訴訟」を起こした。さらに調査を進めると、各社代表(牧師ら)はグループ会社だけでなく、張在亨牧師と関連する宣教団体、アメリカの関連法人でも理事などの役職に就いていたことが判明した。

ニュースアンドジョイが当時のビルオーナーに取材したところ「彼らはテナント代金を払わず保証金まで全額使い果たした。退去を拒み続けたので強制的に明け渡すよう提訴した」と説明した。「グループ会社12社を相手取って裁判を起こしたのか?」との質問に「そんなに多く入居していたのか? 1人(契約者名義)だけだと思うが?」と驚いた様子で答えた。つまり、1社の名義で契約後、同フロアにはオーナーに無断で残り11社が共同登記していたことを意味する。

合同福音教団(ワールドオリベットアッセンブリー教団傘下)の牧師が経営するグループ会社。互いに「関係性を否定」

家賃トラブル後、強制退去させられた12社のうち7社はこぞって盤浦洞(パンポドン)のビルに移転した。このビルは大韓イエス教長老会合同福音教団の牧師で漢方医の資格を持つチョン氏が理事を務める株式会社慈愛(イネ)が購入したものだ。各社は張在亨牧師とつながっている。教団の牧師らが共有するビル所有者のチョン氏(イネ)は、「(関係性について)貸す側と借りる側というだけで特別なつながりはない」と答えた。互いに関係性はないことを強調した。

極度の経営難。数社は訴訟つづき。過去には好業績も急転落、そして犯罪に手を染める

韓国のグループ会社は極度の経営難に陥り、2018年には金銭トラブルを起こし複数の会社が訴訟に巻き込まれた。その中で特に顕著なのがグループメディア「ベリタス」(経済紙)理事を務め、オリベット大学顧問として働くイム氏にまつわる事件だろう。イム氏が過去に手がけたビジネスは年間総売上100億ウォン(約10億円)を突破する好調な経営を示した時期があった。

グループ会社代表と前韓国クリスチャントゥデイ取締役が共謀し詐欺罪。執行猶予付き実刑判決を受けていた

しかし、イム氏のビジネスも一転、急激な資金難に見舞われることになる。その危機は突如訪れた。2014年、イム氏と共に働いていたキム氏が刑事告訴される事件が起きた。このキム氏は韓国クリスチャントゥデイ取締役を務め、現在(2018年当時)、基督日報(キドイルボ=親会社はCMCから名称を変えたケノーシス・メディア・グループ)に異動し、取締役の一人として登記している人物だ。基督日報は張在亨グループメディアの一つでアメリカ版は「クリスチャン・デイリー」。

 グループ会社のイム氏とクリスチャントゥデイ取締役だったキム氏は2016年10月末、顧客に対して架空の出店話を持ちかけ、被害者らから金をだまし取ったとして刑事告訴された。両被告は1審で有罪判決を受け、懲役刑(法廷拘束=収監)を言い渡された。ただし、被害者と一部合意に至った経緯が考慮され、2審では執行猶予付き有罪判決を受けた。

事件の経緯は次のとおりだ。被告らはグループ会社の事業の一環でソウルにあるデパートZ社の店舗出店を一般から募り、出店希望者から代金を受け取ったにもかかわらず出店手続きを行わなかった。被告らはデパートZ社の出店が困難だとわかると出店希望者に代わって江南地区にある別店舗でウソの出店計画を持ち出し、被害者らから入札保証金と称して1億ウォン(約1000万円)を騙し取った。当該店舗は2年分にあたる賃貸料を敷金として払うのみで入札の過程で被告らが募った保証金は設定していなかった。こうして、「顧客らにウソの出店ばなしをもちかけ金をだまし取った詐欺罪」で告発された。この事件の他にも被告らはソウル近郊のレンタル倉庫賃料を長く滞納し、オーナーから提訴されていたことも明らかになった。

写真左から韓国クリスチャントゥデイ所有のシティビル。大韓イエス教長老会合福教団(前・合同福音)と基督日報が入居するクロスビル。財経日報(韓国版IBT)など関連企業が共同で入居しているフォルティスビル(画像:ニュースアンドジョイ)

 自称“韓国宗教新聞1位”のクリスチャントゥデイは滞納続き。韓国最低ランクの賃金以下の給与か。紙新聞の印刷代踏み倒しでビル仮差押え事件も

韓国クリスチャントゥデイは自称「宗教新聞1位」を掲げている。何をもって1位かは不明。しかし、このようないびつな経営や裁判件数の多さ、有罪判決を受けた事件などを見ると、自称「1位」と似つかわしくない危うさを浮き彫りにしている。紙面をみると一般企業からの広告出稿も確認できる。ところが、紙媒体のクリスチャントゥデイを発行する過程で印刷会社に「印刷代金」を支払えなくなり、その結果、クリスチャントゥデイ所有ビルに1500万ウォン(約150万円)の仮差押えが行われていたことも分かった。「支払えないなら自社ビルを法的強制力で差し押さえる」という手続きだ。

 その後、クリスチャントゥデイは滞納分の支払いに応じた。被害に遭った印刷会社は「印刷代を滞納していたことは事実。最近になりようやく清算された」と答えた。

韓国国民年金の送付額を基に予想平均年収額を割り出すビッグデーターサイト「クレジットジョブ」(2018年当時)によると、韓国クリスチャントゥデイ職員は13人在籍しており予想年収は一人あたり1600万ウォン(約160万円)。月額で換算すると(手取り金額計算上)約130万ウォン(約13万円)だとわかった。韓国では最低賃金が月額150万ウォン(約15万円)と規定されており、同社はその条件を満たしていない可能性が浮き彫りとなった。

複数のグループ事業が廃業し、裁判に巻き込まれるなど深刻な事態に陥っている。(画像:ニュースアンドジョイ)

張在亨牧師が合福教団総会長に就任した2013年から急ぎ足で不動産を買い占める。グループ企業、団体ビル購入だけで225億ウォンを超える(約22億円)根抵当権を利用・・・。

不可解なことが起きていた。2013年、張在亨牧師が大韓イエス教長老会合福教団(前合同福音)第98回総会長に就任するとグループ側は急ぎ早に建物、不動産を買い漁り始めた。教団本部にあたる合福教団と基督日報が同居する安岩洞(アンアムドン)クロスビルは2013年1月、アンテオケ教会名義(当時代表:チャン・シファン総会長)で、55億ウォン(約5億円弱)で競売物件を購入した。

同年5月には韓国クリスチャントゥデイが恵化洞(ヘファドン)の現ビルを16億ウォン(約1億6千万円)で購入した。さらに6月には、張在亨牧師がトップを務めるワールドオリベットアッセンブリー(WOA)の傘下本部である合福教団の宣教団体「ジュビリーコリア」(ジュビリーミッション)が元宗教関連施設の礼拝堂を16億ウォン(約1億6千万円)で購入した。

2015年には盤浦洞にある某ビルを教団牧師が経営する株式会社慈愛(イネ)が65憶ウォン(約6億円弱)で買収。数多くのグループ会社が一斉に入居した。これだけではない。2016年8月には合福教団が江原道(カンウォンド)にあるホテルを33憶ウォン(約3億3千万円)で購入していた。

ホテル購入について韓国クリスチャントゥデイは紙面で「合福教団とオリベット大学が共同購入した」と報じた。この建物(旧ホテル)をAPOC(アジア・パシフィック・オリベットセンター)と名付け、オリベット大学韓国分校及び、クリスチャントゥデイ情報センター、合福教団研修院などに活用する計画を明らかにした。

 これら団体は購入に伴い借り入れが膨れ上がる一方である。現在、クロスビル(合福教団と基督日報が入る)とクリスチャントゥデイ情報センターやオリベット大学韓国分校などが共同で利用予定の修練院を担保に120億ウォン(約12億円)の根抵当権(訳注=金を借りては返済を繰り返す債務者に対して返済不履行となれば貸付け側(銀行)は債務者の建物などを担保に現金化することが出来る権利)の担保設定が確認された。

  ジュビリーコリアは2015年7月にイネ代表のチョン氏が所属した某医療財団に建物を贈与している。この建物も17億ウォン(約1億7千万円)の根抵当権を利用していた。イネが入居した盤浦洞ビルにも70億ウォン(約7億円)の根抵当権利用が確認された。クリスチャントゥデイの自社ビルも18億ウォン(約1億8千万円)の根抵当権を抱えている。判明した関連団体の建物だけで総額225億ウォン(22億円弱)を上回っていた。

グループ事業は購入した自社ビルを担保に運営していることになる。

「大韓イエス教長老会(合福)総会 オリベットアッセンブリーオブコリア」の看板(画像:ニュースアンドジョイ)

クリスチャントゥデイが反論「これら経営スタイルは使徒パウロをモデルに」健全性をアピール。張在亨牧師の弟子たちはなぜ億単位の不正を抱えたまま土地購入に奔走するのか?教団総会長チャン・シファン牧師は無回答

2018年12月19日、張在亨グループのタコ足経営(訳注=大手企業、特に財閥が本業に専念せず、タコの足のように多くの分野に進出することを皮肉な観点で表現した言葉)問題を取り上げた記事をニュースアンドジョイが掲載すると、韓国クリスチャントゥデイは自分たちの経営スタイルを使徒パウロの自給的生き方だと例に上げ、「我々の経営スタイルは聖書的伝統に基づく健全な布教方針である」と反論記事を掲載した。しかし、使徒パウロは組織のためにローンを組み、数十憶ウォン(数億円)もの借金を背負いながら、それでも不動産購入を続けたという話はどこにも出てこない。

クリスチャントゥデイは使徒パウロをモデルに健全性をアピールしようとしたが、張在亨牧師をトップとする教団所属の牧師らが関連団体、企業の代表を務め、深刻な経営難に陥り、借金を抱え、それでも事業を続け、建物購入に手を出し、同じ団体で理事や職員を務める理由は一体何なのだろうか。2018年にはクリスチャントゥデイ経営陣が詐欺容疑で有罪判決を受けた。これが「聖書的モデル」と言えるだろうか。

張在亨牧師の教団で総会長を務める(当時)チャン・シファン牧師に質問状を送っても返信がなかった。教団の牧師らが財政難に直面し、詐欺罪という犯罪行為で有罪判決まで言い渡されている事実に彼らは口を閉ざしたままだ。このグループは数多くの事件や問題行為は一切報じず、問題提起する人物やメディアを激しく誹謗する特徴をもつ。

韓国クリスチャントゥデイ会長チョン・ファン牧師がコメント。「ただ応援しているだけ。詳しいことは何も知らない」有名な牧師らを盾に信用を確保

クリスチャントゥデイは韓国宗教新聞1位を標榜するメディアだ。しかし韓国の最低賃金基準を下回る給与で働かせている。このような深刻でいびつな経営状況を会長であるチョン・ファン牧師(大韓イエス教長老会高神)はどう考えているのか、本人に直接質問した。

チョン会長は「私はクリスチャントゥデイを応援しているだけで年に3、4回事務所を訪問する程度だ。詳しいことは何も知らない。財政難であるという事実しか知らない。当事者に確認してほしい」と答えた。会長の回答を得てクリスチャントゥデイに電話取材を試みたが応じることはなかった。チョン会長は、張在亨牧師の教団関係者ではない。保守プロテスタントの大韓イエス教長老会高神派の牧師だ。

韓国クリスチャントゥデイの会長、論説委員などには張在亨牧師の教団とは関係がない外部の牧師、神学者を起用している。ただ、実際の経営にほとんど関与していないことも明らかになっている。チョン会長も経営責任者に含まれるが「応援しているだけ」「詳しいことは何も知らない」と述べている。

本紙は事情を聞くため韓国クリスチャントゥデイ、財経日報(IBT=日本では(株)財経新聞)に電話したが誰も応対しなかった。

 

この記事は韓国のキリスト教社会派メディア「ニュースアンドジョイ」が配信した2018年12月21日号から日本人読者向けに内容を一部編集し、同社との業務提携に基づいて記事にしたものです。記事内の「本紙」とはニュースアンドジョイを指します。